チェンバロを見る・聴く・触る
北海道大学総合博物館の1階にはチェンバロがある。3年前の台風18号でばったり倒れたポプラ並木の木で作ったもの。
こんなの。
鍵盤も木でできている。何やら由来も書いてある。
先日、「チェンバロメンテナンス講座」というのがあり、ちょうど時間が空けられたので(戻ってちゃんと働いたけど)行ってきた。いや、チェンバロは聴くのが好きなだけなんだけど(バッハ先生のコンチェルトとか)、対象が「チェンバロ演奏・管理に『興味がある方』」だから、まあよかろうと思って。だって滅多に聴けないものねえ。
内容は、主にチェンバロの調律に関すること。チェンバロの調律が12音の間隔が等しい平均律ではなく、ある音の間が近かったり遠かったりする古典調律である(三度とか五度の和音が綺麗に響くらしい。調号が増えると音が濁るらしいんだけど)ことから始まって、実際にどうやって調律するかというお話。
今までちゃんと知らなかったのだが、チェンバロは、鍵盤ひとつに弦が2本(バックとフロントと呼ぶ)張ってあって、鍵盤を押すと下から持ち上がってきた「棘」のようなもの(写真に白く見える。昔は鳥の羽だったが、今はプラスチック)が上がってきて弦をひっかくという仕組みだったのであった。2本の弦が少しだけタイムラグをおいて鳴るのね。
調律実習中。
調律は
1 チューナーを古典調律の設定にし
2 「フロント」を解除して「バック」のみ有効にし
Aを415ヘルツで合わせる。
合わせるときは、ペグをハンマーで回すのである。
3 次に下に向かって1音ずつCまで合わせる。
4 Cまで行ったら、上のBとHを合わせる。
5 次に下の音をオクターブで合わせる。
6 さらに上の音をオクターブで合わせる。
7 「バック」が合ったら各音の「フロント」を合わせる。
ハモりで合わせるとか、バックとフロントを合わせるところとか、まるでマンドリンのチューニングだ。
してみると、チェンバロって、弦楽器を横に寝かせて鍵盤をつけたものなのね。まあ、横に寝かせた弦楽器としては、ハンマー・ダルシマーとか楊琴(どっちも好き)があるけど、鍵盤をつけようと思いついた人はえらいなあ。マンドリンだと右手の動きの制約はあるし、左手と合わせなければならないし、どんなに鳴らしても4重音だけど、鍵盤をつければ和音や動きのバリエーションがうんと広がるもんなあ。
ちなみに、チェンバロは1700年ごろできたらしい。バッハ先生が音楽家として活動を始めた頃か。
チェンバロ、弾きたいな。
| 固定リンク
« ゲルの中 | トップページ | スシ・フリットの衝撃 »
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
わあ、おもしろいですね!
弦が2本あるとは知りませんでした。
チェンバロ習っている知人が、
「音が狂いやすいから弾く前に必ず調律しなきゃいけない」と
何だか弦楽器のようなことを言っていたのを思い出しました。
思いっきり弦楽器なんですねー。
投稿: rivarisaia | 2007.06.21 22:43
すんごく面白かったです。
いやー行ってよかった。
百聞は一見にしかず。
チェンバロ、
ここまで弦楽器な奴とは思いませんでした。
ご友人、習ってらっしゃるのですか?
うらやましい〜。
投稿: きたきつね | 2007.06.21 23:01
ほんとうに「撥弦楽器」ですね。先日の「森の広場の音楽会」で、フルートとチェンバロのための作品をリコーダーとリュートで演奏していただきましたが、まったく違和感はありません。
えーい、面倒だ!ねかせて鍵盤つけちゃおう!と思った方が偉かったのですね(笑)。
(あ、もちろん鍵盤楽器の発展の歴史はそんな簡単なものではありませんが・・笑)。
それから、前回の「狼」のお話関係で、グリモーでしたか、野生狼の保護運動に関わっているピアニストを思い出しました。
とびきりの美女で、ピアノもすごく良かったと(CDでは)思い出しています。
狼は「オオカミ」、孤高の神獣だと思います。
媚びず、諂わず、美しい毛皮を持って、番の仲睦まじく・・・そういう品のある動物は絶滅してゆくのでしょうね。
生前仲良くなれたら良いのですが・・・
きっと「人間」などという品のない(個体が多い)動物は食われちまうに違いない。
投稿: びばいのゴーシュ | 2007.06.22 16:04
ゴーシェさん
お返事が遅くなりました。
聴けなくて残念だったのですが、
チェンバロパートをリュートで弾いても
あまり違和感はないと思います。
チェンバロを目の当たりにすると、ますます。
鍵盤をつけたのは「面倒」より「したいことができない」
せいではなかったかと推察するのですが、
考えついた方は、ほんとに偉い。
(資料は残っているのでしょうか?)
モンゴルの狼は、すばらしい生き物だと思うのですが、
人間も必死なんでしょうねえ。切ない話です。
投稿: きたきつね | 2007.06.24 21:25
はじめまして★
北海道のポプラを使って作られたチェンバロの事、以前に新聞で読みました。私はチェンバロを弾いているので、結構興味があり、見てみたいなぁと思ってたんです。
コチラで写真も拝見できて「おぉ♪」と思っていたら、なんと私のブログがトラックバックされており、何だか嬉しかったです☆有難うございました(笑)
また、ちょこちょこよらせて頂きたいです♪
投稿: ちぃ | 2007.07.01 22:37
ちぃさん
初めまして、ようこそいらっしゃいませ。
コメントありがとうございます。
ブログ拝見しました。
チェンバロを弾かれるのですね、羨ましい…。
私はマンドリン弾きなので、チェンバロは聴くだけなのです。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします♪
念のためなのですが、
トラックバックは、どこからか送られて来たもので、
こちらから送ったものではないのです。
送ってくださったものではないのですね。
どうして来たのでしょうか…?
投稿: きたきつね | 2007.07.02 22:28
きたきつねさん、すみません!!私がトラックバックさせていただいたのですよね!(^^;)最近ブログを始めたばかりだったもので、何だかよく理解出来ていませんでした。。意味不明な発言をしてしまって申し訳ございませんm(__)m
私は二年前に、初めてマンドリンと共演させて頂きました。それ以来マンドリンのファンです☆☆
私のブログも見ていただいて有難うございます!まだまだ初心者な私ですが、これからも宜しくお願い致します♪
投稿: ちぃ | 2007.07.08 02:07
ちぃさん
かえって、すみません。
わざわざありがとうございました。
システムって、結構むずかしいですよねー。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
投稿: きたきつね | 2007.07.09 06:39