『Coyote』「中国茶葉街道を行く」
本屋に行ったら、『Coyote』という雑誌で「中国茶葉街道を行く」という特集。「烏龍茶、花の香りをこえて」というサブタイトルがついている。
写真がきれいでページ数も多かったので買ってみた。
目次は、「武夷山探訪」「武夷山で茶藝を楽しむ」「烏龍茶とはいかなる飲み物か」「烏龍茶はサントリーのこと」「烏龍茶の品質 上海品質保証センターを訪ねる」「路地で会った市井の人々 烏龍茶のある風景」「茶の村に流れる悠久の時間 福建省下梅村」「茶葉古道を辿る 雲南 茶と少数民族の道」というラインアップ。
「武夷山探訪」は、駒沢敏器さんという人が、それまでコーヒーばかり飲んでいたのに、武夷山に行ってからというもの、「身体が完全に烏龍茶を欲している」「細胞が茶をくれと言っている」ように変わってしまったという話。それはよかった。雑誌のお茶特集は、もともとお茶が好きな人の紹介・意見や、お茶屋さんの中国茶指南が多いので、これは珍しいアプローチだと思う。「武夷山で茶藝を楽しむ」は、そのときに遭遇した茶葉料理と茶藝の紹介コラム。
この旅の案内人になったのは松井陽吉氏という人で、目次での肩書きは「名誉茶師」になっている。「世界でただ一人、中国政府から与えられた」称号らしい。「烏龍茶とはいかなる飲み物か」はこの人のインタビュー。
実は、この松井氏の正式な肩書きは「サントリー飲料開発部設計部長」なのであった。「烏龍茶はサントリーのこと」は、この人とサントリー食品事業部副事業部長の対談、「烏龍茶の品質 上海品質保証センターを訪ねる」は、上海にある「サントリー品質保証センター」の取材、「路地で会った市井の人々 烏龍茶のある風景」は、中国の市井の人々がサントリー烏龍茶のペットボトルを持っている写真の数々。
100ページ近い特集のうち、半分がサントリー関連。
これは、サントリーがスポンサーなんだろうと思う。裏表紙の広告もサントリーの「大紅袍」の広告だし。
バックナンバーを見ると『Coyote』は、旅やアメリカ文学関連の特集が多い。星野道夫さんや植村直己さんの特集はよかったと思う。いままで中国茶になじみがなかった人向けには、こういうアプローチもあるかもしれない。取材費も出るし。
しかし、コマーシャル臭がなんとなく感じ取れてしまうのは、雑誌にもメーカーにもあまりプラスにならないのではないんだろうか。サントリーは「大紅袍」路線に社運をかけているのかもしれないけど。自分の手柄や蘊蓄を得々と話すのもあまりいい印象ではないし。茶葉の巨大販路を確保したわけだから、そりゃ「名誉茶師」はもらって当然だろうけど。昨今の中国での茶葉市場の話を漏れ聞いてもいるので、「ほーすごいですね」(棒読み)という感想。
少なくとも自分は,今後サントリーの烏龍茶は飲まないでおこうと思ってしまったのだった。市場のターゲットは違うであろうから、メーカーには痛くはないだろうし。
まあ、「茶の村に流れる悠久の時間 福建省下梅村」「茶葉古道を辿る 雲南 茶と少数民族の道」はよかった(特に「茶葉古道を辿る」は読み応えがあった)ので、よしとする。ハニ族の「土鍋茶」は京番茶のよう。
武夷山ふもとの下梅村にいるこの子も可愛かったし
(うちにいた犬に似てるのよ)。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント