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「アンダーグラウンド」アンコール上映

 シアターキノでアンコール上映(公式サイトはこちら)。だったのを、最終週の日曜に駆け込んで見た。1日1回上映だったのでぎりぎり。夜の上映だったのだが、けっこう混んでた。

 予告編。

 これで通じるのかいな。

 見ている間は、何が現実で何がそうでなくて何がなんだか、という感じだったのだが、最後に吃音だったイヴァンがすらすらと喋るところで泣いてしまい、帰り道ずっと泣いてました。うちに帰って、3時間もあったことに初めて気がついた。
 何が現実かは実はどうでもよくて、ユーゴスラビアという国があって、どんなに戦争に翻弄されて、どんな国だったのか、どんな人たちがいたのか(いや、かつてのユーゴスラビア国民はもちろんいくつかの国に分かれて今もいるわけだけれども)、その国や人々がどんなに魅力的なのか、ということは、よーくわかった。まだ何も終わっていないことも。
 音楽と踊りが好きで、動物が好きで(…は監督クリストリッツァの趣味か?)、酒も好きで、女好きで(男好きもある)、こっすからいところもあり、しかし憎めず、したたかで、何があっても死なない。
 名前はスラブ系の名前もあり、母方がロシアだったり、ロシア文化に親しんでいたり、でもマルコなんて地中海系の名前もあり、ムスタファなんていう名前もあり、踊りはトルコ風というかどことなく中東的な感じもあり。第二次世界大戦中も大戦後も冷戦中も、もちろんその後の内戦でも、いろいろなことがあり、いろいろな人がいた。
 共産主義や世界は地下室で、世界の地下にはあらゆるところ(少なくとも、イタリアやドイツやインドには通じている)に通じる太い地下道が通っていて、車が行き来している。
 クロもマルコもベラも魅力的だったなあ。クロは割といつでも幸せそうだったが、ベラはあまり幸せそうな顔はしていなかったけれども。考えてみると、あの3人は、それぞれユーゴスラビア人の象徴で、3人でひとまとまりなのだという気がする。
 ユーゴスラビアという国とユーゴスラビアの人々のことはずっと忘れませんとも。クリストリッツァ監督。
 これは家でテレビの画面でみるのではなく、映画館の暗いところで他の人たちといっしょに見るべき映画だと思う。映画館で観られてよかった。
 それにしても、あらゆるところに通じるぶっとい地下道は、これからぜったい夢に出てきそうだ。

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