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遅まきながら川勝正幸を知る

 実は名前も書いたものも(企画したものも)ずっと目にしていたのに今まであまり認識していなかったのだが、『ポップの現場から』を読むに至って、やっとちゃんと認識するに到った。
 この本です。

 川勝正幸氏は「ポップ・カルチャーを中心に活動を続けたエディター/ライター」である。2012年1月31日未明に自宅の火災で亡くなった。享年55。
 創刊以来25年連載を続けていたという『TVブロス』はずっと購読しているので、コラムは読んでいたはずなのである。ナンシー関七回忌の菊池成孔との対談「ナンシー関はテレビの守護神だった」も絶対読んでいる。というか「ナンシー関大ハンコ展」の実行委員だったんですか!ナンシーからのカラオケの誘いを3回続けて断ったら「自分たちと遊ぶのが嫌なのかカラオケが嫌なのか」聞かれて後者だと答え「ならいい」と勘弁してもらえたらしい。
 とにかく音楽・映画・ドラマ・演劇その他のポップカルチャーについて膨大な知識と愛情を持ち、いいと思ったものには惜しみなく肩入れしデビュー前のバンドにも惜しみなく力を貸し、クレイジーケンバンドを世に知らしめ、勝新太郎が好きで(だからプロダクションの名前が川勝プロダクション)デイヴィッド・リンチが好きではっぴいえんどが好きで、礼儀正しく腰が低く、人望があること限りなく、没後『TVブロス』連載のコラム「Too old to ROCK'N' ROLL Too Young to DIE」のあとを受ける形で同じタイトルで錚々たるメンバーが綴ったコラムは約1年続いた。
 実は名前を意識したのは、その追悼コラムを読んでからである。
 『あまちゃんファンブック』の対談で湯浅学さんが「琥珀の勉さんは川勝さんだ」と発言していたのだが、本当に、この人は勉さんのモデルだったのではないかと思う。顔も似ているし。著書の中で大人計画への言及があったので、クドカンとも絶対親交があったはずだし。小泉今日子とも深く関わりがあった人だし。(『ポップ中毒者の手記(約10年分)』巻末の小泉今日子インタビューによる)。そう思うと、「リアス」のカウンターで春子さんを見る勉さんの見方が変わってしまう。
 『ポップの現場から』のTVブロス編集部の後書きも、ものすごく愛情が籠もっていて、また、しりあがり寿のイラストが(追悼文はひとっことも書いていないけれども)いいのね。特に奥付のイラストは泣ける。
 なんで今まで気がつかなかったのだろうと(目にしていたのに!)不明を恥じつつ、書かれたものを改めてちびちびと読み始めているのだった。
 こういう人になれるといいなと思う。

 で、最後にひとつどうしても。1994年3月26日号掲載のコラムにですね、アメリカのクライテリオン社から出た『狼/男たちの挽歌最終章』レーザーディスクのことが書いてあるのだが、「ボツ場面、予告編などはまだしも学生時代の映画(非アクション。大林宣彦監督風)まで収録されているのには、泣き」って何ですか。それ。見たい。

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