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「カーネーション」は小林薫を見るためにあったのだが

 仕事人の話が好きである。
 いや、「必殺仕事人」じゃなくて(それも好きだけども)、その人が、どのようにして仕事をするに至ったのか、どのように仕事をしているのか、という話が好きなんである。本や映画やインタビューも、かなりの率で仕事人の話として見ているような気がする。トー先生のドキュメンタリーなんかは完全に仕事人の話だよね。「黒社会」もある意味仕事人の映画だ。
 ただいま、NHKで放映中の朝の連続ドラマ「カーネーション」(公式サイトはこちら)も、仕事人の話だと思う。
 忙しくても、これだけは欠かさず見ているのだが、最初は、お父ちゃんであるところの小原善作を演じる小林薫を見るために見ていたようなものであった。

20111103asadora

 着物に帽子を被った人ですな。
 時代は昭和の初め。このおとうちゃんは、呉服屋の番頭時代に、神戸の紡績会社の社長のお嬢さんの婚礼衣装を納品に行った先で当のお嬢さんをかっさらって結婚してしまった人で、主人公はその長女(妹3人)。
 で、このおとうちゃん、根は子煩悩ではあるのだが、娘に手をあげるわ足蹴にするわ、外面はいいけど小心者だわ(神戸から妻の兄が様子を見に来ると速攻で逃げる)、心斎橋とミシンと神戸は大嫌いだわ、など、いろいろ欠点はあるのだが、洋服作りを熱望する娘のために、嫌いな心斎橋に出向いて洋裁の先生に土下座する、今朝なんか店の反物全部うっぱらってミシン(当時はえらい高価)を買ってくるなど、やることがいちいちおもろい(「おもろい」ことが物差しだったりもする)。
 でもって、演じる小林薫がうまいうまい。神戸の妻の実家に借金の申し込みに行き、妻の父(宝田明!ちなみに、このおとうちゃんのおかあちゃんはかしまし娘の庄司照枝師匠である)けちょんけちょんにされて帰ってくるときの魂の抜けたような顔とか、いちいちやることが最高である。
 しかし、最近は、主人公であるところの小原糸子ちゃんの働きぶりから目が離せない。岸和田育ちで、だんじりに乗りたくて乗りたくてたまらなかったのだが女だからという理由でかなわず、おとうちゃんには女の癖にと言われていたのだが、ある日パッチ屋の店先でミシンをみつけて「うちのだんじり」であると思い定めて洋裁を志すわけです。女学校をやめてパッチ屋に勤めたものの、(おとうちゃんには「勉強と思え」と言われていたのに)厳しさに凹み、しかしそれも1日だけで頑張って働き、しかし昭和恐慌で2年(番組では1週間)でくびになり、それでもめげない。
 デパートに制服の売り込みに行き、断られてもめげずに、デザイン画を描き、それも断られて2晩でデザインを直して現物を作り着ていって(このあたりは小林薫おとうちゃんのアドバイスである。最高や)、ついに採用されるくだりは涙が出ました。ちょうど仕事がしんどくてさ、でも頑張ろうと思ったよ。2晩でデザインしてサンプル作って、1週間で20着作るってプロジェクトランウェイ(これも好き)より大変なんじゃないか。
 仕事人ものとして見てしまうのであった。
 モデルはコシノ三姉妹のお母さんなのだが、原作とおぼしき『コシノ洋装店ものがたり 』を見るに、これドラマにできるのかよ、というくだりが何点かあるので、今後を刮目して待ちたいと思う。お父ちゃんのキャラは原作とはかなり違っているので(ドラマの方が圧倒的に面白い)、違うところもあると思うんだよね。

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コメント

きたきつねさん
お疲れ様です。

今日、発作的香港から帰ってきました^^
はぁ~、やっぱり香港が好きです。

と、今日はそのお話ではなくて「カーネーション」でした。
なんでも良く泣く私ですが、このドラマでもかなりの頻度で泣いてます。

なんだろう・・自分が洋服の仕事を志したころを思い出すのかな。
私も、これしかない!と迷わず進んだ道でしたが、20ン年でリストラされ、今はこの職業の求人の少なさに唖然・・・
大学行って薬剤師になるべきだった、とか、料理人になっていれば香港でも働けたのに、とか(笑)
100パーセント後ろ向きになっていた自分を
糸ちゃんが元気にしてくれます!

おとうちゃんも糸ちゃんも、がんばれ~!
・・って・・ドラマですけどね、心から思ってしまう。

投稿: Tama | 2011.11.07 23:03

お返事が大変遅くなりました。
「カーネーション」、私も泣きます。特にデパートの制服のあたりは見返すとぜったい泣きます。しかし、ここ数日は大爆笑で、「カフェ太鼓」で立ち聞きしまくりの平吉とか、お父ちゃん+岸和田ばあちゃん+神戸じいちゃんの3人で糸子を説得するくだりは何度見ても笑えます。
仕事は、どんなことでも大変ですよねー。私も力をもらってます。

投稿: きたきつね | 2011.11.23 23:28

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