茶壺と目が合う
今まで磁器の急須を使っていたので、ぽーれい茶(プーアル茶)用の茶壺が欲しかったのだ。値段がお手頃で黒っぽくて大きめのが。それで棚を見ていたら、こいつが奥からこっちを見ていた。漢瓦壷の取り置きをお願いしていた海風號に初めて行ったときのこと。
たぶん獅子(でも実はちがうだろう、両生類じゃないのかと突っ込みたい気持ちでいっぱい)がぺたりと蓋に乗っていて、毛沢東バッジがつぶれ気味についている。底には「鮑志強 一九六八年 要斗私批修」と押してある。文革壷というやつだろうな。で、棚から出してみると、これが戻っていこうとしない。他の壷と比べてみるのだが、ことごとく勝ちをおさめ、他の壷を見ると端正すぎると思えてくる。
予算は超えているし、手持ちの現金が足りるかどうかわからないし…とお財布を見ると、有り金はたけば、かろうじてぎりぎり払える金額であることが判明。土はよさげな感じだし…うーむ。1時間以上悩みましたね。お店のお姉さんが見かねたのかお茶を淹れてくれた。
で、結局、連れて帰ってきた。
帰ってすぐ煮て一晩置いて、老地方茶坊の佛海銀毫餅を淹れてみた。このお茶こんなに甘かったっけ。次に、袋に書いてある賞味期限がとっくに切れていて美味しいのかどうかよくわからなかった香港は茗慶堂の陳年ぽーれいを淹れてみた。後味が甘い…というわけで、こいつはいい茶壺らしいぞ。「鮑志強」を検索してみたら美術工芸大師らしい。本当かどうかわからないけれど、もし本当なら22才の文革まっただ中で作られたということになる。緻密というよりは、ざっくり・おおざっぱで、「へへへ」と笑う獅子のようなやつは実はめっぽう持ちにくいのだが、壊さぬよう大事に使いたおそう。今年の冬はぽーれい三昧だなあ。
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コメント
どうも、書き込み初めてです。
この茶壷気が付いたら消えていたけど札幌まで連れて行かれたんですね。
上の獅子(らしきもの)がどう見ても暗黒神話って感じで、結構気になっていた茶壷でした。
一癖ある物って馴染んできたら手放せませんよ、大事にして下さいね。
投稿: くんしゃん | 2004.11.12 10:13
くんしゃんさん、いらっしゃいませ。実はblogにしばしばお邪魔しておりました。
お獅子、やはり気になっておられたのですね。お店で取りつかれて、札幌まで連れて帰ってきてしまいましたよ。それにしても、暗黒神話…すてき。なんで思想啓蒙用茶壺にこんなのを乗っけたのかと思うと贔屓にせずにはいられません。今週はまだ使っていないのですが、末永く大事につきあっていきたいと思っています。
投稿: きたきつね | 2004.11.13 00:01