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2014年7月

脳天気じゃなかった『Student of the Year(スチューデント・オブ・ザ・イヤー狙え!No.1!!)』(2012)

 札幌で公開された。8月1日までなので走って観に行く。
 実は、これはDVDを持っていなくて見ていない。
 タイトルとチラシから、お金持ち学校で誰が1番の生徒かを競い合う脳天気な映画だと思っていた。チラシにもこう書いてある。

今、世界トップクラスの富裕層が増えつつある国、インド。インドのセレブ家庭の子供はイギリス統治時代の伝統を引き継ぎ、寄宿学校で勉強する習慣がある。学園の広大な敷地にはスポーツ施設、カフェテリアなどがあり、その全てが規格外。そしてなんとフェラーリで登校する生徒までいる。女の子達はラグジュアリー・ブランドのバッグを持ち、色鮮やかな服を身にまとう。結婚式ともなれば自家用ジェットで友人・家族総出でタイのリゾート地へ! 世界一のセレブ学生のゴージャスな学園生活が覗き見できる!

世界トップクラスのお金持ち学校、聖テレーザ学園。この学園は親のお金で入学した大企業の御曹司やお嬢様組のほか奨学金制度で入学した生徒が集まっている。ここでは毎年、校長の娯楽として「生徒No.1」を決める大会が繰り広げられていた。優勝して最優秀生徒賞に輝くとアメリカの大学への推薦入学と学費が与えられる。大会の内容は学力テストの上位者のみ次の段階に進み、謎解きゲーム・ダンスコンテスト・トライアスロンに挑む。それぞれの種目でもまた優秀者のみが残り、最後のトライアスロンで生徒No.1が決定するのだ。
たった一人だけが選ばれる“生徒No.1”を目指して熱い戦いが始まる!!


 公式サイトからの引用ですが、まあ、そう思うよね。

 予告編もこんな感じだし(ナレーターが清水ミチコだ!)。
 インド版の予告編はこんな感じ

 でも、監督が「K3G」こと『Kabhi Khushi Kabhie Gham(家族の四季 愛すれど遠く離れて)』のカラン・ジョーハルだしなあ、と思っていたら、やっぱり違った。

 リシ・カプールが校長を務める聖テレサ学園には、奨学金をもらっている優等生とお金持ちの子弟の2種類の学生がいる。後者の代表格である理事長の息子ローハン(ヴァルン・ダワン:クリスチャン・スレーター似)は子分を従えてぶいぶい言わせているのだが、そこへ、奨学金組のスポーツ万能で非の打ち所のないイケメン、アビ(シッダールト・マルホトラ:平井堅似)がやってくる。校長は25年の伝統ある「スチューデント・オブ・ザ・イヤー」の実施を高らかに宣言するのだが…というのはそうなんですけどね、冒頭が10年後で、集まってきた当時の生徒の回想で話が進むのであった。話がどこに落ち着くのか想像がつかない(インド映画は往々にしてそうだけど)。
 女と金と名誉はそりゃあ人間関係を壊すよねえ、というのはさておき。謎ときとダンスとトライアスロンってなんじゃそりゃ、ダンスにパートナーはいなくてもよさそうだし、順位がつくのはトライアスロンだけで、しかも男女の区別なしか?と思っていたら、実はそれは織り込み済みの設定なのだった。
 結局、学園ものというよりは友情もので、最後は無理矢理感もあったけど、感動させる路線に着地していて、さすが、カラン・ジョーハルであった。

 配役としては、若者はわりとどうでもよくて、なんといってもリシ・カプールである。とっても楽しそうだ(こちらでは踊っている!)。ゲスト出演でボーマン・イラーニ(『3idiots(きっと、うまくいく)』のウィルス校長)が出てきて大喜び。髭とターバンが似合うわあ。頭にドアノブ姿になったら萌え死ぬところだった。フィルムだけどアミターブ様が出てきて「きゃー」と言いそうになる。あと、ローハンのおばあさまはK3Gのばあやだよね。
 平井堅じゃなくてシッダールトとヴァルンは、K3Gの助監督だったそうな。

