「保持通話(コネクテッド)」
たしかこれは感想を書いていなかったと思う。香港版DVDで見ていた(日本のスクリーンでは見ていなかったよ、そういえば)のだが、wowowで見られたのだった。2008年の映画だったのか。そんな前か。
ご存じのとおり、アメリカ映画「セルラー」のリメイクである。携帯電話都市香港になんとうってつけであろうか。
やっぱりこっちのほうが面白いよねえ。ああ、ベニー・チャンの映画だなあ、と思う。某掲示板で「ジャッキーの映画みてえ」という感想があったが、その通りだよ。っていうかそうだし。
香港リメイクだけあって、ある意味「街もの」映画。タイトルのあとの香港の空撮には思わず手を振ってしまう始末。アップになっていた「賢華街」は湾仔の上のほうか(調べた)。街中より郊外中心だけど、おなじみの空港とか、新界の山とか、九龍の北側の山(獅子山?)とか、いろいろな景色が楽しめる。バービー・スーが脱出したあのだだっぴろいところは、香港島の見え方から察するに啓徳空港の跡地だと思うのだが、違うだろうか。
主役がルイス・クー、そしてニック・チョン、同僚刑事にチョン・シウファイとくると、まるでジョニー・トー先生の映画のようだ。思わず、ニック・チョンが蓮華をばりばり食べるのではないかと思ってしまう。しかし、今回は、冒頭情けない取り立て屋の手先(「経理関係」だよね、まあ)のルイス・クー、降格されて交通係のニック・チョン、その元部下でどう見ても格下のチョン・シウファイさん。シウファイさんは、「だんだんしょぼくなっていく」説を裏付けているようであるなあ。ニック・チョンは「俺は帰って飯を作る」と言うところが素敵です。料理がうまそうだ。
情けないお父ちゃんのルイス・クーががんばっちゃうところも素敵。リメイクということもあって、結末はどうなるのかわかってはいるのだが、最後は「ああ、いい話だなあ」と思う。
「誇りを取り戻す」って香港映画の王道だよねえ。
それにしても、リュウ・イエ、「山の郵便配達」とか「中国の小さなお針子」の頃は純朴な美青年のはずだったのに、どんどん変になっていくのはどうしたわけだ。「無極(PROMISE)」は異形ではあったがそれなりにいい役だったし、「滿城盡帶黃金甲(王妃の紋章)」は情けない役であったが、あのへんから凋落が始まっていたのだろうか。【追記】しかし、よく考えてみると、ジョン・マルコビッチみたいな路線を目指せばいいような気もする。
余談だが、監督の陳木勝(ベニー・チャン)は、香港映画監督界きってのいい男(まあイケメンというやつ)だと思う。
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コメント
こんにちは、
同感です。もう居ないリウ・イエくん、カリーナラウと共演の「恋の風景」が最後では無いでしょうか?あの物言いたげな瞳。誰も彼も少年の煌きを永遠に放つことはできず、我々観ている方はその最後の最高の瞬間を見逃すまいと心を焦らし。。かつての彼が見せてくれた表情の数々はとりわけその儚さについて我々に突き付ける種類のモノでした。
余談ありがとうございます。へぇ~x20です!同監督作品ほかにも見てみたくなりました。
投稿: tokyoSue | 2011.02.07 12:46
たしか、リウ・イエくんはフランス人のご婦人と結婚したのですよね。もしかしてフランスに住んでいるんだろうか。かくなるうえは、ジョン・マルコビッチ(かなり好き)路線を歩んではくれまいかと思う今日この頃です。
陳木勝監督を初めて見たときの印象は、「なんていい男だ」というものでした。残念ながら、映画にカメオ出演はしていないようですが、ワイルド系が多いので見てみてください。
投稿: きたきつね | 2011.02.07 21:56