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鴨ちゃんが死んだ

 香港話はあと3回ぐらいで終わる予定(すみません、もう少々おつきあいくださいませ)なのだが、割り込み。
 亞洲秘密房間さんで、鴨志田穣さんが腎臓癌で亡くなったことを知る。サイバラこと西原理恵子さんのご主人だった方である。
 サイバラ(と書いてしまう、どうしても)の読者ならご存じとは思うのだが、『鳥頭紀行』の取材でタイに行ったときに知り合い、1年後ぐらいに『鳥頭紀行ジャングル編』でアマゾンに一緒に行ったのが縁で結婚したのだった。カメラマンで、イラクで撃たれて亡くなった橋田さんのアシスタントをしていた人である。サイバラの書くことは割り引いて判断した方がいいとは思うのだが、タイでは「酒を抜くために仏門に入っていた」と書かれ、結婚後もたぶんアルコール依存症で入院したりして、いろいろと大変だったのは確かだと思う。
 結局、離婚したのだが、最近よりを戻したらしいということは聞いていた。今にして思えば、おそらく、病気のためだったのだろうなあ。
 サイバラのマンガの中では、もうどうしようもない書かれ方をしていて、これは長生きはしないだろうという感じではあったのだが、亡くなったと聞くと、なんともいえない感慨がある。
 ひとつには、ずっとリアルタイムで読んでいたので、すっかり知り合いのような気がしているということもあるし、書かれ方はむちゃくちゃなのだが、そのむちゃくちゃさの中に心の柔らかい部分が見えたということがあるのだと思う。閉鎖病棟に入院したときのくだりなど、泣けたところはいくつもある。
 鴨ちゃんも心の弱いところがあったにせよ、戦場でいろいろ見てきたこともあったのだろうし、サイバラも、自分をめちゃくちゃに書いてはいるのだが、心はとても柔らかい人だと思うのだ。

20070323saibara

 ちょうど今発売されている『新潮45』に載っている「鳥頭日記」が、家族で旅行に行く話で、ひとコマだけ出てくる後ろ姿の鴨ちゃんが「ながいきしたいなあ」としみじみ言い、「ずーっと先の予定まで決めちゃおう」とサイバラが言うと、2人の子供がぎゃーぎゃー喜ぶ、という話で、本屋で読んで泣いてしまった。
 ほんとに長生きしたかったんだろうなあ。
 心から冥福を祈る。

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コメント

私も訃報を聞いて「あぁやっぱり」と思いました。
アルコール依存症の治療のための入院をしても脱走したり
吐血がよくあったりと、それ以外にどこか重篤な病気を持ってるのではとも思っていました。
サイバラさんと共著(というのかな?)も読みましたが、一番印象に残ってるのは鳥頭の中でドイツで結婚式をあげている写真などです。
あの頃のお顔と最近朝日新聞に著書紹介で出ていた写真と随分違っていたので、それだけでちょっと涙が出てしまいました。

香港へ行かれたお話しのコメントをさせていただきたかったのに(ただ羨ましいだけなんですが)まさかこのようなことでさせていただくとは思ってませんでした。
香港のお話続きを楽しみにしています。

投稿: mau | 2007.03.24 18:13

mauさん
いらっしゃいませ。コメントありがとうございます。
訃報を聞いたときには肝臓かと思ったら、
腎臓癌だったんですよね。
youtubeに上がっていた最後のテレビ出演を見たら、
ほんとに穏やかな顔をしていて、
こう言っては何ですが、幸せな晩年だったのかなあ、
という気もしました。
ドイツの写真は、鴨ちゃんのウェディングドレス姿と、
サイバラの顔が引きつっていたのが印象的でした。
あちらではお酒を飲まずにすむとよいのですが。
ともあれ、今後とも、よろしくお願いいたします。

投稿: きたきつね | 2007.03.25 16:01

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