 歌舞音曲シーンは多め。

 マサラ上映で一番盛り上がるのはこれだろうなあ。
 審査員席のリシ・カプールの隣にファラ・カーンがいるのだが、それより何より、カージョルが出てきたとき(2分50秒あたり)には思わず立ち上がりそうになりました。
 ちなみに、こちらでは何かの番組でキャストが踊っているのだが、審査員席にカラン・ジョーハルがいて乗り乗りである。
 カラン・ジョーハルは『Om Shanti Om』で衣装担当だったり、フィルムフェア・アワードの場面の司会役だったり、自分のテレビ番組を持っていたり(こちらはこの映画の主役3人がゲスト)、こちらでは映画賞の授賞式で踊っていたり、多才であるなあ。
 それにしても、日本語字幕があたりまえに思えるなんて、なんて幸せ。

 これを公開するのなら、ぜひとも『Dabangg(ダバング大胆不敵)』を札幌で公開してください!と重ねて関係者各位にお願いする次第です。

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里心突如爆発:動画で香港のバスに乗る

 最近はずっとインド映画のことばかり書いてきたのだが、ここへきて、里心が突如爆発。ええ、もちろん、香港のことも忘れたわけではないのです。
 こんなときにお世話になるのが「Hong Kong Bus Ride 香港巴士行車影片」。
 香港のバス路線に端から端まで乗って、2階の一番前から撮った動画がたくさんあるのである。知らないところを走るのも楽しいけど、里心がついたときは知っているところを走るのがよい。
 窓の外の、建物やいろいろな車や遠くに見える香港島や広東語のアナウンスや話し声(電話も)や夏空や曇りがちのお天気などが、里心を刺激しまくる。

 お世話になりまくりの九巴は6番のバス。

 特に、旺角から尖沙咀や佐敦までは、しょっちゅう使っている。
 この角丸のビルがすてき、とか、ここにこんなお店が、とか。
 18分すぎに『掃毒』のラッピングバスが登場。

 同じく九巴の219X、 麗港城 - 尖沙咀の循環線。
 

 ドライブ気分で東九龍走廊を突っ走る。尖沙咀まで15分。
 香港島がきれいだ。
 ただ、心のご近所である九龍城や土瓜湾をスキップするのが残念。

 そこで、九巴の40番。

 麗港城を出て、觀糖・九龍城・深水步などを通って荃灣まで。
 
 そして、九巴の6C。

 九龍城埠頭から美孚まで。
 発車してすぐ「心のご近所」土瓜湾を通る。

 下駄代わりの1Aが見当たらず、残念…と思ったら、別の処にあった。

 逆方向(尖沙咀碼頭-中秀茂坪)はこちら

 もう、食い入るように見てしまうのであった。
 ああ、やっぱり香港行きたいなあ。

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完全版で上映されるべき『Bhaag Milkha Bhaag』(2013)

 日本公開が決定している。ただし、カットした形で。公開されるのは監督が編集した形の国際版らしいけど、でも、完全な形で公開されるべきだと思います。
 
 予告編。

 1960年のローマオリンピックに主人公のミルカー・シン(ファルハン・アクタル)が400m走のインド代表として出場するところから話は始まる。オリンピックのあと、パキスタンとの親善試合に出ることを拒否するミルカ。呼ばれた元コーチは事情を話し始める。ミルカは軍隊で見いだされて走り始めたのだが、そのいきさつがインドの歴史や争いに巻き込まれる民衆としての生い立ちと共に語られるのである。
 実話に基づいており、実際のミルカー・シンはこんな方
 タイトルの「Bhaag Milkha Bhaag(走れ ミルカー 走れ)」は、コーチの声であり、家族の声であり、仲間の声であり、インド人の声なのであるなあ。
 インド代表のブレザーを初めて正式に着用するシーンとパキスタンへ行ったところと最後で泣きました。
 あちらこちらで賞獲りまくり。フィルムフェアアワードでは、作品賞・監督賞・主演男優賞・作詞賞を受賞。

