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仕事人・ハイドン先生

 最近の仕事中の音楽(聴けることもある)は、もっぱらハイドン先生である。なにせハイドン箱がたんとあるので、聴くものには不自由しない。このごろは、フィッシャー指揮の交響曲全集(33枚組8020円。安すぎる)がよい。最後の方のパリ・セットとザロモン・セットはアーノンクール版があるので、こちらでは、もっぱら、初期・中期の交響曲を聴いている。
 これが、いいのよ。 最初のほうは素朴なのだが、どんどん変わっていって、最後の104番「ロンドン」は別物のよう。
 実は、ハイドン先生は、その後の交響曲の基礎を作った人なのである。
 29歳でエステルハージ侯爵の宮廷に就職して、その後ずっと宮仕え(文字通り)。宮廷音楽家ということは、仕えていた侯爵家のニーズに合わせていろいろな曲を作らなければならなかったのだろうと思うのだが、作りながら工夫をいろいろして、古典派の交響曲の基本を築いた。
 とても忙しかったらしいのだが、侯爵が夏の別荘から8ヶ月も帰らなかったとき、一緒についていって家族と会えなかった楽団員のために、最終楽章の最後にメンバーが一人一人立ち去るようにして、みごと翌日からの休暇を勝ち取ったとか(交響曲第45番)、いきなり聴衆をびっくりさせるとか(おなじみ第94番「驚愕」、いわゆる「びっくり交響曲」)とか、おもしろい人だったらしい。
 モーツァルトより先に生まれて、後に亡くなったのだが、モーツァルトと親交があり、その才能を見て協奏曲を作るのをやめたとか。働きもので、ユーモアがあって、しかも人柄もよさげである。
 ハイドン先生が生きていた頃はちょうど社会の激動期で、音楽が貴族から市民のものになり、音楽家も教会や宮廷に雇われて曲を作ったり演奏したりするスタイルから公共の場で演奏会をするようになって、プロのオーケストラができた。そんな中で、雇われてミッションをこなしつつ、工夫をこらしてスタイルを作り上げ、その後の基礎を築くなんて、なんというプロフェッショナル。
 モーツァルトやベートーベンもよいと思うのだけれど、時々「俺が俺が」という感じが鼻につくことがあるのよね。まあ、モーツァルトは宮廷に就職できず、ベートーベンはフリーランスの音楽家なので、自己主張しなければならなかったのだろうけれども。
 でも、ハイドン先生の音楽は、とても明るくて気持ちがよくて、よく聴くと凄くて、飽きないのである。クライアントがいるので、心地よさは大事だったんだろうなあ。
 平明なイメージがあるうえ、時代的に、バッハやモーツァルトやベートーベンの陰に隠れて、あまり目立たないような気がするのだが、モーツァルトもベートーベンも、ハイドン先生がいなかったら交響曲は作れなかったのである。
 まさに仕事人の鑑といえよう。見習いたいものである。

20070904haydn

 肖像画はふつうのおじさんという感じなのだが、いっぺん会ってお話ししてみたいような気がする。

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コメント

ハイドン先生の「チェロ協奏曲」が大好きです。
明るくて、とてもやる気が出るので行き詰まったときに
愛聴しています(マリオ・ブルネロの演奏のやつ)。

聞いている私も気分がいいですが、
弾いてる人も気持ちいいだろうな〜と思います。
ハイドン先生は、聞く人と弾く人の両方が気分がよくなる曲が多い気がします。

投稿: rivarisaia | 2007.09.05 22:56

「チェロ協奏曲」、ただいま注文中です。
楽しみ〜♪。
管弦楽器をやっている方はハイドン先生が弾けるんですよね。いいなあ…。
音域が同じなので、
マンドリンでもなんとかなるのでしょうけれど。
それにしても、ハイドン先生、
聴く人弾く人の気分をよくさせるとは、なんと素晴らしい。
知る人ぞ知る、という感じなのが、嬉しいような悔しいような。

投稿: きたきつね | 2007.09.06 00:13

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