紅茶を紫砂壷で淹れる
ずっと紅茶を紫砂壷で淹れてみたいと思っていた。紫砂壷でお茶を淹れると何が違うといって、お茶の温度がまるで違う。あっつあつのお茶が飲める。熱湯で淹れる紅茶もきっと美味しくはいるに違いない。しかし、いろいろな参考資料にあたってみると、「紅茶は磁器のポット」「お茶毎に茶壺を分けた方がいい」「青茶は同じ茶壺でも可」ということはあるのだが、陶器の場合、紅茶は専用の茶壺を使うべきかがどうも分からなかった。「ぽーれい茶(プーアル茶)は専用茶壺で。他の用途と一緒にしない。」というのは見るのだが、「紅茶は茶壺を別にしなければならない。ほかの用途と一緒にしない」と明言したものは寡聞にして知らない。それで、淹れてみたいけど、専用茶壺を用意しなければならないのか、うーんどうしよう…という状態だったのである。
が、お酒を飲んだ翌日、なぜか紅茶が飲みたくて、リンアンのウバをミルクティーで飲み、その後Gクレフのダージリンオータムナル(タルボ)を淹れて飲んだらあんまりおいしくて、これは是非とも紫砂壷で飲まなければ!と思ってしまった。
迷ったのは茶壺の選択で、現在のところ紅茶専用壷はないので、青茶に使っているのを回さざるを得ない。考えた末、東方美人で修行していた漢瓦壷に白羽の矢を立てた。東方美人は発酵度が高いから茶壺もそれほどびっくりしないだろうし。万が一茶壺に影響が出たとしても使うのは自分だし。もし、どうしてもどうしても駄目だったら涙を飲んで紅茶用茶壺にしよう。
で、ダージリン・オータムナルを1分ほどで抽出してみた。香りは磁器のポットで淹れた方が立つ感じ。比較的低い温度で長い時間蒸らすからかな。味はいい。2煎目が一番香りが立っておいしかった。3煎目までいけたので、茶葉の量で考えると、紫砂壷のほうが経済的といえば経済的。ついでにいうと、150cc程度の茶壺は紅茶用カップちょうど1杯分である。
紅茶を飲んでから、念のため飲み慣れた林奇苑の名岩鉄観音を淹れて見たのだが、とりあえず茶壺にはそれほど影響していない模様。うーん、これからどうしよう。ダージリンは専用壷にしたい気もするのだが。
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コメント
陶器の茶壷で紅茶を淹れるというのは、私もずーっと考えながら実行できずにいました。海風號では、最近大振りの紫砂壺でキーモンとか淹れていて、それがまた美味いので、淹れてはいけないなんてことは無いだろうとは思ってました。
多分、陶器だと、紅茶の香りを茶壷が吸ってしまうということで、磁器のものが推奨されていたのだと思います。なので、黒茶のように、それ専用にしなくても良いように思うのですが、そのあたり、かなりアバウトに使っている海風號の設楽さんでも、青茶と紅茶と黒茶と緑茶は茶壷を分けているようなので、分けたほうが良いのかも知れません。ラプサンとかの、スモーキーな香りが茶壷に着くと、青茶は淹れにくいような気がしますし。
ダージリンあたりは、許容範囲だとは思うのですが、難しいところです。FormosaTeaConnectionで購入したフォルモサ紅茶は、東方美人によく似たムードの紅茶で、普通に青茶用の茶壷が使えそうです(といいつつ、白磁で淹れてる根性なしの私ですが)。まあ、岩茶も単叢も鉄観音も同じ茶壷で淹れて、特に問題ないと思ってる私なので、紅茶もフレーバーティーでなければ、いつもの青茶用茶壷で淹れても構わないとは思ってるんですけど。
紅茶用を作れば問題ないのでしょうけど、そうなると、今度は紅茶用の茶壷って、どんなのがいいんだろう、とか考えて、考えてると、白磁のティーポットが欲しくなったりして、ああ、本末転倒。難しい問題です。
投稿: のーとみ | 2004.11.21 15:37
のーとみさん、いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
よく「紅茶は磁器の茶壺で」と言われるのは、やはり、香りが移ってしまうからでしょうね。今回やってみた感じでは、1回ぐらいなら、青茶用茶壺で淹れてもそれほどダメージはないのではという印象です。繰り返すと茶壺が紅茶の気分になってしまうかもしれません。ラプサンはまずいでしょうねえ。