 踊る新兵さん。

 頭にドアのノブカバーのようなものがついているのは、ミルカーがシーク教徒だから。「シン」はシーク教徒の名字なんだよね。普段はノブカバー状で、その上に薄い布をかぶるのが準フォーマル、ターバンを被るのがフォーマルらしい。軍隊では、帽子の代わりにターバン被ってた。そういえば、香港のグルカ兵やライフル持ってたガードマンのおっちゃん(最近あまり見ない)もターバンを被っていたということは、シーク教徒なんだろうなあ。
 激萌えだったのは、軍隊におけるミルカのコーチであるランヴィール・シンで、この強面のおっちゃん(予告編に出てくる)のドアノブカバー姿のかわいらしさに釘付け。演じるはPavan Malhotra。『Delhi 6』にも出ていたのか。
 ヒロインは、ソナム・カプール。アニル・カプールのお嬢さんです。こちらも『Delhi 6』に出てた(見直すか)。お父さんにはあまり似ていない華やかなお顔立ちである。
 ファルハン・アクタルは身体を張っている。鍛え上げて腹筋が6つに割れているのはもちろん、ミルクを2缶飲み干して腕立て伏せのシーン、ミルク1缶一気のみと腕立て伏せ49回まではカットを割っていなかった。一瞬、ドリフターズの「健康牛乳」ネタを思い出してしまったのだが、こっちはすごい(いや、あっちもすごいけど)。こんな(ってどんな)なのに『Don』(こちらでご紹介)『Don 2』の監督でもある。才能ありすぎ。

 この作品は、もともと映画祭で上映される予定だったのが、一般公開されると言うことで取りやめになったと聞いた。それだけいい映画という評価だったわけで、見たいと思っていた人も多いと思う。
 日本で公開されるのはとても嬉しいけれどね。
 くりかえしますが、この作品は(いや、いかなる作品も)公開の際にカットしてはいけないと思います。

 IMDbのデータはこちら

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実はO.ヘンリーなインド映画『Lootera』(2013)(髭は大事)

 下書き記事です。
 ちょっと前に見た。

 予告編。

 主役はソナクシ・シンハー。『Dabangg(ダバング)』でのサルマンでの相手役ですな。相変わらず、すごい目力である。父一人娘一人の病弱なお嬢様で、偶然知り合った好青年2人が家に寄宿することになり、そのうちの一人ランヴィール・シンと恋に落ちるのだが、実はその2人組には裏があり、それがもとでお父様がみまかり、雪深い山の中に一人暮らすことになる。そこへ、ランヴィールが助けを求めてやってくるのであった。
 これ、オー・ヘンリーじゃないの?と思ったら、翻案であると書いてあった。
 1950年代が舞台のとても静かな話である。ソナクシはダンスがうまいけど踊らない。歌のシーンはこんな感じ。
 インド映画は踊りは入らなくても、歌は必ず入る。

 で、ランヴィール・シンなのだが、最初出てきたときは髭がなくて、ちょっとのっぺりしているかしらーと思っていたのだが。
 こちらで教えていただいて、こんな人だと知ってびっくり。
 2013年フィルムフェアアワードでのパフォーマンス。

 曲は最近のだけど、各年代毎にスタイルを踊り分けている。それぞれ元ネタがあるらしく、客席のスターの皆さんはわかっている模様。インドは、昔のフィルミーソングが今でも知られているようで、古い映画も見ることが容易なので、こういうのが共有されているのかもしれない。
 ちなみに、2010年代はランヴィールの自分のネタとのこと。
 関連動画を見ると、あちらこちらのステージで踊りまくっているらしい。こちらなどを見ると、期待のイケメン枠なのね。
 髭は大事だ。
 『Ram-Leela』を見て、さらに驚いた話は後ほど。

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『マッキー(Makkhi:Eega)』

 まだ仕事は終わっていないけど、気分転換。

 昨年日本公開されたインド映画のうち、これだけ感想を書いていなかった。これだけ札幌のスクリーンで見られなかったのだった。唯一のテルグ映画だったのだけれどね(ヒンディー語吹き替えだけど)。

