「雑味」って
早く帰って休んだところ、なんとか復活。しかし風邪気なので、愛子さんのとこの雑種茶を飲んでいる。
品茶会のことを書こうと思っていて、何から書こうかと思っていたら、のーとみさんが近いことを書いてらしたので、これにする。
品茶会のときに「雑味」が話題になったの。
今年の秋の鉄観音に「蜜丹」というお茶があるのだが、これは「心の隊員セット」には入っていない。とても刺激がある味なのである。渋いというか何というか。でも、その刺激が後で甘さに変わるの。
それは、ぽーれい生茶の感じにとても似ている。若い生茶は、やっぱり舌を刺すような味がするのだが、それが甘みに変わる。そして、年月が経つと、とても甘いお茶になる。
みかんの香りがする生茶「板山千年茶」。
2003年のお茶で、とーっても甘い。
愛子さんは、「蜜丹」については「陳年用」と書いてらっしゃるのだけれど、たぶん、「蜜丹」もこんな感じで甘くなるのかもという気がする。
それで、この「蜜丹」を飲んでいるときに、どなたかが「蜜丹」の味を「雑味がある」と言って、雑味って何?という話になったのだった。蜜丹のこの味は雑味なのだろうか?
実のところ、自分にとっては、雑味ではないのである。どうしてかというと、甘みに変わる刺激味が嫌いではないから。薄めに淹れて延々と飲んでも美味しいと思うんだよなあ。
前に愛子さんの「07秋鉄観音旅日記」(あとで余裕があったらリンクを張ります)で、若い工人が伝統茶の味や香りをいやがって空調茶をよしとする、というくだりがあったのだが、たぶん若い工人にとっては伝統茶の味が雑味に感じられるのかもしれない。私はそうは思わないけど。空調茶の味が美味しいのだ、と刷り込まれたら、というか、その味が基準になったら、伝統茶の味は基準から外れるわけだし。
上記ののーとみさんの記事に平田さんが解説をつけてくださっているのだが、それを読むと、雑味とは「規範から外れている味」のように読める。「焙煎のときの焦げ味」とか「劣化した茶の味わい」とか。それはもしかしたら、万人に共通するのかもしれないけど、共通しないのかもしれない。
特に、お茶の味の認識は、あとから言語によってもたらされる度合いが大きいように思うので(これも品茶会の醍醐味だと思うのだけれど)、規範とされているお茶の味わいから外れるものは雑味になっちゃうのかも。
でもねえ、味覚って個人的なものだし。規範が絶対的なものとは限らないし。結局「その個人の期待や予測から外れた好ましくない味」が雑味ということになるのだと思う。たぶん。
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コメント
こんばんは、きたきつねさん、蜜丹…実は気になっていたのです。少しずつ美味しくなってゆく過程が不思議です。きたきつねさんのおっしゃる通りぽーれい生茶の変化に通じるのでしょうか…
雑味のお話も興味深いです。なめらかではない引っ掛かる味に私は思っています。
投稿: 白玉 | 2008.02.01 01:23
白玉さん、こんにちは。
「雑味」、たしかに「引っかかる」味だと思います。
その「引っかかり」が好きかどうかにつきるのでは。
蜜丹や生茶は、確かに引っかかるのですが、
私は好きなんですよね。
個人的には、この2つは似ていると思います。
するする飲めるお茶がいいお茶かも、面白いですね。
投稿: きたきつね | 2008.02.01 08:09
多分、お茶の味には基準というのもはあるんです。でも、それは飲む側の基準ではなくて、作る側あるいは売る側の基準なのですね。で、その基準から外れるということは往々にしてあるわけです。
そのような基準がなければ、品評ということはできません。
茶業というのもは、経済を支える大きな力として育成されてきましたから、その発展のために、「基準」というものは作らざるを得なくて、そのために、「基準外」というものも存在するのです。
もちろん、その基準は時として大きく変更していくこともあるわけです。
中国のお茶の教科書には、「銘茶」の説明として「おいしいこと」ということは書かれていません。いかに価値を生み出すかということが基準になってしまっています。
だから、我々のように単にお茶を愉しむ側としては、「基準外」なんていうことはあまり機にしなくていいような気がします。
我々が我々個々人の基準で語る「雑味」は、単にその味に対して個人的な味覚で違和感を感じるということ程度の問題なのでしょうから。
それを語ることにあまり意味は無いでしょう。
結局、僕にとって良いお茶は、僕にとって美味しいと感じられるお茶なんですね。10人中9人が美味しいといっても、僕が美味しいと感じなければ、それは良いお茶ではないわけで、ある人が雑味があるといったら、それはその人が違和感を感じたというだけであって、それが好きだという人がいても、なんら問題ないと思います。
投稿: tearecipe | 2008.02.01 09:44
tearecipeさん
というか、平田さんの方がお呼びしやすいのですが、
丁寧なコメントありがとうございます。
たしかに、お茶を売る上では基準は必要ですね。
値段をつけなければならないし。
しかし、愛子さんの旅日記を読んで、
「形」や「色」を売れるように作り変えるために
犠牲になってしまったものがあることを知り、
個人的には、市場で高い値段がつくお茶を飲みたいとは
金輪際思わなくなりました。
お茶は人が飲むものですから、
結局、おっしゃるように、「美味しいお茶」は
個人にとって美味しいお茶でしかないんですよね。
そのとおりだと思います。
投稿: きたきつね | 2008.02.01 10:24
きたきつねさん!