ただ、同じ茶壺で淹れても可としても不可としても、「東方美人はいいのか?」という疑問もわいてくるのですね。100%発酵でなければいいのだろうか?その境界はどこにあるのだろう?とか、とても焙煎の強い青茶はやっぱり別にしなければならないのだろうか?とか。のーとみさんのblogで、設楽さんが青茶はいっしょでいいと仰っているというのを読んで、青茶はいっしょでいいのかな?とあまり厳密に使い分けはしていないのですが、茶壺の使い分けって、実はなかなか奥が深い話なのではないかと思います。まあ、お茶毎に分けるのが一番いいのでしょうが、あまり厳密に分けるのは性に合わないので、こんなことを考えてしまうのかもしれませんけれど。
紅茶用にどんな茶壺がいいか、については、海風號に伺ったときにお店の方(設楽さんはご不在でした)とお話ししたことがあります。葉がジャンピングしやすいことを考えるとある程度丸みがあったほうがいいんじゃないか、ダージリンは専用壷にしたいよね、というような結論でした。漢瓦壷はもともと使い勝手がよいこともあって、よさげな感じがしました。でも青茶にも使いたいので悩ましいところです。
とりあえず、ミルクを入れずにストレートで飲むのはダージリンが多いので(茶壺で淹れてミルクティーという気持ちにはなぜかならない)、150ccぐらいのダージリン専用壷が激しく欲しい今日この頃です。
投稿: きたきつね | 2004.11.21 17:09
はじめまして。
私はダージリンティーが大好きです。この2〜3年は中国茶にもはまっています。しかし、紅茶は何と言ってもやはりダージリン、と思っています。
そこで、ダージリンティーを紫砂茶壷で飲みたいと思うようになりました。専用の紫砂茶壷のお気に入りを見つけているのですが、購入決定出来ずにいます。
その理由は、今とっても気に入っているダージリンティーのセカンドフラッシュがあります。渋み・甘み・香りの最高にバランスの良い紅茶ですが、持っている紫砂茶壷(まだ養壷の出来ていない青茶用を使ってみました。)で、それを飲むと、渋みが少々取れて、磁器、ガラスポットで淹れるとベストなバランスの渋みのピントが合わなくなってしまうのです。それなら、磁器・ガラスポットを使えばいいんじゃない!という事になる訳ですが、、(サンプルを飲んで買いますので、バランスの取れていない紅茶は、購入するはずもないので、)しかし、紫砂茶壷で淹れるお茶の効能もありますし、確実においしいという方もいらっしゃいます。。紅茶専用の紫砂茶壷の購入(安くはない、)を迷っているのです。
養壷の出来ていない紫砂茶壷では、味の確認は出来ないのかも知れません。(私の紫砂茶壷は、まだ養壷
が出来ていないので、)
きたきつねさんのご意見を参考にさせて頂けますか?
投稿: parelli | 2011.09.01 10:08
parelliさん
ようこそいらっしゃいませ。お返事が遅くなってすみません。
紫砂の茶壺は、たしかに雑味がとれる感じでお茶がまろやかに淹れられるのですが、一方で、香りが吸われてしまうことがあるように思います。香りが立つのを好まれる方、まろやかなお茶をよしとする方、好みはいろいろですので、そのあたりで意見が分かれるのではないかと思います。
渋みがとれるということは、茶壺に吸われているということですよね。おそらく、香りも磁器やガラスの茶器で淹れたのと変わっていると思います。
自分の好みは自分が一番よくわかるので、茶器や茶葉の量、抽出時間などをいろいろ調整してみて、一番自分に合うのを見つけるのがいいのではと思います。
この記事で使っている茶壺は青茶でかなり使ったもので、紅茶専用にしているのは、それほど養壺ができていないのですが、養壺の度合いで味がどう変わるかは、私もよくわかりません。直感的に、養壺された壺の方がまろやかになる(ということは渋みがとれる)ような気がします。
私の場合は、香りを味わいたいときは磁器・まろやかさを味わいたいときは紫砂壺を使っています。
テイスティングをして買っていらっしゃるということは、その試飲条件で淹れたときの美味しさで買っているということだと思うので、テイスティングと同じ条件で飲むのが一番かもしれませんね。
お答えになっていなくてすみません。ご参考になれば幸いです。
投稿: きたきつね | 2011.09.04 00:05