 日本版予告編。

 テルグ語版。

 「Eega」の発音は「いーが」なのね。
 ちなみに、マラヤーラム語では「Eecha」というらしい(Youtubeで知った)。
 これはマラヤーラム語版の予告。

 それぞれ趣がちがいますな。

 ジャニはビンドゥが好きだったのだが、「女が俺になびかないのはお前のせい」と逆恨みされてスディープに殺されてしまう。しかし、ジャニは蠅として転生し、ビンドゥと共にスディープに復讐するのだった…というお話。
 で、いいんだよね。突き抜けたストーリー展開である。
 予告を見たときに、これは『ロボット』でチッティが蚊語で恫喝する蚊のラングスキーの発展形だと思ったら、同じスタッフなんですってね。
 うーん。
 ジャニのキャラクターがどうしても駄目で。このしつこさは…と思っていたら蠅になっても全然違和感がなかった。何か違うと思ったら、蠅のあの吸盤のようににゅーっと伸びる口がないのね。
 で、ビンドゥ、ジャニの生前はさんざん冷たくしておいて、「からかってごめんなさい」と改心するのはいいのだが、蠅になったジャニといっしょに乗り乗りで「殺してしまいましょう!」となるのは、それは人としてどうなんですか。
 というか、主役はスディープじゃないんですか、これ。
 たしかに、女がなびかないぐらいで殺してしまうのはどうかと思うけど、声もよし(ヒンディー語も本人吹き替えとのこと)、顔もよし、後半はCG相手の実質一人芝居で演技もよし。
 個人的には、これはスディープ様鑑賞映画なのだった。

 ヒンディー映画にはない突き抜け方が楽しい映画ではあった。
 今年は『バードシャーテルグの皇帝』(予告編はこちら、公式サイトはこちら)と『あなたがいてこそ』(予告編はこちら、公式サイトはこちら)とテルグ映画が2本日本公開されるとのことで、札幌公開はまだわからないのだが、これも見たいなあ。
 それにしても、日本のインド映画公開の勢い、今年も昨年に続いてすごくないですか。これが続いてほしい!と心から思う。
 だって、インド映画は面白いんだもの。

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タミル映画も見たいぞ『Padayappa(パダヤッパ)』(1999)

 『神様がくれた娘』を見て、タミル映画が見たくなったので久々にコレ。『神様がくれた娘』のバシャール弁護士が出ているというので見なおしてみたら、たぶんラジニの従兄役だ。
 うちには、日本語字幕版のタミル映画(すべてラジニ映画)が8本あるのだが、一番好きなのはこれかもしれない。『ムトゥ』の方が傑作といえば傑作だし、歌舞音曲シーンもいいけどね。
 しかし、この映画のスタッフはムトゥと同じらしい。

 DVDは絶版なのね。再販希望。

 お話は、タミルナドゥ州のある村が舞台。大学に行っていたパダヤッパ(ラジニカント)が帰ってくる。パダヤッパは大変人望がある(なにせスーパーヒーロー)。パダヤッパは、母の兄の家の使用人バスンダラに一目惚れ、しかし、母の兄の娘であるニーランバリもパダヤッパに一目惚れ、それはそれは高圧的にパダヤッパに迫り続ける。パダヤッパの父はパダヤッパの神を祭る神官でやはり人望があるのだが、弟の陰謀で家を明け渡し揚げ句に死んでしまう。荒れ地に移り住み貧乏のどん底に落ちるパダヤッパ一家。妹の縁談も取り消されてしまう。
 だがしかし。

 ふたたび、パダヤッパは働いて盛り返していくのであった。
 「人生に苦労はつきものだ。しかし、その苦労が成功への足がかり」。仕事に疲れるとこの映画が見たくなるんだよなあ。
 「額に汗してハンマーを振るえば岩は割れるよ」で岩が割れ、「君は虎だ」でラジニが虎になります。『ムトゥ』のラジクマール監督が出始めたCGを喜々として使っているのが微笑ましい。
 「強欲な男と怒れる女はろくな人生を送らない」「俺には俺のやり方がある(いえんわり、たにーわり)」など決めぜりふも満載で、この映画を見たとき、ラジニは政界に転身して知事に立候補する(立候補すれば当選確実と言われていた。「香港特首」のアンディ・ラウみたいなものだわね)のかと本気で思った。
 ヒロインはサウンダリヤー(政界に転身したあと飛行機事故で亡くなったらしい)なのだが、むしろ、そのライバルであるニーランバリがいいと思う。傲慢でパダヤッパに一目惚れしてもその姿勢は崩さず、18年間引きこもったあと復讐のチャンスが訪れるや復活し復讐に邁進する、その一貫したところがある意味凄い。踊りも上手い。
 あと、「さっさとやっておしまい」「わたしは約束は守る」という男前なお母さんも素敵である。

