「烈火青春」
9月12日はレスリー・チャン(張國榮)のお誕生日。事情が許せば、追悼DVDを見るならわしである。
今年は「烈火青春(嵐の青春)」を見た。なぜなら、近所のホームセンターでレンタル落ちDVDのワゴンセールをしていて(1枚480円)、その中から発掘したからである。
1982年制作。27年前ということは、レスリー28歳か。若いなあ…。
監督:パトリック・タム(譚家明)、美術:ウィリアム・チョン、制作:ジェフ・ラウ、武術指導:鹿村先生。「策画(ってなんだっけ)」にチャイ・ラン先生の名前もある。
DVDの裏の解説によると、王家衛が影響を受けたと言っているらしい。なるほど、ちょっと「阿飛正傳(欲望の翼)」のような感じ。出口なしの行き当たりばったりの青春というところだろうか。
ストーリーは「裕福な家庭で育ったルイス(レスリー・チャン)は、レストランで出会った自由奔放なトマト(イップ・トン)と恋に落ちた。一方、ルイスの従姉妹で日本留学から帰ってきたキャシー(パット・ハー)は、プールでからかった監視員のポン(ケン・トン)からの強引なアプローチで一瞬にして恋に落ちる。自由に愛し合う二組のカップルは、やがてキャシーの元恋人・信介の出現によって悲劇的な結末を迎えていく(DVDの裏より)」というもの。
まあ、そうなんだけれども、その悲劇的な結末というのに「日本からの刺客」が絡んでくるのですね。最後はどうしようと思ったぞ。もはや青春ものじゃないでしょう、それは。風呂敷を無理矢理たたみすぎ。
理由はわからないのだが、なぜか日本がらみのネタがとても多くて、最初にレスリーが見ているテレビには竹の子族が映っているし、レスリーがレコード屋に貼っているポスターは「日本歌手香港大進出」だし、パット・ハーは吹き替えで流暢に日本語を話すし、みんなで日本語を勉強しているし(「ご趣味は何ですか?」「週に何回か麻雀をします」香港で作った教材なのね)、ケン・トンはバイト先の日本人料理長とけんかして店を辞め魚の半身をむき出しで抱えてくるし、イップ・トンはわさびを知らずに舐めてえらい目に遭ってるし。信介役の日本語も吹き替えだったけど、イップ・トンのつたない日本語は本人が話していたのかも。しかし、歌舞伎と切腹に関しては間違っていると思う。
王家衛と違うのは、下世話というか笑える話が入っているところか。ケン・トンがパット・ハーを家に呼ぶにあたり家族を全員追い出したものの次から次へと邪魔が入る、とか、レスリーがイップ・トンの彼氏の家に手紙を持って行きベランダから落ちるとか、そこは笑っていいんだよね?
ケン・トンの庶民的なお家(団地かな)、レスリーのお屋敷、ケン・トンの弟が娘に手を出したとかで茶餐廳で親戚一同に囲まれ責められる(みんな表から覗いている)、ちょっとばかりお洒落な餐廳(テーブルにキャンドルが灯してあったり)でジュースを飲む(9.5ドルのジュースだけでいいのか?)、古いトラム(95号車だった)の2階でケン・トンとパット・ハーがいちゃいちゃする、など、80年代初めの香港の様子を見られたのがよかった。
パット・ハー(夏文汐)は、よく知らなかったのだが、いい女優さんだと思う。深津絵里とジリアン・チョンを混ぜて大人っぽくした感じ(こちらで見られます)。
80年代の香港映画も見始めると癖になるんだよなあ。
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コメント
後半の日本ネタは、どういう意図なのか理解できませんでしたが、レスリーも美しく、なかなかおもしろい映画でしたね、これ。茶餐廳の雰囲気も、今とは微妙にちがうような。
あのミルクセーキみたいな飲み物、なんだったんだろうと気になります。
投稿: ゆずきり | 2009.09.15 07:12
見ましたか!
あの日本ネタはどういうことなんでしょう。チャイラン先生のせいでしょうか?不思議でした。
あの茶餐廳は香港歴史博物館の展示のようでした。タイルの色がきれいでしたよね。「ミルクセーキ」は、香港版で字幕を確認したら、正体が分かるんでしょうね。今でもメニューにありそうな気がするんですが。
投稿: きたきつね | 2009.09.15 23:06