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『伊丹十三の本』

 中学校・高校と寮に入っていた。中学校は8畳+板の間に4人で、一人あたりの本棚は単行本用の棚が30センチ+ノート用が10センチ足らずだったので、本は厳選せざるをえなかった。高校になると2人部屋になって、90センチ四方ほどの本棚が独占できるが、押入がなく段ボール収納ができなかったので、やはり本は厳選せざるをえなかった。
 その本棚でずっと定位置を保ち続けていたのが伊丹十三の『ヨーロッパ退屈日記』と『女たちよ!』である。何度繰り返して読んだかわからない。(ちなみに、その他の常連は、森茉莉『贅沢貧乏』と石井好子『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』だった。)
 『ヨーロッパ退屈日記 』『女たちよ! 』その他のエッセイは、先月新潮文庫から復刊されたのだが、今日本屋に行ってみたら、『伊丹十三の本』が新潮社から出ていた。「考える人」編集部(編)となっているので、特集に肉づけしたものなのだろう。買いました。「考える人」も買ったし、たいていの本は(編集長をやっていた雑誌『モノンクル』も含めて)持っているのだけれど。
 内容は、写真や追悼文や単行本未収録のエッセイ、年譜など。読んでみると、やっぱり面白い。亡くなったときに「格好悪い自分が嫌だったんだろうなあ」と思ったのだが、とことんスタイリッシュであろうとした人だと思う。下世話な部分との混ざり具合が絶妙である。
 今となっては新しく書かれたものを読むことはできないのだが、今後定番として読まれていけばよいなあ。夏には監督した映画のDVDも発売されるらしいし(エッセイに一番近いのは『タンポポ』だと思う)。

20050426book


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コメント

> 中学校・高校と寮に入っていた。
えええ!そうだったんですか。珍しい。
そちらの地方では珍しくないのでしょうか?
それともたまたま寮制の学校だったのかな?
8畳+板の間に4人,と聞いて,私の通っていた中・高の大学寮を思い出しました。
大学だからもう少し広かったとは思うけれど,結構「エエッ」という環境でした(教育実習生に聞いた話)
今では全部個室に建てかえられました。今の学生さんじゃそういう寮に入りませんよね・・・

投稿: an-an | 2005.04.27 00:58

はじめまして。「伊丹十三の本」を今朝の新聞の広告欄で見て「読みたい!」と思ってたところにこの記事発見。森茉莉も好きだし嬉しくなってしまいコメントを発作的に書いています。きたきつねさんの記事で仕事帰りに本屋さんに直行してしまいそうです。伊丹十三の文章ってほんと何度読んでも飽きないんですよね。「女たちよ!」何度読んだことか…。新しい文章が読めないのがほんとに残念でなりません。

投稿: メープルップ | 2005.04.27 09:19

an-anさん、メープルップさん、いらっしゃいませ。

an-anさん
全寮制ではなかったのですが、地方出身者のために寮がありました。地域の特徴ではないとは思います。そりゃあもう、いろいろなことがありましたが、今にして思えば得難い経験です。さすがに今の学生さんには無理なようで、寮は縮小され全部個室になってしまいました。

メープルップさん
本は買われましたか?
伊丹十三と森茉莉がお好きなんですね。仲間だ〜。
今日あらためて『ヨーロッパ退屈日記』を読んだら、やっぱりうまい!「伊丹十三全集」が出たら迷わず買うのになあ…(森茉莉は全集を思わず買ってしまいましたよ)。

投稿: きたきつね | 2005.04.27 21:15

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