 タミル映画もヒンディー映画と違っていいなあ。

 ラジニはかなり年がいってしまったのだが、タミルで今の注目はこの人。

 Ajith Kumar。これ見たいわあ。
 タミル版『English VInglish』でアミターブの役もやってます。

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『神様がくれた娘』(2011)札幌シアターキノで公開

 ここのところ1日おきに頑張って更新しているのは、こうでもしてないと神経がもたないからです。人生はたいへんだ。

 なんと今日まで札幌で公開中。
 シアターキノさん、いつもありがとうございます。8月には『The Lunchbox(めぐり逢わせのお弁当)』、期日は未定だけど『バルフィ!』も公開予定。
 たしか、この映画は2年ぐらい前に大阪アジアン映画祭で公開され関西ではテレビ放送もされ、今年の2月に全国公開された。札幌でも公開されたということは、キノさんはインド映画に力を入れてくださっているということなのだろう。ありがたいことこのうえなし。

 あらすじは、公式サイトによると、「チョコレート工場で働くクリシュナは、6歳児程度の知能しか持っていないが、嘘のつき方も知らない正直者でみんなに愛されていた。そんな彼も結婚をして子どもを授かるが、妻は娘を残して亡くなってしまう。娘にニラー“お月様”と名づけたクリシュナは、周囲の助けを借りながら彼女を育てるのだった。
時は流れ、ニラーは素直で可愛らしい5歳の女の子に成長した。そんなある日、町の有力者である亡き妻の父は、クリシュナ親子の存在を知り、「子どものような親に子育てはできない」と、ニラーを連れ去ってしまう。クリシュナはニラーとの穏やかな毎日を取り戻すことができるのか。そして、ニラーの幸せを心から願うクリシュナが初めてついたあまりにも切ない嘘とは…」とのこと。
 そういう紹介のしかたなのか。
 これはタミル映画で、南の方の映画は北に比べてこてこてというか物語文法が違うという感じがするのだが、この映画は、こてこてではないけど、やっぱり展開が南インド的で最後の最後に新たな設定が登場したりして(そこでその人の息子が!とか)、ストーリーの予測がまったくつかない展開ではある。

 ラジニの『パダヤッパ』もそうだったけど、1曲の間に年月が経つ。

 主題は「父と子」だと思う。クリシュナだけではなく、アヌシュカ演じる男前な弁護士(でも法廷で勢いでものを言っちゃいかんよ)アヌのお父ちゃんもいい味を出していた。
 「愛」「涙」「怒り」「平安」など、いろいろな感情が入っている本来の意味でのマサラ映画。最初の裁判所のパートは笑わせるところだよね。インドの弁護士さんも大変だなあ。裁判所にはガンジーの絵姿が飾ってあるのだなあ。
 前半は父子もので後半は法廷もの。最初は、クリシュナだいじょうぶか?と思うのだが(しかし、これは日本では作れないだろうなあとも思う)、後半は、ああどうなるのよクリシュナ!と思う。
 主なロケ地は南インドのウッティーという避暑地らしいのだが、風光明媚でバックがお茶畑。チョコレート工場ってそんなところだったのね。社長さんはいい人だ。動物もたくさん出てきて(「動物は傷つけていません」の冒頭のキャプションはひな鳥のところのためだろうか)にわとりが立派であった。
 あまり出てこないけど、市場の野菜がおいしそうだったし、あのあたりの料理はおいしいんだろうなあ。タミルとかケララとか行ってみたい。

 しかし、主演のヴィクラム、うまいわあ。
 原題の『Deiva Thirumagal』で検索すると動画が出てくるのだが、

 中心人物はヴィクラムだよね。
 検索してみるとこんな感じ。髭って大事だな。
 ヴィクラムは『Samurai』という映画に出ていて、こんな感じ。別人。

 ヒンディー映画のバリエーションとか洗練のされ方ももちろん好きだけど、タミル映画やテルグ映画のある意味てんこ盛りな作りもいい。
 東京方面ではテルグ映画も2本公開されるらしいけど、札幌はどうだろう。
 実は今週末から『Student of the Year』が札幌公開されるのだが(シネマ・ディノスさん、ありがとうございます!)、大本命の『Dabangg(ダバング大胆不敵)』だけが公開未定。どうかどうか、公開してくださるようお願いいたします。ほんとに。通いますから。

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アミターブ・バッチャンとシュリデヴィ主演『Khuda Gawah』(1993)

