十萬火急(ファイヤーライン)
繁忙期もそろそろ千代の富士の引退会見(「体力の限界」というやつですな。古いけど)。
万難を排して早帰り。
そして、ついに観ました。日本語字幕版を。
「ファイヤーライン」こと「十萬火急」。
これ、日本語字幕付きをスクリーンでやったんだよな。見たかったけど、東京まで行けなかった。
しかし、実は、わたくし、これを封切り時に香港のスクリーンで観ていたのであった。1996年12月、たしか旺角の金聲だったと思う。
思えば、これは、初めて劉青雲を認識した映画であり、当時は何も考えていなかったのだが、初めてスクリーンで観たジョニー・トー映画であり(ビデオでは「阿郎的故事(過ぎゆく時の中で)」を観ていた)、全く気がついていなかったのだが、林雪を初めて見た映画であった。あれ、「食神」とどっちが先だろう。たしか「食神」も1996年公開で、香港で観たのである。もしかして、1996年に香港で観た映画には両方とも林雪が出ていたのか。そうだったのか。
こちらに林雪が出ていたと知ったのは割と最近。そう思って見ると、おお白黒のシャツで一瞬だけ出ている。なんだか「もーにーん」とか言いそうだ。最初から林雪は林雪だったのね。クレジットでは「事務」になっていた。まだ裏方だったんだなあ。
そう思って見ると、これは確かにトー先生の映画である。風味としては「非常突然」に似ている。プロのお仕事と日常が交互に出てくるあたりが。そのプロのお仕事ぶりが、それはそれは格好良い。劉青雲は、頼れる男を演じたら、香港一いや世界一である。
すごいのは、その仕事ぶり。消防士さんも役者さんも。これ、CGじゃないんだよね。思いっきり火事なんですけど。どうやって撮ったんだろ。けっこう危なかったのではないか?香港で観た当時は、閉所恐怖症だったらたまらないだろうと思い、最後の脱出方法に驚いたものだが。
それにしても、思い出すのは、先日の旺角の大火事である。亡くなった2人の消防士さんについては、こちらのりえさんの記事に詳しいのだが、どうしても泣けてしまう。引用します。
2人は炎に飲み込まれたわけでも
失敗をしたわけでもない。
炎と煙に包まれた嘉禾大廈の中で
人命救助のため、自ら防火マスクを外し
中に取り残された住民につけ、
屋上まで避難させることに成功。
しかし、その直後2人はその場で意識を失った。
救助するために自らのマスクを外して渡し、
そのままで救助活動を続けたことによって
煙を深く吸い込んだことが原因だった。
陳兆龍(享年25歳)
蕭永方(享年46歳)
殉職。
お葬式の際、霊柩車は消防署を通るのだが、それは、
制服部隊にとって、任務終了の合図までが
「与えられた任務」。
消火活動の最中に殉職した消防士は
任務終了のベルの音をまだ聞いていません。
だから浩園に埋葬される前に
所属していた消防署に戻り、
任務終了のベルの音を大きく鳴らすことで
「あなたの任務は
只今を持って
全て終了しました。
ご苦労様でした」
と本人に伝えるというのです。
何度読んでも号泣。相変わらず名文です。りえさん。
是非、元の記事をご覧ください。
もう、これを読んでから「十萬火急」を観ると、最後は泣けてしまうのであった。そして、自分もがんばって仕事をしようと思うのであった。ほんとに。
【追記】こちらに動画を貼りました。
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コメント
きたきつねさん
リンクのご連絡ありがとうございました!
ニュース見て泣き、書きながら泣き、こうして場を変えて自分で書いたものを読んで、また泣きました(笑)
わたしの文章じゃなくて、この話そのものが人の心を打つものがあるんだと思います。
任務終了のベルの音を聞かせたい、という気持ちに、どんな言葉よりも、故人への想いや痛みが伝わってきます。
「十萬火急」、わたしもこの機会に再見してみたくなりました。
投稿: りえ | 2008.10.23 18:19
きゃー、りえさん!
コメントありがとうございます。
長々と引用してしまってすみません。
どうしても要約できなかったのでした。
引用しながら号泣です。
「十萬火急」、12年前の映画ながら、消防士さんたちに捧げたい。
エンドロールの最初に「特別鳴謝:香港消防処」と出るのですが、思わず拍手をしてしまいました。
是非再見してみてくださいませ。泣けます…。
投稿: きたきつね | 2008.10.23 20:48