雑種茶飲みましたかー♪
そのお茶、慌てて飲まなくて大丈夫よおおおーーー!!!
まずそれをお伝えしておこうと。。。はぁはぁ。。。(笑笑)
1970年の野生茶、品茶会で一緒に飲みましたよね!
あれ、製茶後に一度も火が入っていなかったでしょ!
珍しく保存が好かったこともあるのですが、ほぼ38年が経過して。
それで、アレですよー♪
06春野生茶は、おとんと私が熟香型の[火考]火の研究していたので
それも熟香型に仕上げました!
春茶なので秋茶より[火考]火を強めにしてあるし、多少のことでは
影響うけないから、開封後も大丈夫!
お渡しした際のガゼットならガスバリアー効いているので、
開封しても密封さえできれば長期おっけーら♪
野生茶で熟香型にしちゃったの、その春だけなの。
おとんは、もったいない・する必要ないって言ったけど、
まあやっても大丈夫な原料だから一度やってみようか!と。
あははー。
[火考]火する前のも研究用はとってあるので、次の品茶会で
ぜひぜひ一緒に品比してみましょうよー☆
おとんも私も「天然野生」はもう作ることが難しいけれど、
「野生茶」ならまだまだ大丈夫だと思っていたから、
その春に火入れ研究してみたの。
ところが、ご存知の通り、その後のスピードは更に急だった・・・。
07春には、その野生茶さえもうおとんの管理する山々だけでは
製茶できるだけの量の収穫は難しくなっていて、無理だった。
その秋(昨秋)には飲みたければすごい大プロジェクトが必要で
範囲も広がり資金もかかるような状況に・・・。
産地の状況から判断して、きっと次はその「大プロジェクト」も
不可能だと思う。
ということで。
06秋まではおとんの管理する山々だけで野生茶を作る事ができて、
その時代の最後の春茶が、その06春雑種茶(=野生茶)なのです♪
おまけに、保有している近代野生茶の春茶は06春のそれだけ!!!
しかも、熟香型にしちゃったから。。。もつもつ~☆
品茶会の後、思い立って03&04の鉄観音の整理をしたのですが、
そのついでにほぼ全部確認品茶して、大変な事実にたくさん
気がついてしまった。
それは書くと膨大になりそうなので違う場所で改めて。うぃんく☆
その際、06春の雑種茶がいつのまにかもうお分けできる量が
ないことにも気付き、もしもまだ持っている茶友がいるなら、
どーかどーか大切にしてほしい。。。と、思っていたところに
ビンゴで登場していたので、ちょっと興奮気味で。。。
慌てていっぱい書いちゃった。。。はぁはぁ。。。(笑笑)
蜜丹♪
品茶会にお越しくださった茶友は飲んですぐにこの茶葉の好さを
感じていたのが分かって、それは個人的に心配していた予想に
反したご反応だったので、すっごく嬉しかった!
白玉さん!気になっていました?ありがとうございます~♪
きたきつねさんと一緒に品茶会でお先に行かせていただきました。
あはは。大丈夫、まだあるよ、どうぞ~♪(笑笑)
蜜丹は、水重の非常伝統茶で、ここ数年の気候ではめったに出ない
好い球で、おとんの07秋でもここまでのはこの一球のみ。
だからこそ、おとんも私も迷った。
多くの飲み手にその導入部の口感を「雑味」と「勘違い」されて
しまう可能性が強いから。その奥に存在しているものに
気がつく前にそれだけで過ぎ去られてポイってされたら、
それは非常にもったいない話で、これは渡す側としては多少の説明が
必要だと思ったの。
今でも十分だけれど、ベストにはまだ早い。
なのでタイミング待ちの陳年用!
