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空海さんとデート

 今日はお休み。とにかく、どこかへ行きたかったので、北海道立近代美術館に「空海マンダラ—弘法大師と高野山」を見に行った。

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 6月3日までのせいか、平日だというのに、けっこう混んでいた。でも、展示物の前の滞在時間はあまり長くない人が多かったので、意外とゆっくり見られた。それほど仏教には詳しくなく、気負っていったわけではないのだが、おもしろかった。
 ひとつは、空海さんその人。空海さんは、今までちゃんと知らなかったのだが、774年に生まれ、31歳で出家して遣唐使の第1船で唐に向かい、インドの高僧に梵語・声明・ヒンドゥー教を師事した後、真言密教第七祖から正統な密教を継承して第八祖の地位につき、20年の留学予定(長い…)を2年に縮めて帰国、44歳で高野山開創に着手、55歳で日本初の庶民の学校を設立し、日本初の辞書も執筆、62歳で入定した人だという。24歳で戯曲形式で儒教・道教・仏教を比較して(日本初の戯曲らしい)仏教の卓越性を論じたと言うから、さぞや優秀な人だったんだろう。
 この「日本初の戯曲」の直筆が展示されていて、感慨深かった。「弘法も筆の誤り」の人だから達筆であることもさることながら、直に書かれた字を通じて、人となりや情熱が伝わってくるような気がして。

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 しかし、これは漫画だ。
 唐に渡り、王義之の書の横に、口と両手両足で同時にすらすらと字を書く空海さん。

 もう一つ、感慨深かったのは、密教の教えを伝えるために作られたもの。密教は、たぶん、道具を媒介して生きながら即身成仏をするために、仏像の手の形から何から様式が厳密に決まっているそうで、それをまとめた巻物に、書き込みや仏具の絵が落書きみたいに描いてあって、ああ勉強したんだなあ、とか。
 鳥羽上皇の皇后が、上皇の冥福と自身の滅罪生善を願った直筆の写経も何かが伝わってくるようだった。一文字一文字に気持ちが籠もっているんだろうなあ。これもまた直筆の力。
 「日本最古の彩色曼陀羅」の実物(4メートル四方)が来ていたのだが、30分以上ずーっと見ていたのだけれど、これを使って真の世界を観想するのは面白かっただろうと思う。800年後の今ですら、色があせてよく見えないけど、見とれちゃうもの。
 仏像もいろいろ来ていて、憤怒の形相で「悪心を矯正する」不動明王や、大日如来さまに釘付け。

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 粗い心を捨てて慈悲の心を持ちなさいとでも言いたげな大日如来さま。実物の方がずっといいけど。
 でも、お寺じゃなくて、信心があるのかないのかわからない衆生にさらされるのはお気の毒な気もした。お寺の方がずっと似合うよな。ときどき、手を合わせているおばさまがいて尊いなあと思う。
 しかし、美術館のような場所ですら、そういうものを感じる人は感じるであろう迫力ではあった。800年の間、人の念(それもかなり濃いやつ)を受け止め続けてきたんだものねえ、いろいろこもっているだろうなあ。霊感がなくてよかったな。金剛峰寺、行きたいな。

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 おまけ:インドで遭難した三蔵法師の夢の中に激励に現れたという「深沙大将」。
 こわいんですけど。実はいい人なのか?

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