 『English Vinglish(マダム・イン・ニューヨーク)』主演のシュリデヴィと、この場面のスペシャルゲストであるアミターブ・バッチャン様の主演映画。

 舞台はアフガニスタン。対立する2つの部族が、「羊の死体を馬に乗って奪い合う」というゲームを戦争の代わりに威信をかけて行っている。その最中、片方の部族のリーダーであるバードシャー・カーン(アミターブ)が、相手の部族のベナジール(シュリデヴィ)に一目惚れ。シュリデヴィは最初顔も髪もベールで隠しているのだが、馬で争ううちにベールが飛んでしまい顔が見えるや、アミターブ様はくわえていた鞭を口からぽろりと落とすのであります。さっそくアミターブ様ことバードシャーは結婚を申し込むのだが、シュリデヴィことベナジールは「父の仇を殺したら結婚する」と答える。
 一目惚れ中のアミターブとシュリデヴィの踊り。

 バードシャーはインドに行き1年以上かけて仇を討ち、めでたくベナジールと結婚するのだが、そのことが理由でインドで刑務所に入るはめに。ベナジールは娘を産み、ずっとバードシャーを待ち続けるのだがバードシャーは帰ってこない。刑務所では、よくしてくれた刑務官が死ぬとか、面会に来てくれたご婦人の殺人の罪をバードシャーがかぶるとか、それはそれはいろいろなことがあるうち年月は経ち、いつしか自動車や飛行機が登場し、成長した娘(シュリデヴィ2役)がインドに面会にやってくるのだがしかし…。というお話。
 193分の大長編。
 むかしの映画は今よりゆったりした作りで、歌も踊りもしっかり入る。
 前半はアミターブ中心でお話が回るのだが、後半は娘のシュリデヴィ(母のベナジールとしても出る)中心に話が回り、最後にひとつにまとまる。後半、シュリデヴィは、アクションはあるわ(さすがバードシャーとベナジールの娘だ)、バードシャーと関わりのあった刑務官の息子である刑事のラジャと恋に落ちるわ、大活躍。
 こちらは娘バージョンのシュリデヴィの踊り。

 最後は泣ける。
 「マサラ映画」は、最近は「マサラ上映」の影響で「歌や踊りの入る映画」というイメージがついている気がするのだが、本来は「ラブロマンス」「笑い」「怒り」「涙」「アクション」「驚き」「憎悪」「恐怖」「平安」という「9つの感情」がきっちり入る意味で、この映画は本来の意味の「マサラ映画」なので、それはもう、いろいろなことがてんこもりでお腹がいっぱいになる。
 最近の特にヒンディー映画は、洗練されてきて、歌は入っても踊りが入らなかったり、シリアスなものがあったりして、いわゆる「マサラ映画」でないものも増えているけれども、90年代の映画は、ある意味定型的で、いわゆる「インド映画」でイメージされがちな、こてこてのてんこ盛りで、これはこれで面白い。
 タミル映画やテルグ映画は、こういうてんこ盛りが主流なので「インド映画らしい」と思われるのかもしれないなあ。
 IMDBのページはこちら

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『English Vinglish(マダム・イン・ニューヨーク)』を札幌で観た

 札幌公開の初日初回に行きました。
 9割がた埋まっていた!空いていたのは前1列だけ。客層はいろいろな方々。
 笑いも起こっていたし、鼻をすする音もけっこうしてた。

 公開してくださったみなさま、本当にありがとうございます。

 「日本公開熱烈希望」と書いてから1年で札幌公開。
 『Om Shanti Om』が6年、『Dabangg』が2年(『Dabangg』はまだ札幌公開が決まっていないけど)、公開のスパンがだんだん短くなっている。
 実は、この1週間、毎日、ディスクでもネットでもなく、日本語字幕でインド映画が見られたのであった。wowowで毎日放送された(8月上旬に再放送予定)ので。
 考えてみると、『English Vinglish』が日本語字幕でスクリーンで見られるのは大きな出来事なのだけれども、だんだんそれが当たり前になってきている。
 ありがたいことだなあ。

 日本版予告編。

 この予告編はよくできていると思う。
 ええ、主題は「誇りを取り戻すこと」と「学ぶ喜び」なんです。こちらに書いたのでくどいんですけど「恋に落ちる」映画じゃありませんから。ほんとに。

