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天の配剤

 泣いてしまった。こちらの記事を読んで。
 
 昨年、祥華のおとんは調子が悪かった。それは体調というより心理的なものだったのだろうと思う。数人いた伝統茶のお客さんも、ひとりは現れず、ひとりは空調茶を伝統茶と思い、ひとりは空調茶の方がよいといい、ひとりは飲まずにきれいだからと空調茶を選び、ひとりは飲まずに贈答用(たぶん)にした。飲んで伝統茶を選んだ者は、愛子さんと心の隊員にしかいなかったということ。
 そのときに書かれたのがこちらで、それを読んで書いたのが「おとん、加油!」。愛子さんは、その時に送られたメールを全部おとんに伝えてくださったそうだ。
 今年の秋の鉄観音(旅日記はこちらこちら)は昨年と様子が違った。おとんはやたらに元気だし、すごいお茶がどんどこできているみたい。昨年のことがあったし、おとんは腹をくくったのだなあと思っていたのだが。
 結局、おとんに力を与えたのは愛子さんだったのだなあ、と思う。長い間、よいお茶を作るために研究に研究を重ね、年に1球でも最高のお茶を作り出すことが生き甲斐のおとんにとって、中国の今の状態はとてつもなく辛かったのだろうと思う。
 愛子さんは製茶のとき、いつも「心の隊員」の名簿をポケットに入れていてくださるのだが、今年の秋、着いてすぐにその名簿を見せたところ、日本に自分の伝統茶を待っている茶友がたくさんいることを知って、おとんはその場にしゃがみこんで泣いたとのこと。こちらも泣きました。
 愛子さんとおとんが出会ったのはまさしく天の配剤だと思うのだが、もしかして、自分もその配剤の端っこに混じっているのかも、と思ったらとても嬉しかった。心の隊員でよかった。
 翁家山のおじちゃんも言うように「会得することは簡単なことじゃない、しかし失うことは簡単」なのである。そうして失われたものが、今の世界にはあまりにも多すぎる。

「今日より明日!今年より来年!天天向上!年年進歩!
自分ももっと努力するぞ。来年は、今年よりもっと好い管理をしてもっと好い原料を育てる!
毎年そうしたほうが嬉しいじゃないか!楽しいじゃないか!なあ♪」

 ほんとにそうだと思う。自分も天天向上したいと思う。おとんのお茶と愛子さんから、いろいろなものを分けていただいていると思う。
 お茶は自然のいろいろな条件と人が出会って生まれるもの。その配剤の中にみんないるのだと思う。伝わる人にはきっと伝わる。お茶の神様はきっといる。心の隊員で本当に良かった。
 「心の隊員」はまだまだ大募集中です。こちらをよくお読みの上、ご興味を持ったら是非!

20081110cha_2

 今日のお茶は、昨年秋のおとんの鉄観音から「愛手王」。愛子さんが機械を使わず昔ながらの方法で手と膝を使って包揉したもの。その模様は昨年秋の旅のアーカイブでつぶさに見られるのだが、これが甘い香りがして美味しいんだ。「なんでやり方を知っているのか?」とおとんが驚いたらしい。手工のこんなお茶、世界のどこに行っても飲めないと思う。

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