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「如果・愛」についての一考察

 やっと週末。しばらく映像は受け付けなかったのだが、テレビの映画でリハビリ。
 「如果・愛」は、香港で一度観て、その後DVDやVCDで何回か観ている。最も最近観たのは、 第25回香港電影金像奨の後。11部門にノミネートされ、最佳服装造形設計、最佳美術指導、最佳攝影、最佳原創電影音樂、最佳原創電影歌曲、最佳女主角を受賞した。ただし、最佳導演と最佳電影はジョニー・トーと「黒社会」にさらわれてしまった。
 観れば観るほど、妙な感じがする映画だなあと思う。その理由は、チ・ジニ(以下、役名ではなく俳優名で記載)だ。Montyという役名で登場する彼は、バスに乗って撮影場に現れ、いきなりミュージカルの中で歌い出し、ライターとして楽屋のヒロインにインタビューし、撮影場のカフェで張學友や金城武に酸辣麺をふるまい、ある時は金城武と周迅が乗る車を運転し、金城武と周迅に彼らの過去を映写室で移してみせ、それを張學友にも見られてしまう。
 一体、君は何なんだ?多羅尾坂内か?
 …と思ったのだが、何度目かに観たとき、ふっとわかったような気がした。
 
 (以下、観る前に先入観を持ちたくない方は読まない方がいいかもしれません)

 たぶん、チ・ジニは実在しない。張學友が撮影している映画には(少なくとも一部の)ミュージカルシーンはない。
 張學友が撮影している映画に、よりによって周迅と金城武がキャスティングされたことと、北京での過去、それを張學友が知り苦悩し、自らも映画に出演を決めるのは(映画の中の)真実で、ミュージカルシーンやチ・ジニは、彼らの心の中を描くために、ピーター・チャン監督が用意した仕掛けなのだと思う。映写室で周迅と金城武が会ったのは本当だが、チ・ジニが映してみせた映像は、スクリーンではなく2人の心の中に映ったもので、張學友が目撃したのはスクリーンの映像ではなく会っている2人だ。
 そう考えると、ピーター・チャン監督は成功したと思う。チ・ジニとミュージカルシーンを抜いて普通に三角関係を描いたら、ありきたりだし、「そんな偶然あるわけないだろう!」ということになるものね。金城武はあまりにも未練たっぷりだし(テープレコーダーには正直ちょっと引いた)、張學友はあまりにも暗いし(歌は上手いが)。
 インド風味の絢爛豪華なミュージカルシーンや、節目節目に出てくるチ・ジニが、映画の要なのだ。
 …やっぱり、ピーター・チャンに最佳導演をあげたかったなあ。
 あるシーンに対する「未来永劫香港映画の禁じ手にしてほしい」という評価は変わらないのだけれども。

 もうひとつ、ミュージカルシーンを見ていて思ったのは、画面とか音楽の感じが「オペラ座の怪人」に似ているような気がするということ。たしか「夜半歌聲」はオペラ座の怪人を元にしていたはずだが、もしかすると、ピーター・チャン監督は、張學友の役をレスリー・チャンにさせたかったのではないだろうか?あの暗さは張學友じゃないと出せないだろうし、レスリーにすると映画の感じが変わっちゃうんだけどね。

20060415cinema1
 金城武を残して去っていくチ・ジニ。
 きっとこの酸辣麺は夢のように美味しい。

 追記:日本語字幕版を観た結果、やっぱりミュージカルシーンは実在したという結論に達しました。詳しくは、こちらに。

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