ぽーれい生茶とわたくし
体調が悪いと、きまってぽーれい(プーアル)生茶が飲みたくなる。
ぽーれい生茶については度々書いているのだが、老樹青茶のエントリにコメントをいただいて(たろさん、くみさん、ありがとうございます)、そういえば、生茶のことをきちんと書いたことはなかったことに気がついた。
ご存じの方も多いと思うのだが、ぽーれい茶には熟茶と生茶がある。熟茶はわざと湿度と微生物を与え(このあたり自信なし)後発酵をさせたもの、生茶は緑茶が自然に発酵したもの、というような違いだと思う。味は、ストロングな緑茶という感じ。といっても、スモーキーだったり樟っぽかったり、かなり癖があるので、好き嫌いがあると思う。ある意味、ラプサン・スーチョンに似ている。年月が経ったのはまろやかになるのだが、私は、癖のある若い生茶も好きで、あまり熟成していないのも、がぶがぶ飲む。
ぽーれい茶に「生茶」というカテゴリがある、ということを知ったのは香港でだった。そのときは、知人と長沙湾の陳茶館に行ったのだが、たまたまその知人が陳茶館と茶藝楽園の店主の陳國義さんと面識があったため、陳さんにお茶をしこたま飲ませてもらった上、通訳付きでたっぷりお話を伺う、という夢のような経験をした。
そのときに印象的だったのは、「これが春のお茶、これが夏のお茶、これが秋のお茶、これが冬のお茶。葉がぜんぜん違うでしょう」と、その年採れて作ったばかりの茶餅を見せてくださり、「これを長くしまっておいて飲むんだ。お茶でいちばんおもしろいのは、ぽーれい茶だと思う」とおっしゃったこと。ほんとに葉が全然違うのである。夏の葉は小さいの。春の葉は栄養をたっぷりためこんでいる感じ。
そして、その後、同じ知り合いに、「これは、生のぽーれい茶」と飲ませてもらったのが、それまで飲んでいたのとは全く違う美味しさだったので、生のぽーれい茶は面白いのだ、と思うに至ったのだった。今にして思えば、あれは相当いいお茶だったな。年を経ているのに、フレッシュな後味があって。
そんなことがあったので、帰ってきてからも「ぽーれい茶の生茶が飲みたいなあ」と思っていたのだが、しばらくは、どこで手にはいるかもわからなかった。しかし、老地方茶坊さんが扱いはじめたので、買い始めたのが運の尽き。六大茶山野生餅茶とか佛海銀毫餅とか千年古樹沱とか下關特級沱茶とか、気がつくと山のように買っていたのであった。緑茶と違って、長く置いておいてもだいじょうぶそうだし。安いし。おいしいし。
野生茶など、雲南の山の精気をいただいているようで、身体に活が入るのである。体調が悪いときはこれだ。
というわけで、今日も目が回るので帰るなり老樹青茶を淹れ、コンテAOCエクストラを相方に飲んでいる。雲南省のお茶の樹の写真を見たりしていると、元気になれそうな気がする。生茶の樟っぽい癖とチーズのこってりした癖がうまいこと合うんだなあ。
考えてみると、ぽーれい生茶とチーズ、という組み合わせは、モンゴル風の由緒正しいものではないのだろうか。たしか、ぽーれい生茶は、山を越えて雲南からモンゴルに運ばれ、モンゴル人のビタミン源となったはず。
| 固定リンク
« 「愛の神 エロス」 | トップページ | 初夏の香り »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
いわゆる黒茶っていうのは、
恐る恐る飲むと、ぎゃーかび臭い(>_<)
っていう経験しかしてなかった時期がありました。
でも世の中の茶に詳しい人が嵌ってしまう黒茶は、
たぶんこういうものじゃなくもっと違う美味しさがあるのだろう!
あの頃から今に至るまで、ずーっとそう思っています。
いつか、茶縁があればきっと、
わたしも美味しいポーレイに出会える気がします、
きたきつねさんが出会えたようにね!
投稿: smash | 2005.06.09 23:15
むむ、生茶も気になりますが、コンテAOCエクストラも気になりますね。
うちにも今日コンテAOCが届いたはずなのですが、不在だったため持って帰られてしまいました。
明日はチーズ祭りの予定です。
投稿: たろ | 2005.06.10 00:20
smashさん、たろさん、いらっしゃいませ。
お返事が遅くなってしまいました。ごめんなさい。
smashさん
茶縁…そうそう、そういう言葉がありましたね。
いい言葉だなあ。
smashさんなら、必ずや、
すばらしく美味しいぽーれい茶にめぐりあえますとも!
そうだ…!…ちょっといいことを思いついてしまいました。
うふふ。(詳細はいつかまた)
たろさん
このコンテは東京出張のときに買ってきたものです。
おいしいですねえ、コンテ。
たろさんのブログにあったオーダーチーズ・ドットコム
よさげですね。今度利用してみます。
情報多謝!
投稿: きたきつね | 2005.06.10 21:45