「門徒」
アン・ホイ監督のティーチ・インという思わぬ僥倖に浮かれつつ、旺角まで歩く。土曜なのですごい人。でも旺角の人混みは嫌いじゃない(銅鑼湾はどうもだめなのだけれど)。
なにせ映画を観るのは今日しかないので、ブロードウェイ旺角へ行き、18時のチケットを買う。なんと、チケットがオクトパスカードで買える。並ばずに。広東語や筆談の苦労もせずに。すばらしい。
無事チケットを入手。少し時間があったので、甜品を食べて(あとで別項で書く予定)いそいそと映画館。
「門徒」とは、「弟子」の意味らしい。
麻薬界の大ボス、アンディ・ラウに弟子のように目をかけられているダニエル・ウー。でも実は潜入捜査官。「潜入もの」ってジャンルとして確立したんだなあ、と思う。ダニエルの隣人は実は薬中の若い女性。かわいい娘がいるのに…。お腹を空かせた娘のために麺を借りに来たことがきっかけで、ダニエルは2人の面倒を見るようになる。しかし彼女にはジャンキーの夫(彼に薬を覚えさせられたらしい)がいる。アンディ・ラウの片腕として麻薬製造の中枢に入っていくダニエル。そして…。という話。
アンディ・ラウが糖尿病と腎臓病を患うボス役で、老け役としてとてもいい。その前に「大丈夫日記」みたいな發仔を見たのでよけいにそう思ったのかも。今までになかった役で、ダニエルと好対照だと思う。「童夢奇縁」の影響もあるのだろうか。アンディは努力家だなあ。
ダニエルもとてもいい。最後まで見ると冒頭の意味がわかるのだが、次第に空虚を抱えていく役をうまく演じている。「美少年の恋」や「玻璃の城」を思い出してしみじみする。うまくなったねえ。
しかし何より驚いたのは、「この人ルイス・クーに似てるけど違うよね」と思っていたのが本人だったこと。ジャンキー役がうますぎる。
ストーリーも、アンディの「門徒」であるダニエル、病を家族を抱えるボスのアンディ、張静初演じる隣人とその家族、それぞれ抱えるものが交錯してラストに向かって行くんだなあ。切ないのう。なぜ人間は耽溺するのか。
あとで思い返してみると、ラストのシークエンスがとてもよかったと思う。ハトはいなくなり、いろいろあるけど、それでも人間はそうやって生きていくんだなあ。
この映画が香港で見られてよかったと思う。たぶん、よく知っているあたりが舞台になっていると思うの。見終わって外に出たときの幸福感といったらない。そして、香港で観るもうひとつのいいところは、満場のお客さんと感情を分かち合えること。「とんかち」と「ねずみ」で一緒にぎえー!と言ってしまった。
でも、日本でまた見に行くんだ。札幌のスクリーンで観たい。
今回香港で観た映画は、いろんな意味で大当たり。幸せ。
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コメント
ちょっとボヤボヤしていて遅くなりましたが お帰りなさい
まるでラッシュの様に 香港に知ってる(ったってブログだけど)方が皆さん行って
私の行きたい病はもう手がつけられない状態です
「門徒」の感想すごく嬉しく拝見しました
素晴らしいと 見てもいないのに 散々ブログで宣伝した手前
本当に見てきた方から 良かったと聞いてホッとしました
私も香港で見たいです。。。あぁこんな時急に離婚届けを書きたくなります(爆)
何時でも自由に何処へでも行ける身分になりたい~
来週からのパリ旅行もキャンセルした家庭の事情がある今は
せめてお願いしよう「何処か配給会社が買って早く日本で公開して下さい」
投稿: usako | 2007.03.13 19:35
usakoさん
「門徒」って何処も買っていませんでしたっけ?
これは買わなければですよ。
彦祖もアンディもとてもよかったんですもの。
日本語字幕でちゃんと観たいです。
香港は天下の回り者(?)です。
行くチャンスは必ず巡ってきますとも!
投稿: きたきつね | 2007.03.13 22:23