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行政刷新会議(仕分け)ライブを見た

 あまり、この手のことは書かないのだが。今のところ他に場がないので(それ用のブログなりサイトを持っておくべきだわね。要検討)。堅い話です。
 午後、行政刷新会議いわゆる「仕分け」をネット中継で見てしまった。文部科学省関連の第3部会。初めは音声を聞きつつ仕事をしていたのだが、そのうち続行不可能になった(その分の仕事は明日する)。
 議題は科学研究費とか若手研究者支援とか海外からの研究者招聘とか。聞いているうちに泣けてきた。
 「仕分け人」がおっしゃったこと(意訳)。

「日本の研究がトップレベルなら何もしなくても海外から研究者が来るだろう」
「短い期間来られる方は研究じゃなくて国と国との社交なので、交流基金とか他でやれば良いのではないか」
「ある高名な経済学者に『ノーベル賞学者と歩いているだけで勉強になる』と聞いたことがある」
「外国の研究者が日本であげた研究成果の果実は日本に落ちず、その国に落ちるんじゃないか」
「納税者がトップレベル研究者にお金を払った分、納税者個人にどのような具体的なリターンがあるのか」

 博士課程を終わったポスドクの研究費については、ほとんど生活保護扱い(たしかに成果をあげるまでの生活の保障という意味はあるけど)で、「博士号を持っているというだけで、なぜ優遇しなければならないのか」「優秀な人は何もしなくても残る。自然淘汰されるだろう」という発言もあった。
 「ポスドクを中等教育・初等教育の教員に」という言葉もあった。理科教育支援のときにも「ポスドクを小学校の教員に」という発言があったらしい。
 未来科学館については、なぜ全国平等に機会が与えられないのか、という発言もあった。

 言いたいことはいろいろある。
 博士号を持っているから教員ができるわけではない。いい教員になることはとても難しい。博士課程まで研究したから教員にというのは、教師にも研究者にもとても失礼だ。
 研究は、すぐにお金を生むものではない。文献や実験や実践や発表や人と人との交流などを通じて、とてもとても地道に、少しずつ育っていくものだと思う。社交なんて言葉が出るのは失礼すぎる。
 何よりも悲しかったのは、すぐに目に見える利益がないものは価値がない、といわんばかりの質問が多かったことだ。みんなに平等に同じように、という発言も多かったように思う。そんな、教育だって研究だって、人間がやっているのに、同じようになんてできるわけがないじゃないか。
 科学研究費の先端研究は削られ、若手の研究費も、ポスドクの支援経費も削られた。それでトップレベルの研究ができるわけがないだろうに。お金を節約して自助努力にまかせれば優秀な人材が残って世界中から研究者が来るでもと思っているのか。それって、オリンピックでメダルメダルと傍で騒ぐのと同じ?競争力が落ちれば、また同じ口で騒ぐよね?
 将来へのビジョンはないのか。育てるという発想はないのか。そんなことをしていたら海外に人材が流出するだけだろうに。人は重要な宝なのに。そんなことをしていたら萎縮していいものができなくなる一方なのに。
 思い返すと、目先の利益追求もさることながら「何もしなくても」「みんな平等に」というのが堪えているのだなあ。目先の利益が大事で、自助努力と成果は求め、しかも得られたものは平等に分配。ひでえ。

 Twitterを見ながら聞いていたのだが、阿鼻叫喚(と言われていた)。15分で1000以上のつぶやきがあったことも。

「研究者や博士学生って国にとって売れないバンドで夢を追いかけて女性にたかるひもみたいなものという認識なんだろうな 」 「おまえらの使っているケータイ電話も、カーナビも、地デジも、インターネットも、血の出るほどの「単体では儲かりそうもない」研究を何十年も重ねた成果で出来ているってわかってるのか?」 「基礎研究って言うのは、もうからないし社会に直接は役立たないから大学なんてものをわざわざ作って税金を費やして運営してるんだって100年くらい前に夏目漱石っていう偉い人が言ってた」
「文化大革命」とも言われていたなあ。「クメール・ルージュ」とか。帰属先は主義主張じゃなくお金だけどね。

 しかし。
 最後に未来科学館館長の毛利衛さんが登場したのだが、プレゼンテーションも議論もそれはそれは見事だった。きちんとデータを示し、行っていることを分かりやすく示し、存在意義を、未来を考えることの重要さをきちんと話した。
 仕分け人の質問だけではなく、弁論する側も下手すぎた、ということなのだろう。
 こちらの記事が興味深かった。

 仕分け会議を訊いて勿体ないと思ったこと

 きちんと発信していかなければならないのだなあ。
 Twitterの#shiwake3に録音ファイルを上げてくださった方が何人も(こちらなど)。ネットってすごいなあ。

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コメント

仕分けライブ、連日流しながら仕事してます。
仕分け人が真っ当な指摘をしている事業もあるんですが、13日のWG3は、けっこう「ハァ?」という指摘が多かった気がするし、Twitterの#shiwake3はいまだに議論がさかんです。

ただ、私がほんとにいやになっちゃうのは、官僚のほうです。なんで「ハァ?」な指摘にビシッと反論できないのかなあ。今回の仕分けって、もしかするとお金をゲットする担当者である官僚の姿勢を正すためにやってるんじゃないか?という気もしてきました。

科学研究の分野にまったく興味のない一般納税者なら、仕分け人と同じことを言うかもしれなくて、そういう人たちを現状の官僚側の回答では納得させられないですよ、ということなのかも。

しかし私は、こんなことじゃダメになるという危機感からなんとかしようという方向に進んで、道のりは厳しくても将来的にはよい方向に進むんじゃないかという希望ももってますよ!

それにしても毛利さんはさすが。おそらくご自身が莫大な費用をもらって宇宙に行くことができたことの意義や、それを社会に貢献することなどを常に考えている人なんだと思いました。官僚も見習ってほしい...。


投稿: 春巻 | 2009.11.15 01:20

お返事が遅くなりました。
twitterの議論、むしろ中継後の方がおもしろいですね。
昨日今日の検索ワード10傑のうち、6つが仕分け関係なのを見ても、関心が高いんだなあと思います。
ライブで聞いていたときは、仕分け人の質問に脱力しっぱなし(涙が出ました)だったのですが、冷静になって顧みれば、ちゃんと反論すればよかったんですよねえ。出てきたのが、当事者から遠い人が多そうだった(学振は理事長が来ていたようですが)ようなのも一因かも。
それにしても、毛利さんは素晴らしかった。
これを機会に、ちゃんと発信していかなければならないのだなあ、と当事者として思いました。あまりデモンストレーションばかりが先に立っても(「アピール」と称してお門違いのことをする人もいるので)とも思いますが。

投稿: きたきつね | 2009.11.15 23:07

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