「芋たこなんきん」終わる
「芋たこなんきん」が終わってしまった。
日頃ドラマはめったに見ないのだが、最近は、これだけは毎朝朝7時半からと土曜日のまとめて再放送を欠かさず見ていた。終わってしまってがっくりである。
お聖さんこと田辺聖子さんモデル・原案のドラマである。田辺聖子さんの半生を描いたもので、子供のころ、早逝した文学仲間の夫君である5人の子持ちであった(実際には4人だけど)カモカのおっちゃんと結婚するいきさつ、結婚してからのことが描かれている。
田辺聖子さんの本は、評伝と王朝もの以外は大体読んでいるので、ドラマの内容には心当たりがずいぶんあった。それだけ、お聖さん(と呼ばせていただく)の人生を色濃く反映しているということなのだが、それだけではなく、エピソードの描かれ方、出てくる俳優さんがとてもよかった。
お聖さんであるところの花岡町子役を藤山直美、カモカのおっちゃんこと徳永健次郎を國村隼、その兄昭一(「さすらいの男」)を火野正平、妹を田畑智子、町子の母を香川京子(若い頃は鈴木杏樹)、終戦直後に亡くなった父を城島茂、祖父を岸辺一徳が演じている。近所のおでんや割烹のおかみはイーデス・ハンソン、映画館主は櫻木「柔道一直線」健一だ。ゲストがまた豪華で、先輩作家が筒井康隆先生、ツチノコ研究家が石橋蓮司(アーノンクールのおっちゃんに激似)など。
特に、藤山直美、香川京子がうまいうまい。今週はカモカのおっちゃんが肺ガンを宣告されてしまったのだが、2人の演技で泣きまくりである。カモカのおっちゃんこと國村隼は「香港映画の悪役」というイメージがあったのだが、兄役火野正平ともども色っぽく、なんとセクシーな兄弟なのだろうと思う。火野正平はそりゃあ実生活でももてるだろう。
お話の大部分はおっちゃんと町子が結婚してからなのだが、思い出話に戦争中のエピソードが混じり、時が経つに連れ、時代が戦争中→昭和40年代→平成初めと移り変わっていき(家の中の電気製品がさりげなく変わっている)、思いっきり生活の現代史だったりもする。
そして、時間の経過を視聴者も共に過ごしているので、すっかり家の事情がわかってしまい、「あの、泣き虫だった隆くん(末の息子)がねえ…」とか、「お兄さんって結婚式のとき鶏送ってきたっけなあ」とか、まるで親戚のおばちゃん状態で、伏線がうまく引いてあるので、しみじみしまくり。思い出の共有のさせかたがとても上手い。
今週はカモカのおっちゃんが肺ガンで、最終回がお葬式だったので、朝から泣いた。ここ1か月ぐらいは泣ける回が多く、録画したのを見直すとまた泣けるのだが。
何週間かのぶんは録画したのが残っているのだが、子供達が小さいときのエピソードもいいのだ。週に2つぐらいは何かしら事件が起こるのだが、週の終わりには気持ちよく解決するし。
最初のころは、あまり気を入れてみておらず、見ていない回もあるので、それが口惜しくてならない(それで後からのエピソードがわからなかったりするのよ)。再放送かDVD化を激しく希望する次第である。
来週から淋しいなあ。
ラストシーンには田辺聖子さんご本人と、秘書のミド嬢こと安宅みどりさんが登場。安宅みどりさんはドラマではいしだあゆみが演じていたのだが、本物がさらにきれいで品がよいので驚いた。
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コメント
ご無沙汰しています。
私も「芋たこなんきん」毎朝楽しみに観ていました。
藤山直美は天才ですね!先週はずっと目が腫れていて、外出するのがちょっと恥ずかしかったです。
ラストの田辺聖子さんと安宅みどりさんのツーショットも良かった。本当に安宅さんは上品で綺麗!
心温まるドラマが終ってしまってちょっと寂しく思っています。
ところで、今日は張國栄氏の命日でありましょうや。合掌。。。
投稿: ちょし | 2007.04.01 17:10
おお、ちょしさんも見てましたか!
ここ1か月ぐらい、泣けましたよねえ。
録画しておいた昔の放送(「角煮」が出てきて、健次郎のお母さんが奄美に帰る週)を見たら、
やっぱり泣けました。
そして、今日はレスリーの命日。
これから個人的な追悼会です。(泣)
投稿: きたきつね | 2007.04.01 20:29