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杉浦日向子さん死去

 杉浦日向子さんが亡くなった。7月22日午前4時32分、下咽頭癌のため、とのこと。46歳。
 早々と隠居なさって、そのまま、ずっとどこかで長生きしていかれるような気がしていたので、不意打ちをくらって、人は死ぬんだなあ、という気持ちに打ちのめされている。ナンシー関以来の衝撃かも。
 杉浦さんの本は好きで、たぶんほとんど全部持っている。
 特に『百物語』は、「小説新潮」連載中に欠かさず立ち読みし、単行本を買い、「杉浦日向子全集」はもちろん全部買い、文庫も買った。早々と隠居を宣言されて、漫画は描かなくなってしまったのが、本当に惜しまれてならない。
 『百日紅』も『二つ枕』も好きだなあ。何が好きといって、江戸のことやあちらの世界のことを本当に何気なく、でも、ありありと描いていたところ。その意味で一番好きなのは『江戸アルキ帖』(新潮文庫)で、その場で江戸にタイムトリップできるので(実際そういう設定で描いてあったが)、特に東京出張の時に読むと気持ちがよく、読みたくなって出張先で買ったので2冊ある。
 ご本人は「見えてしまう」方のようで、前世の記憶があることを高橋克彦さんとの対談『その日暮らし』で当たり前のように語っていた。漫画界から隠居した後は、『呑々日記』のようなレポートものや、『ごくらくちんみ』のような短編小説も書いていらしたけれど(それも好きだけれど)、きっと江戸に帰っていったのだ、と読者としては思いたい。
 心から、ご冥福を祈る。

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コメント

わー、吃驚しました。
「百日紅」とか、「入浴の女王」とか「1日江戸人」とか好きだったんですよ。
全部は読んではいないのですが、悲しいです。

ご冥福をお祈りいたします。

投稿: | 2005.07.25 20:59

お江戸でござる降板したのを残念に思っていましたが、病気が理由だったんでしょうか。しかしまさかこんなに早く・・。驚きました。

投稿: MUGIXOR | 2005.07.25 21:33

恵さん、MUGIXORさん、
ほんとうに突然でしたね。まだ呆然としています。
さっきまで『百日紅』を読んでいました。

恵さん
『一日江戸人』『入浴の女王』もいいですよね。
ほんとに悲しい。

MUGIXORさん
その後、豪華客船で世界一周などなさったようなので、
番組の降板は病気とは無関係かもしれません。
「お江戸でござる」は杉浦さんがよかったんですけれど。

投稿: きたきつね | 2005.07.25 22:00

はじめまして。 「江戸アルキ帖」をキーワードに辿り着いた者です。
杉浦さんの訃報。 本当に驚きました。
私は、杉浦さんの著作をそれほど多く読んでいる訳ではありませんけれど、やはり「江戸アルキ帖」が一番好きです。
勝手ながら、TBさせて頂きます。 よろしくお願いします。

投稿: もとよし | 2005.07.30 23:05

もとよしさん、いらっしゃいませ。
『江戸アルキ帖』が一番お好きなのですね。
サイト、見せていただきました。面白かったです。
また遊びに伺いますね。

投稿: きたきつね | 2005.07.31 21:24

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