「一代宗師」日本語字幕版(「グランド・マスター」)
香港で見ることができた「一代宗師」、やっと日本語字幕版を見た。
予告編(特報かなあ)。
基本的な感想は変わらないのだが、このごろ何度も書いているように(いろいろな映画が日本語字幕で観られるのは本当にありがたいことである)、
日本語字幕はいいわあ
細かいところがよくわかるし。
しかし、話がわかると突っ込んでしまうので。
いくらなんでも、あんな寒そうな湖畔を葬列は通らないだろ、というのはさておき、まず第一に、宮師父はなぜ馬三を一番弟子にしたのであろうか。人間性を重視しているなら、アレは一番弟子にはしないだろう。見込みちがいか?見込みちがいといえば、「お前は女だから」と言いつつ八掛拳を教え、他の弟子に教えないのは、それは絶えてしまって当然であろう。だいたい、形意拳と八掛拳を統一したと言いつつ、なぜ別々に伝えるかなあ。それじゃ統一の意味はないだろ。ツイイーちゃんに教えるなら腹をくくって全部伝え跡を継がせるとか、もうちょっと考えてもよかったんじゃないんでしょうか、師父。
ツイイーちゃんは、「臥虎蔵龍(グリーン・ディステニー)」以来どうも印象が悪いのであるが(あんたがいなければ發仔は死ななかったと思うし。なんで四の五の言わずにさっさと出奔しないか)、今回の役はよかったと思う。男前な役だった。あまり女女した役より男前なぐらいでバランスが丁度いいのかも。
ツイイーちゃんや他の女性陣の中国服も綺麗だったなあ。なんで妓楼で勝負を…とは思ったが背景もきれいだったし。
トニーさんはえらかったと思う。もともと功夫の人ではないという頭はあるのだが、それにしても、骨折2回とか雨のシーンのあと気管支炎で寝込んだとか聞くと、ほんとにほんとにご苦労さんである。でも、「流派なんてどうでもいい」と飄々としているにはトニーさんならでは、というか、これまでの作品を考えてみると監督の王家衛にとって、トニーさんはミューズなんだろうなあと思う。
張震も王家衛にとって欠かせないのに違いなく、きっとたくさん場面がカットされたんだろうと思いつつ、白薔薇理髪店はもっと出してほしかった。所場代を取りに来たチンピラが取り立てながら泣いてしまい弟子入りするほど怖いところで、いやーこの面子がカミソリをもっていたら…と思うと客として行くのはやっぱり躊躇するけれども。この人達がいったいどのようないきさつで白薔薇理髪店を開くにいたったのかが是非見たい。スピンオフでもいい。
「実は武館」とパンフレット(充実している)には書いてあった。
トニーさんと張震とくれば、これは「ブエノスアイレス」で、もしレスリーがいたら…と思ってしまう。
それにしても、王家衛は「功夫映画」を撮りたかったに相違なく、やっぱりブルース・リーが出てきて笑ってしまった。王家衛は、「功夫片」を撮れば「一代宗師」になり、「武侠片」を撮れば「東邪西毒」になるんだなあ。
香港の茶館で葉問が地元の師父と勝負するのが故事なのかは知らないけど、やっぱり羅奔師父が出てきて笑った。サモ・ハンが出てきても全然不思議じゃなかった。
最後に出てくる葉問のお師匠様は武術指導の袁和平だったよね。
余裕があれば、もう一度ぐらいはスクリーンで観たい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント