ウィーン・フィルを香港映画のように
その昔、映画館に香港映画を見に行くようになってしばらくたった頃、お友達のKちゃんと話していたときのこと。「香港映画って、いっつも同じ人が出てない?」「出てる〜!こんな人(つり目のアクション。今にして思えば火星だ)とか、こんな人(頬がこけているアクション。今にして思えば太保である)でしょ〜!」。どちらが言い出したのか記憶が定かでないのだが、おそらく、このときが、香港映画にはまった第一歩だったんだろうと思う。
それ以来、香港映画を見に行くたびに、脇役に「知っている人」を探すようになった。「燃えよドラゴン」なんか、ビデオを借りてきて(当時はDVDはなかった)、コマ送りにした揚げ句、ユン・ピョウちゃんやマン・ホイ(当時は名前がわからず「小堺」と呼んでいた)を発見して喜ぶ始末。
今はネットもあるし、情報量が当時と比べものにならないのだけれどね。
気がついてみると、今でも別なところで同じようなことをしていたのであった。それはウィーン・フィル。
一昨年、アーノンクールのおっちゃんが来日して、ウィーン・フィルでモーツァルトの交響曲を振った録画を何度も何度も見たことが直接の原因だと思うのだが、それ以前にニューイヤー・コンサートは毎年見ているので、気がつくと「知っている人」が増えている。ウィーン・フィルを映像で見る機会があると、探してしまう。
今年も、めでたく年が明け、ニューイヤー・コンサートで探してしまったのだが。
あらら、「セカンド・ヴァイオリンのキューピーさん」も「猿顔のファゴットのおっちゃん」も「コントラバスのメンデルスゾーン」も「イケメンハープ」もいない〜(呼び名はなんだが贔屓のみなさんなのである)。「ファースト・ヴァイオリンのにこやかおじさん」は3プルトの表にいてよかったけど。
しかし、演奏は、とても勢いがあってよかったのだった。指揮はジョルジュ・プレートル。御年83歳で、見れば見るほど東野英治郎(初代水戸黄門)に似ている。最後は総立ち大拍手の好演。
演出も凝っていて、バレエが入るのはいつものことだけれど、お馬さんも踊るし、バレエの人は「美しく青きドナウ」で演奏会場に乱入するし、男ばっかりのサッカーのバレエ(ユーロカップがオーストリアであるかららしい)もあった。
毎年おなじみの小ネタ(一昨年はヤンソンスが携帯を鳴らした上にピストルをぶっぱなし、昨年は団員のみなさんが「俺が俺が」合戦を繰り広げた。大好きだ)は何かと思ったら、アンコールの「スポーツ・ポルカ」で、メンバーが赤いスポーツタオルを巻き(録画を見直したら椅子の下にタオルがあった)、ホイッスルで始まり、
指揮者がコンマスにイエローカードを出した。
その後、コンマスが指揮者にレッド・カードを出して黄門さまはしょんぼり退場、「美しく青きドナウ」の前に和解するという演出つき。初見のときは爆笑。
ともあれ、「美しく青きドナウ」と「ラデツキー行進曲」(もちろん一緒に手拍子する)を聴いて、箱根駅伝を見ると、年が明けたなあと毎年実感するのであった。
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