『働く!!インド人』
出張の疲れがとれず、ちょっとぐったり。
気分転換は音楽とマンガ。
ずっとご紹介しようと思っていた本がコレ。
ケララバワンオーナーのサッシーさんが主役。
著者の流水りんこさんは奥様で、『インドな日々』『インド夫婦茶碗
』は全巻所持して何度もなんども読んでいる。サッシーさんは、どちらもメインの登場人物なのだが、この『働く!!インド人』では堂々の主役であって、ケララバワンをオープンするまでの道のりが書かれているのだった。
インドはケララの田舎に大家族の末っ子として生まれ、大学を出た後サウジアラビアに働きに行きそこで料理に目覚め、戻って「家を継げ(ケララでは末っ子が継ぐんだそうだ)」と言われるも嫌だと言ってバラナシへ。そこのホテルのマネージャーとして働いているときに流水さんと知り合い、7年越しで結婚、来日。皿洗いからスタートして、屋台村でインド料理屋を開き、オーナーが夜逃げして再び就職活動、有名なインド料理屋に就職が決まるも紹介してくれた友人が侮辱されたため「気持ちで仕事がしたいから」と断り、たまたま電話したタンドーリ製造業の人と話が盛り上がって紹介された渋谷のカレー屋に就職、その後横浜の支店でものすごく働き、日比谷で店をやらないかという話があって独立、猛烈に働くも過労やいろいろあって店を辞め、探しまくった結果現在の場所にケララバワンをオープンする。
と書くと味もそっけもないのだが、出てくる人がいい。
仕事を探し始めた最初のうちは流水さんが職探しの電話をしていたのだが「余計なこと言うけどさ」と自分で電話するように言ってくれた人、渋谷の店を紹介してくれたタンドーリ釜屋さん(若くして事故で亡くなったんだそうだ)、渋谷の店のオーナー2人、仕入れ先の人々、開店を手伝ってくれた人々などなど。渋谷のオーナーは、店を辞めるときも快く送り出してくれ、新しい店を見に来てくれてアドバイスをし、いろいろあって日比谷の店を辞めたときも親身になってくれる。
巡り合わせもいろいろあって、屋台村を立ち退いた翌日に、その屋台村で殺人事件があって屋台村が閉鎖になったとか、有名インド料理店を断った直後に地下鉄サリン事件が起こり、もし就職していたらその時間にぜったいそこにいたとか、これは神様は絶対いるだろうと思う。
アルバイトを5つ掛け持ちして国の家族10人を養っていたのだが強制送還になったミャンマーの人、ずっと不法就労で働いていたのだが、ついに国に帰ることを決意するスリランカの人、宝くじで1億当たった貧乏なミャンマー人のお爺さん、など、在日外国人の話も興味深い。
もちろん、サッシーさん自身もすばらしい。他のマンガだとおちゃらけた感じで書いているのだが、ものすごく働き者だし、とってもまともな人である。流水さんの目線が愛である。
そして、最後に、とうとういい物件が見つかり、ケララバワンをオープンするくだり。これも巡り合わせなんだろうなあと思う。最後から5ページ目の1ページの大コマで、いつも目頭が熱くなる。
それだけに、ケララバワンに行ったときには感無量だった。
しかも、めちゃくちゃ美味しいんだからこれが。
(写真は再利用です。すみません)
お店に行くことを決めたときに、サッシーさんにサインをもらいたくて、この本を買おうと思ったのだが(2冊あってもいいしさ)、池袋のリブロにはなし。置けばいいのに。
ケララバワンには置くといいと思う。売れると思うんだが。それをしないのが、お人柄というものか。
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