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老茶樹のお茶

 これは「老茶樹」のお茶である。

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 老茶樹とは何か。
 安渓の山奥に生えている樹齢100年以上、おそらく150年から200年の茶樹である。たぶん、野生の天然紅芽の老茶樹は唯一無二。
 なぜ唯一無二かというと、安渓はかつては渓流の流れる山奥でよいお茶が作られている場所だったのだが、鉄観音がブランド化し金蔓となったために、渓流は埋められて道となり、車が山奥に入ってくるようになり、ということは開発が進み、山は売るための茶樹を植えるために片っ端から焼き払われているから。

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 これはスリランカの茶畑の写真。
 前に書いたことがあるのだが、山の上から下まで全部!お茶畑である。この景色が、山を4つ越えても、バスで2時間以上走っても、ずっとずっと続く。
 お茶は元から生えていたわけではなく、売るための作物として植えられた。ということは、この山はかつてはスリランカの自然の山で、そこを伐採したり焼き払ったりして更地にして、そこに茶樹が植えられたというわけだ。
 同じことが中国でも起こっている。
 写真がこちらに載っているのだが、現在、老茶樹が生えているのは、とても開けた場所である。しかし、ここは、昔は深い森林の中だった。木は全部切り倒されてしまい、山はすべて茶畑になりつつある。

 この老茶樹が生えている場所は、安渓でも山の上にある(たしか車では行けない)祥華のおとんの家から、さらに2時間以上徒歩で(車もバイクも入れない)山を登った先に、なんとか難を逃れて残っているのである。しかし、荒れていると見なされた場所は新しい茶樹を植えるために焼かれてしまうので、ちゃんとお茶が植えてあることを示さなければならないし、お茶の樹はちゃんと手入れをしないと、あっというまに荒れて使いものにならなくなるので、年5〜10回熟練した工人が数人がかりでかからないとならない。しかし、この老茶樹はとても山奥にあるので、食料持って鍬持って登山しなければたどりつけず、しかも、熟練した工人はただでさえ見つかりにくいので、その手入れは非常に大変で多大な費用がかかる。
 そのため、いったん、この老茶樹の手入れは中止されて荒れてしまった。
 しかし、愛子さんとおとんのおかげで復活したのである。詳しいことは、愛子さんのブログのこの記事がわかりやすい。

 この秋、ついに製茶が可能となり、できあがったのがこのお茶なのであった。

 なぜこのお茶を飲むことにしたかというと、ずっと頭が痛くて体調が悪かったから。
 天然野生の紅芽鉄観音は元々薬だから。
 淹れると、磁器の茶壺の蓋の裏が甘い香り。味は重めなのだが、凝った肩と頭に染み渡る。5煎目ぐらいに突然メンソール風味が出現して驚いた。
 頭痛、治りました。
 やっぱり、これは薬である。

 祥華のおとんのおうちは、400年以上代々続いてきた漢方薬を作る家系である。お茶はもともと薬であった。そして、このお茶は本当に薬なのだった。

 おとんのおとんは「お茶は植える必要がない。山に行けば生えている」と言っていたそうだ。50年ぐらい前まで、このあたりは虎も豹もいたとのこと。
 茶樹をめぐる環境は、社会の変化と共にここ50年で大きく変わってしまった。
 「山に生えているお茶」はほとんど皆無である。
 この老茶樹も、いつどうなるかわからない。
 まわりの森林がなくなってしまったように、いつなくなってもおかしくない。
 なくなってしまったら、二度と取り戻すことはできない。
 しかし、これは、なくしてはいけないお茶である。

 そして、お茶を存続させるためには、手入れと作り手と飲み手が必要。
 
 手入れは、職人をなんとか探して資金があればなんとかなる。
 作り手は、愛子さんとおとんがいる。
 飲み手は、私たちだ。

 毎回、心の隊員募集リンクを張っていますが、今回は「今甦れ!19世紀の老茶樹」を含むオプションセットをご紹介します。リンクはこちら

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コメント

きたきつねさん!
「応援之心」、福州までビシバシ届きましたーっ!!!気持ち上がりますー☆ 非常感謝。

昨朝福州を離れ、安渓経由で厦門から香港に入りました。
ほっとしてこれまでの疲れが出たのか、珍しく体調優れず・・・。
ふいみん副隊長とふたりで、この『老茶樹』の記事拝読しながら、同じ『老茶樹』飲んでいます♪
大自然の香りと、五臓六腑に沁みる液体。。。内臓がすっとしてきました。
内からポカポカすっきりと、気持ちよく眠れそうです。

おとんが言うこの茶葉の特徴『野生の「天文冬」にそっくり』。
おとんの山でも、もう天然野生の「天文冬」は見つからなくなってしまったけれど、滞在中に漢方薬局覗いて、探してみようと考えています☆

投稿: 愛子 | 2014.03.23 01:56

きゃーっ 愛子さん!
香港からコメントありがとうございます。
福州での品茶会、お疲れ様でした。
久しぶりの香港、いかがですか。
体調が優れないとのこと、どうか少しでも身体を休めてくださいね。
最近の香港は空気もあまりよくないので。
「天文冬」ってどんな薬草なんでしょう。
『老茶樹』の特徴がそっくりとは、それはすごい。

投稿: きたきつね | 2014.03.23 21:57

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