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「復仇 Vengeance(冷たい雨に撃て、約束の銃弾を)」

 もはや働きたくない気持ちが横溢してしまったので、シアターキノへ。札幌に来てたのね。林雪の顔も見たいし。
 監督のジョニー・トー先生自ら「このタイトルは長すぎるし内容を反映していないと思う」とおっしゃった(こちらの記事参照)「復仇 Vengeance」。
 いや、何が困ったと言って、チケットを買うとき。思わず口から出たのは「ヴェンジェンスください」。当然聞き返されたので「ジョニー・トーの冷たい雨になんとか」と言って何とかする。長いよ「冷たい雨に撃て 約束の銃弾を」って。だいたい、銃撃戦は雨の中ではなかったと思う。

 テーマは「忘れてしまっても復讐は成立するか」。
 マカオに住む娘一家を殺されたジョニー・アリディーが、偶然知り合った殺し屋の黄秋生、林家棟、林雪に復讐を依頼する。犯人の3人組はつきとめられたのだが、実はその3人は彼らのボスの手下だった。元殺し屋のジョニー・アリディーは脳に銃弾が入っており、記憶がなくなりつつある。それでも、復讐を達成しようとする4人であったが…というお話。
 実は、これ、飛行機の中で一度見ていて、日本語字幕版を見るのが初めてという状態。しかし、画面は小さかったし、けっこう忘れていた(最後の方でジョニー・アリディーが祈りを捧げるところはまるっと忘れていた)。よかったよかった。
 考えてみると、スクリーンで映画を見たのは、2月の「黒社会2」以来かも。とんでもないことである。やっぱり周りが暗くてスクリーンが大きくて音がちゃんと聞こえるところで見ないと駄目だ。ガラスに合羽を着た殺し屋が映っているなんて、飛行機じゃわからなかったもんなあ。
 筋はだいたいわかっていたので、じっくりと街の景色とトー先生の様式美を堪能。感想を列挙すると、

 やっぱり食べ物がおいしそう。始まりがいきなりお料理シーンだし(最後も)。ジョニー・アリディーの作るスパゲティも美味そうだし、ママの作るご飯もうまそうだ。食べるシーンはいつも重要だなあ。しかし、香港と言うところは蓋をしていてもGのつく虫が湧くのか(泣)。BBQ場のシーンでは敵との間にも人間関係ができてたよなあ。香港人ってほんとにBBQが好きなんだなあ。

 主な舞台はマカオで、途中ちょっと香港が出てくる。船で湾仔の沖あたりを通るところはバックにくぎ付け。旺角のロケシーンは、「文雀」に続き傘のシーンだけど、やっぱりバックを見てしまう。ああ、やっぱり香港に行かなければ駄目だ。マカオはカジノが多い場所も出てくるけど、やっぱり古い裏マカオだね。

 ヤムヤムことサイモン・ヤムは、役柄が白ヤムヤムと黒ヤムヤムに分かれるのだが、今回はまごうかたなく黒ヤムヤム。黒ヤムヤムはだいたい楽しそうに演じている気がする。林家棟は実はスタイルがとてもいいのではないか。ゴミ置き場のいとこは福星シリーズに出ていたフォン・ツイフォンだったのか。シウファイさんは、だんだんしょぼくなっていくような気がする。はじめの方でタクシーの運転手をしていたお馴染みの白髪の人に思わず手を振ってしまった。

 林雪は顔を見たとき一瞬痩せたように思ったのだが、腹を見たら違ったらしい。相変わらずの一服の清涼剤であるなあ。「Eye in the Sky」に続き骨付きの鶏もも肉がよく似合う。

 殺し屋のおなじみ3人組は途中退場してしまうので、何だか思い出みたいになってしまったようでいつもと違う感じ。主役はジョニー・アリディーなのね。ジョニー・アリディーは娘一家の復讐をし、娘一家を殺した犯人にも家族があり、転がり込んだ先も家族で(実は最後までよくわからなかったのだが、あれは秋生さんの家族なんだろうか?)、裏テーマは家族だったような気がする。

 銃撃戦は月が雲間から見え隠れする夜のシーンと、ゴミ置き場のシーンでいろいろな試みをしていたと思うのだけれど、四角いゴミの固まりを転がしながら、というところで、一瞬笑いそうになってしまった。もしかして、トー先生は転がすのが好きだったりするのだろうか。「黒社会」でも木箱を転がしていたし。あのゴミ置き場、どこなんだろ。
 
 ああ、香港行きたい。
 ロケをしていた白宮冰室、行きたいな。

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コメント

邦題、いっそ「ジョニートーの 復仇」にしちゃえばよかったのに、と思いました。
ジョニーアリデーが旺角で迷子になるところが雨で、したがって、その前の銃撃戦のところから雨が降ってた、てことかしらと思いました。
ビッグママのごはんはおいしそうでしたね。あれはやっぱりグァイの家族だと思うのですが。

>シウファイさんは、だんだんしょぼくなっていくような気がする

というご指摘、そのとおりかも。今回、ほんとに普通のオッサンぽかったですね。

白宮冰室のある土瓜湾あたりの土地を買い占めている不動産業者があるらしいという話をききました。
変なことにならなければいいが、と気になっています。

投稿: ゆずきり | 2010.07.11 21:46

そのタイトル、いいですね。「ジョニー・トーのヴェンジェンス」も言いやすい。チケットも買いやすいし。
雨は、やっぱりあのシーンからだろうと思うのですが、銃撃戦は雨の中ではなかったしなあ…と思うのでした。
ビッグ・ママも、ただ者とは思えないのですが、お腹の子供はグァイの子供だったのかなあ。
土瓜湾、まだ行ったことがないのですが、不動産業者が入っているということは、古い街なんでしょうねえ。逆説的にそう思ってしまうのが、とても辛いのですが、街が残ってくれることを祈るばかりです。openriceでの白宮冰室に対するコメントも「いつまであるか…」というのが多いような気がするんですよね。
ビルの改築で、文雀の「祥利」もなくなってしまったし…。

投稿: きたきつね | 2010.07.11 23:01

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