でもこれから育てると先々お茶代は上がっていくので、
今好みであることに気が付かれた茶友には今のうちに
保有しておいてほしい。。。と個人的には思っている♪
雑味は、品茶会で説明したように製茶時とその後の2方向の
どっちの何の要因から受けた品質への影響なのかを正確に判断
できないと話の標準はずれちゃいますよね。
あと、飲み手による個人感覚、これを加えた3方面。
飲み手にとっては、最後のが一番大きいですね!
専門用語でもあるし、普段用語?でも一般的に使われるし、
おまけに日本語でも使われているようで、どの視点での
雑味の話をしているのかを互いに伝えないと話の標準は、
やっぱりずれちゃうなぁ~。
tearecipeさん、お久しぶりです~♪(笑笑)
品茶会で、飲みながらおしゃべりしているときに聞きました。
「雑味って、どう感じるものに対しての表現に使っている?」
みなさんすぐに個々に教えてくれました!
個人的な違和感、が多かったです。
これは私にとってすごい収穫でしたー♪
投稿: 愛子 | 2008.02.01 14:12
何というか、単に「雑味」という言葉をユーザーサイドで使うことへの違和感というのが、一番引っかかることだったような気がします。雑味のあるなしが、お茶の優劣の表現になる、そのねじれ方が気になったというか。
そういう意味では、tearecipeさんが言うように、「雑味」を語ることに意味は無いのだけど、語られてしまったら、とても気になってしまったということなのだと思います。
少なくとも、「雑味」という言葉では、案外伝わるものが少ないのではないか、ということを語るのは、意味があるかもとか思うのです。
投稿: のーとみ | 2008.02.02 19:28
お茶を製茶する人にとっては、目的っていうか到達すべき品質があると思う。
その品質のお茶にとって、必要ではない味や香りが発生したとき、それを雑味というんじゃないかなぁ・・・。
と、自分では考えていました。
けれどもこの定義では、作り手ではない単なる飲み手に過ぎないわたしたちには理解が難しいものだろうから・・・はて?!
と悩んでいました。
>雑味は、品茶会で説明したように製茶時とその後の2方向の
>どっちの何の要因から受けた品質への影響なのかを正確に判断
>できないと話の標準はずれちゃいますよね。
>あと、飲み手による個人感覚、これを加えた3方面。
愛子さんのこの説明は、とても納得のいくものです!ありがとうございました。
>「雑味」という言葉では、案外伝わるものが少ないのではないか
わたしもそう思います。個人差が、あるいはいろいろな条件が違いすぎる場合が多いと思います。
ただ(飲食物全体の)一般論ですが、非常によいものは、ほとんど全ての人にいいといわれるようです。
逆に評価が分かれるものは、やはり本当によいものの域には達していないらしいです。
それが本当であれば、誰かが雑味を感じるということは、それなりの評価のものになるのかもしれません。
それが好きか嫌いかということとはまったく異なる話ですけれどね!
投稿: smash | 2008.02.02 23:22
お返事が遅くなりました。
愛子さん
06春雑種茶、もつんですね。よかった〜!!(喜喜)
今にして思えば、熟香型にしてくださってよかったです。
樹がもうないのか…と思うと悲しくなりますが。
「雑味」は確かに3方向ですね。
飲み手の側からは、
どうしても「個人的な違和感」が主になるということですね。納得です。
コメント、こちらで直せます。直しておきますね。
のーとみさん
こちらにもコメント、ありがとうございます。
「ユーザーサイド」で「雑」という文言を使うということがポイントなのでしょうね。
作り手や劣化の側からは基準が明確化できるけど、
飲み手個人の側からは、
smashさんのおっしゃるように条件が違いすぎるので、
そこを「雑」という言葉を使ってひとくくりに
(あたかも明確な基準があるかのごとく)
述べてしまうことの危険性…ということでしょうか。
smashさん
非常によいものは、ほぼ全ての人がよいという…
そうかもしれません!
対偶をとると、「全ての人がよいと言わないものは非常によいとはいえない」…命題的に確かそうですね。
みなさま、コメントありがとうございます。
悲しいかな、病み上がりで頭がよく回らないのですが…(困)
投稿: きたきつね | 2008.02.03 21:39