『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』
石井好子さんが2010年7月18日に亡くなった。肝不全で87歳とのこと。
シャンソン歌手としてはよく存じ上げていなかったのだが、書かれた本にはとてもお世話になった。
両方ともぼろぼろだが、特にお世話になったのは、『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』。前にも書いたことがあるのだが、中学高校の時は学校の寮(『クララ白書』のモデルになった寄宿舎)に入っていて、特に中学生のときは占有できる本棚は幅50センチ足らず。所持する本は厳選に厳選を重ねるのだが、その中で、不動の地位を保っていたのがこの本だった。ちなみに、残る定番王は、伊丹十三『女たちよ!』『ヨーロッパ退屈日記』、森茉莉『贅沢貧乏』、荻昌弘『男のだいどこ』…要するに昔から食い意地が張っていたわけです。
ほんとうに、もう何度も何度も何度も読んだ。
パリで下宿していたときにマダムが作ってくれたオムレツとか、レタスのサラダを工夫してくれたとか、パリで歌っていたときに食べた「ウェベールの卵(いっぺん作ってみたいが自信がない)」「ステーク・タルタル」「グラティネ」、スパゲティソースの作り方、しゃぶしゃぶ、フォンデュ、お夜食のいろいろ、など、暗記しているぐらい。
『東京の空の下オムレツのにおいは流れる』では、ご主人とお父様とが続けて亡くなったことが書かれているのだが、いまごろは再会していらしゃるだろうか。
石井さん、ありがとうございました。謹んでご冥福をお祈りいたします。
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