イルファン主演シャールク共演の「Billu」(2009)
「Life of pi / ライフ・オブ・パイ」をIMAX3Dで見てきたので、引き続きおうちでイルファン祭りを続行。
「Billu」は主演!イルファン・カーンである。
イルファンは基本的に踊らないのだが、歌舞音曲シーンもたんとあり、そちらの主役はシャールク・カーンといっても過言ではない。ちゃんと配役があっての出演なのだが、歌舞音曲シーンはシャールクのアイテムソングのようである。
こんな感じ。アイテムガールは「Om Shanti Om」ヒロイン役のディピカちゃん。豪華だ。
「Billu」はイルファン演じる主役の名前。職業は床屋である。実は映画のタイトルは当初「Billu Barbar 」だったのだが、差別的な色合いがあるとかで変更になった。どうもインド社会での床屋の地位は低いらしい。イルファン演じるBilluも例外ではなく、ぼろぼろの店のためにお金を借りようとしても貸してもらえず、学費を払えず子供は学校に行けなくなり、電気が止められて家で子供はオイルランプで勉強しているというありさま。
イルファンが住んでいるのはインドの田舎なのだが、突然、市場によそ者がやってきて物資の調達を命じる。シャールク演じる大スター、サヒール・カーン主演の映画のロケが行われることになったのである。
そして、やってくるシャールク。役名はサヒールだけど、ほとんどシャールクそのまんま。
制作がシャールクの会社「レッドチリ」だけあって、出演映画使い放題、何本わかるか当ててみましょう状態である。ボディーガードは「Om Shanti Om」にも出てきた本物のシャールクのボディーガードだ。映画監督役も「Dard-e-Disco」の親子監督の息子の方だと思うんだけど関係者なのかなあ。集まっているエキストラは本物のファンのみなさんであると確信する。
大スターがやってきたとあって、町はえらい騒ぎになる。続々と人が集まり、サヒール・グッズを売る店やロケ地に行くバスやら、集まる人々を当て込んだ商売が興って、さながらシャールク特需。まあ、実際に田舎でロケしたら、こんなことあるかも、と思う。
で、イルファンは困っていた。
実は、イルファン演じるビルーはサヒールの幼なじみなのである。そのことは子どもたちにも話していたし、店にサヒールの写真を飾ったりもしていた。それで、子ども達は「サヒールおじさんはいつ家に来るの?」と聞くわ、子供の学校の先生は「学校の集まりにサヒールを呼んでくれたら学費をただにしますから是非!」とやってくるわ、街の有力者(おなじみオム・プーリー)はコネをつけようとビルーの床屋に椅子(その有力者が前に来たときに壊した)を無理矢理寄贈するわ、とにかくサヒールを呼べ!というプレッシャーが多方面からかかる。
唯一シャールクが出てこずイルファンが主役の歌舞音曲シーンだけど、イルファンは踊らず、ひたすら困っております。
とうとう連れてくる約束をさせられるのだが、かなわず。
ちなみに、この曲、アイテムガールはカリーナ・カプールで、歌っているのはプレイバックシンガーの帝王(と思う)Sukhwinder Singhである。豪華だ。
結局、ビルーは、なんにも悪いことはしていないのに周囲の勝手な期待のせいで嘘つき呼ばわりされ、訴えられる、自分の子供には無視されるなど踏んだり蹴ったり。さてどうなるのか…!というお話なのですが。
まあ、ちゃんと話は落ち着くんですけどね。
どうも後味が悪いのであった。イルファンとシャールクの共演もきわめて珍しいので見物ではあるのだが、これは大スターでないと成立しない話で大スター役としてはシャールク以上に適役はいないだろうからシャールクの出演には必然性はあるのだが。
これが主演がイルファンでなかったら面白く見られるのかしら…と思ってシミュレーションしてみたのだが、アヌパム・ケールだと当たり前すぎるし、パレシュ・ラワールでもいい気がするけど年がいっている気もするし、実直そうに困っているイルファンの演技力あってという気もするのだが。周囲の勝手な期待、それはどうなのかと。見ていて辛すぎる。
あんまり後味が悪いので、つい口直しに個人的インド映画オールタイムベストワン「Life in a Metro」を見てしまったのでした。
公式メイキング動画がありました。
「Billu」のIMDbはこちら。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
あたしはこの作品を印度映画見始めのころシャールク作品として教えていただき、見ました。
映画の前にシャールクのダンスを見てまして、あまりに素敵で溶けたことが昨日のようです・・・。
もちろん、この作品でイルファンを知ったのでした。
そうですねえ。
見る立場でこの作品、印象が変わるかもしれませんね。
DVD出してきてもシャールクのダンスシーンばっかり見てしまうので、久しぶりにもう一度本編をちゃんと見てみようと思います。
投稿: やっほー | 2013.03.06 22:34
そうですねえ、これはシャールク目線で見るか、イルファン目線で見るかで見方が変わりますね。
スタアなシャールク映画でもあります、まちがいなく。というか、本人そのまんまの役なんですけど。
しかし、どうしてもイルファン目線で見てしまうと、複雑な気持ちになってしまうのでした。うーむ。
投稿: きたきつね | 2013.03.09 22:52