 DVDで観たときには、ごうごう泣いたのだが、

 劇場でも、アミターブ様の「初めては一度だけなんだから」あたりから涙腺が緩み、このあたりから、だーだー泣きながら見てしまう。
 あらためて見直してみると、コーヒーショップで後ろにローランがいたのね(忘れていた)。日本語字幕で見ると、フランス人めーという感じだった。
 そして、日本語字幕で見ると、夫と娘には改めて腹が立つ。最後のスピーチは「ざまーみろ!」と思いました。すみません。
 インド版DVDの感想とシュリデヴィについては、こちらに書いたのだが、昔の映画を見直してみると(感想はこちらに)、シュリデヴィ、今のほうがきれいだと思う。昔っから大スターなんだけど。
 そして、アミターブ・バッチャン様!
 70歳お誕生日おめでとう!というコメントが冒頭に出るのだが、

 この場面(公式に動画があがっている)。
 鼻血が出そうになり、会場のみなさんに「みなさーん、この2人は大スターなんですよー!」と叫びたい気持ちでいっぱいだった。ひそかにスクリーンに手を振り、音がしないように大拍手。
 ついでに書くと「サルマン・カーン」で吹き出してしまったのだった。
 特に反応がなかったので、お客様はインド映画のことをそんなに知らない方が多かったと思うのだが、そういう方で9割埋まるというのは、本当にすごいし、これからに希望が持てることだと思う。
 インド映画は、本当におもしろいんです。もっともっといろいろな映画があるんです。日本で、もっともっと公開されてほしいし、いろいろな方々に見てほしい。
 孤独や復讐(インド映画の復讐ものは本当にすさまじいものがある)など人間の暗いところも、愛も恋も政治も宗教もアクションも、娯楽ものありシリアスものもあり、よりどりみどりで本当に飽きないので、「女性には女性中心の恋愛もの」と「決めつけず」にですね(映画の中でも言ってましたよね)、ちゃんと面白さを広報していただきたい!と心から思うのであった。くどいけど。

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『English Vinglish(マダム・イン・ニューヨーク)』と『The Lunchbox(めぐり逢わせのお弁当)』「あさイチ」で紹介される(日本でのインド映画の紹介について)

 えらく長いタイトルだけど。ちょっと思うところがあったので。
 7月11日のNHK「あさイチ」で『English Vinglish(マダム・イン・ニューヨーク)』と『The Lunchbox(めぐり逢わせのお弁当)』が紹介された。「あさイチ」といえば、朝の連続テレビ小説を有働由美子アナウンサーと井ノ原快彦が受けることで有名な、朝の情報番組随一の視聴率を誇る番組である。
 ついにこんな日が…と感激しつつ、録画し生でも見てしまったのだが。
 いえ、番組で紹介していただけるのは大変嬉しいのですけれども。
 なんというか、紹介の仕方がですね。

『English Vinglish(マダム・イン・ニューヨーク)』については、こちらに紹介記事を書いたのだが、大スター・シュリデヴィが演じるシャシが英語を学ぶことを通して誇りを取り戻していく素晴らしい映画なのだけれども、「あさイチ」での紹介の仕方が、英会話教室でシャシとフランス人のローランが出会って恋が芽生えることを伺わせるような作りになっていた。
 あのー、この映画の主旨は「誇りを取り戻すこと」で、恋が芽生えるとかそんなのじゃありませんから!ローランに下心がなかったとは言い切れないけど、シャシはそんなんじゃないし、その紹介の仕方は映画の主旨に外れますから!
 …と思ってしまったのだった。

 一方の『The Lunchbox(めぐり逢わせのお弁当)』は、DVDで見て香港で見て日本公開が決まって、既にさんざん記事にしていますが。
 紹介された写真がイルファン・カーン演じるサージャンなしのイラだけのもので、紹介もイラが主人公で、孤独な主婦がお弁当と手紙を通じて恋に落ちていくという描き方なのである。
 えーと。
 わたくしがイルファン・カーンびいきであることを抜きにしても、この映画で軸足がどちらに置かれているかというと、イラではなくサージャンなのではないかと思うのです。

 インド版予告編

 香港版予告編

 日本版予告編

 日本版予告編は、インド版や香港版に比べて、イラの比率が高いというか、サージャンの比率が低いというか、イラに焦点が当たりすぎている気がする。だいたい、ナワーズッディン・シディッキーが出てこない。
 妻を亡くした定年間近のサージャンの孤独、最初は人と交わろうとしなかったのが、イラのお弁当やお弁当が辛すぎたことが遠因でナワーズ演じる部下ともだんだん親しく交わっていき、ついには結婚式に親代わりに出ることになり、仏頂面だったのがだんだん明るくなって隣の席のおっちゃんにいぶかしがられるようになるという、サージャンの変化が、見どころのひとつじゃないんですか、この映画は。一方で、イラや上の階のおばさんやお母さんなど女性の大変さ、孤独ももちろん描かれていて、そこからイラも脱却していくところが見どころでしょう。この映画のポイントは、孤独と、人との関わりで孤独から脱却していくことなのでは。
 「恋に落ちる」ことだけが映画の見どころじゃないと思うんですけど。

