頭を冷やしてアカデミー賞を見る
帰ってきてテレビをつけたら、第79回アカデミー賞授賞式再放送(字幕版)で、今まさに脚色賞が発表されるところだった。うーむ。「Japanese Film」は字幕では「香港映画」になっていた(まあ、当たり前だ)。ちゃんとアラン・マックとフェリックス・チャンにお礼が言われていたのも字幕に反映されている。
もう、アカデミー賞は内輪賞だと腹をくくって、再放送を見たのだが、いやあ頭に血が上っていたので見たはずのものを覚えていないのなんの。虚心坦懐にショーとして見ると、悪くはないのだった。「外国語映画賞50年」や「追悼特集」、モリコーネへの名誉賞、「ポートレイト・オブ・アメリカ」などの編集フィルムを見ると、映画が観たくなるものなあ。
「外国語映画賞50年」は「ニュー・シネマ・パラダイス」の監督により過去50回の受賞作をコラージュしたものらしいのだが、黒澤映画の比率高し。「臥虎蔵龍(グリーン・ディステニー)」もけっこう使われていて、思わず發仔に手を振ってしまう。「追悼特集」は毎年しみじみと見てしまうのだが、スター・トレックのスコッティが亡くなったのを知って、ああ、と思う。それにしても、なぜ「ポートレイト・オブ・アメリカ」なんだろう。時節柄ってやつ?「ブレード・ランナー」のルトガー・ハウアー(最近どうしてるんだろ)の最もよいシーンが出てきたのは何故だ。それって「ポートレイト・オブ・アメリカ」か?
長編ドキュメンタリー賞を「不都合な真実」が受賞したくだり、アル・ゴアは総立ちの拍手を浴び、この人の人気(ブッシュの不人気)と、大統領がこの人だったら世界はどう変わっていただろうということを、しみじみと考える。今さら言ってもせんないことではあるのだが。
監督賞は、史上最強のレッツゴー三匹を見て、やっぱりスコセッシにやる気まんまんだったのだなあと実感する。場内も盛り上がっていたし。作品は何でもよかったんだろうな。名誉賞でもいいだろうに。でも、香港の大監督アンドリュー・ラウに感謝を述べていたし、香港映画人の励みになったのなら、もういいや。脚色賞と作品賞は納得できないけど。
公正を期すために「ディパーテッド」は観に行こうと思う。「無間道(インファナル・アフェア)」のことは忘れてアメリカ映画として観るつもりだが、ちょっとだけかかった屋上のシーンでもうだめだったので、それは難しいかも。「クイーン」と「パンズ・ラビリンス」と「リトル・ミス・サンシャイン」は観たいな。「クイーン」はコーギーちゃんが4頭も出てくるし。アカデミー賞に問題があるからといって、映画に罪があるわけではないものね。
字幕版を好意的に見られたのは、生中継版にあった「日本のスタジオ」のインサートがなかったことも大きかったと思う。「日本のスタジオ」が入るのは、向こうでコマーシャルが入るからしかたがないと思うのだが、後生だから、来年は、映画に愛情を持ってちゃんと見ていて、まともなコメントができる人を出してほしい>WOWOW。今年は本当にひどかった。そういう姿がばれるのって「日本一いい男」戦略としてはまずいと思うのだが。
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コメント
初めまして、コメントありがとうございました。
そして、いつも読んでいただいているとのこと、本当にありがとうございます。
監督賞は仕方ないと思うんですよ、とっくにもらってておかしくない人ですし、どの作品でもよかったでしょうから。
ただ、いくらなんでも作品賞はないだろと・・・。
そして、脚色賞もないだろと・・・。
でも、おっしゃるように、ショーとして見れば、あれはあれで素晴らしいですよね。
ここ数年は観てませんが、今年のモリコーネに授与するイーストウッドはぜひ見たかったです。
今後とも宜しくお願い致します。
投稿: micchii | 2007.02.28 10:37
micchiiさん
初めまして。ようこそいらっしゃいませ。
コメント、ありがとうございます。
監督賞は、「スリーアミーゴス」との絵面はよかったんですけどね。
ノミネートされた他の作品に失礼だよなあという気がします。
イーストウッドはマカロニ・ウェスタンをやっていたので
イタリア語ができるんでしょうね。嬉しそうでした。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿: きたきつね | 2007.02.28 20:34