「香港エクスプレス」湾仔特集に思う
所用があって、キャセイパシフィックの札幌事務所に行った。発券が東京になったとのことで2階の小さい事務所に移ったのね。
待ち時間がけっこうあったので、あたりを見回していると、香港政府観光局の「香港エクスプレス」(PDFはこちら。さかのぼるとバックナンバーも読めます)が卓上に。
もらったんだけど、思わずその場で玩味熟読。
昨年末発行の21号が湾仔特集で、古い建物を改装したという話。和昌大押だけじゃなく、「船街18番」というビルも改装したのか。
湾仔の再開発は、当初は古い建物を全壊して新たにモダンなビルを建てる「六本木ヒルズ」式の予定だったのが、「古い香港を残したい」という気運が高まり、古い建物を残しながら、トイレ・エレベーターなどの近代的な設備を置く棟を増築しつつ、新しい高層ビルを組み合わせて収益を上げる方式に変わったらしい。和昌大押は買い取り・修繕費用が40億円かかり、隣の高層マンションを売却して再開発の費用にあてたとのこと。古いビルの看板を剥がしたところ、壁の中からバルコニーやアーチが現れ、今のテラスのついた建物は昔の姿が甦ったということのようだ。
再開発を担当しているのはアーバン・リニューアル・オーソリティー(URA)という半官半民の組織らしい。「民間企業にはできない社会的開発」であると自負しているよう。
で、「この再開発の大成功により、決定していた湾仔旧街市の取り壊しが覆された」とあるのだが、それは本当なのか?!だったら、それはとても嬉しいぞ。「湾仔での保存・再開発事業に弾みがつき、続々と保存対象のビルが増えている」とも書いてある。しかし、それは利東街のあとの話だったんだろうか?とか、じゃあ、嘉咸街は?!とか、採算はそれは大事だろうけれども、中身が小洒落たレストランばっかりというのはどうよ、生活も残しての街の保存だろうに、とか釈然としないものも残る。ショッピングセンターやレストランばっかりじゃ街じゃないもの。そのへんはどうなんだろう。
これは2001年に撮った写真。
右側に和昌大押が少し写っている。
生活を残しつつ、住民の利便もはかりつつ、古い香港の街を保存するには、どうしたらいいんだろう?
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コメント
こんばんは。
灣仔の開発については難を逃れたエリアがあるようですね。
でも嘉咸街の界隈は再開発が進むようですよ。
あのあたりはローカル色豊かでありながら植民地時代の瀟洒な雰囲気も色濃くて素敵なのですが…本当に残念です。
嘉咸街の道沿いの露天の市場も1/3ほどが撤退していました(いずれ我が家も記事にするつもりでおります)。
どんどん再開発が進むと、香港だろうが上海だろうが「どこの街へ行っても同じ」になりはしないかと外野ながら危惧しております。
香港らしさをアピールできる古さと新しさの共存は香港に行くたびに考えずにはいられません。
投稿: Kei | 2009.08.27 01:33
商業施設になるだけが保存の道ではないけど、古いまま残すには手間もお金もかかるからそのあと回収できないと困る、ってことでしょうか。
旧湾仔街市についてちょっとだけ検索してみた結果を記事にしましたので、トラックバックさせていただきました。
投稿: ゆずきり | 2009.08.27 01:40
Keiさん
嘉咸街、3分の1は撤退ですか…。いつまで残っているんでしょう。本当に残念です。
香港は香港らしい部分を残さないと、いくら小綺麗なショッピングモールができても将来的にはよろしくないような気がします。レポート待っていますね。
ゆずきりさん
トラックバックありがとうございます。そちらにも書いたのですが、取り壊しの動画、ショックでした。
結局、再開発の背後には近代化信仰というか商業主義というか、小綺麗にして資本を回収したい、という思想があるような気がします。小綺麗にすると、結果的に香港らしさが死んでしまい、回収が難しくなると思うのですが。エレメンツも人が入っているようには見えないし。
投稿: きたきつね | 2009.08.27 21:59