 思うに、「あさイチ」の主な視聴者は家庭にいる女性で、日本でこの映画を見る層として想定されたのも女性なので、日本では女性向けにプロモーションをしているのではないか。で、「女性向けなら『女性が恋に落ちる』ことを強調するのがいいんじゃないの」という考え方が、宣伝サイドにある気がする。

 それは、映画にも女性にも観客にも、とても失礼なことではないのだろうか。

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『Om Shanti Om』wowowで放映さる

 『Om Shanti Om』についてはもう書かないと思ったのだが。
 前の記事にも書いたのだが、ただいま『Om Shanti Om(オーム・シャンティ・オーム恋する輪廻…だっけ)』がwowowシネマで放映中。今、ムケーシュがいけずされまくっているとこ(記事が投稿されるころには放映は終わっているとは思う)。
 このあたりはまああまり思い入れはないので(何度も書いているけど、個人的盛り上がりの頂点は、「年取ったなあ」「君は変わらないよ」から「映画はまだ終わっちゃいないんだ!」まで)、寝る前に記事を書くことにする。

 案の状、泣きました。札幌のスクリーンで見たときより泣けた。というか、人目がないぶん思いっきり号泣。
 「日本で公開してほしい」と書いてから6年、コレが、電波に乗って日本全国のお茶の間に届けられたのである。有料放送だけど。

 綺羅星のような超豪華歌舞音曲シーンが。

 楽しそうなスタッフのおっちゃんたちが。

 もう何回見たかわからないけど、ディスクプレーヤーは作動してなくて、動画サイトでもなくて、これを全国のたくさんの人たちと一緒に見ているのだと思ったら、泣けてしょうがなかった。

 で、明日はNHKの「あさイチ」で『English Vinglish』と『The Lunchbox』が紹介されるのである。でもって、札幌では、今週末から『神様のくれた娘』と『English Vinglish』が、来週から『Student of the Year』が公開されるのだった。
 あとは『Dabangg』に是非とも来てほしい!NHKBSでもインドの娯楽映画を放映してほしい(もちろんノーカットでね!)…と望みは広がっていくわけで、6年前のことを考えると夢のようである。
 ふとテレビを見るとシャールクが踊っているなんてなあ…。
 
 インド映画は、普通の映画として、これから、あたりまえに定着していくのであるなあ(断言)。

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日本のお茶の間でインド映画が6本

 相変わらずハードな日々ですが、生きてます。
 下書きしてある記事もあるのだが、アップの余裕がない。
 今日の夜になって、やっと録画してあるものを見たのだが、思わず号泣しそうになったのがあって、それがなんであるかというと、wowowのインド映画特集の予告なのだった。
 前にもちょっと書いたのだが、明日から、夜9時というゴールデンタイムに、『3 idiots(きっと、うまくいく)』と『Jab Tak Hai Jaan(命ある限り)』と『Ek Tha Tiger(タイガー伝説のスパイ)』と『DON2(闇の帝王DON ベルリン強奪作戦)』と『Om shanti Om(恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム)』と『マッキー』が連続で放送されるのである。
 有料放送だけど、日本のお茶の間で。普通の映画として。

 いきなり、これが、テレビの画面に映ったときの気持ちといったら。

 自分は何もディスクをかけていないのに。
 公共のテレビの電波に乗って、シャールクが、サルマンが、アーミルが、ディーピカちゃんが、カトリーナが、カリーナが、プリヤンカ様が、スディープが…。
 
 『Om Shanti Om』を日本で公開してほしいと書いたのは6年前。
 こんな日がくるとはなあ。
 ブルーレイがないものは美麗画質で録画する。
 『Om Shanti Om』はリアルタイムでちゃんと見て、テレビの前で心おきなく号泣する所存である。きっと泣きながら踊ると思う。

 これは皮切りであって、インド映画が普通の映画として日本の映画館でもテレビでも見られるように、これからきっとなると信じる。
 だって、面白いんだもの。

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