「幕末太陽傳(デジタル修復版)」
今週はちょっと記事を書きためてみました。
今年の初映画館はこれ。
上映期間に間に合ってよかった。
日活の100周年記念特別上映らしい。
ポスター。映画はモノクロだけど。
冒頭は公開当時(1957年)の品川。オープニングタイトルとかキャスト・スタッフが重なるので、どちらも見たくて悩ましかった。
「舞台は今の品川ではなく」とナレーションが入って、画面は江戸時代の品川宿になる。
最初は、江戸時代ってこんなんだったんか、とか、杉浦日向子さんの本に出てきた吉原とか「息子」ってこんなんか、とか、女郎という仕事は大変だったろうなあ、などと思いながら見ていたのだが、そのうち、「わー落語が動いてる!」と思うようになった。
当時28歳のフランキー堺が動く動く。仲間と相模屋に繰り込んで持ち金がなく行灯部屋に居続けするのだが、頭と身体を使いまくって「居残りさん」「いのさん」と相模屋じゅうから重宝され、小金を稼ぎ、女衆からは大もて、男衆からは嫉妬を買う始末。最後の方で「居続け稼業」と言っていたから確信犯的に何度もやってるよね。肺病やみで、だんだん周囲から「悪い咳」と言われるようになり、行灯部屋で大仰に薬を作ったりしているけど、外で見せる明るい顔のわりに、実は幸せそうではなかったり。ふと暗い影がさしたり。
でも、「地獄も極楽もあるもんけえ、俺はまだまだ生きるんでい!」なんだよね。その通りだよ、人生は。
しまいには、フランキー堺がイケメンに見えるのであった。
同じく居続けしている尊皇攘夷の志士、高杉晋作役の石原裕次郎もいい男だけどさ(都知事って完全に弟の七光りだよなと思う)。
若い頃の岡田真澄(フランキー堺から金を取り立てられず陰間茶屋に売られそうになる)がまたイケメンで、南田洋子とか左幸子も美人で、考えてみると川島雄三もイケメンだわね。小林旭は、出てきたとたん、わーイケメン!と思うのだが、髪型がちょっと変だよ。
あと、隠れた見どころは隙あらば出てくる動物で、生きてるのも死んでるのもいるんだけど、往来の犬とか鶏とか、座敷牢のネズミとか、小沢昭一が女郎たちの前で貸本を広げている真ん中にいる猫とか、最後に眠りこけている岡田真澄が抱え込んでいる猫とか、もしかして川島監督は動物好きか?と思う。
最後は、フランキー堺が昭和の品川に駆け抜けていくという案が最後まであったらしいのだが(最後の最後に監督が翻意したらしい)、そのラストも見たかったなあ。
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