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インド映画もノーカットで上映されるべきである

 少し前にツイッターで話題になっていたのだが、書こうと思いつつ、なかなかうまく言葉にならなかった。今さらではあるものの、忘れないうちに書いておこうと思う。

 東宝と日活が一緒に「GOLDEN ASIA」というレーベルを立ち上げるのだそうだ。キャッチフレーズは「アジア映画最強レーベル」。公式サイトはこちら
 公開されるのは、
 周星馳の『西遊記降魔篇(西遊記はじまりのはじまり)』
 『Dhoom3(チェイス!)』
 『Bhaag Milka Bhaag』

 映画自体のチョイスはとてもよい。『Bhaag Milka Bhaag』が公開されるのもとても嬉しい。こちらに書いたけど、とてもいい映画だから。
 インド映画を積極的に紹介してくださるのもとてもありがたい。

 問題は、『Dhoom3(チェイス!)』が上映時間146分(オリジナル尺:162分)、『Bhaag Milka Bhaag』が153分(オリジナル尺:186分)と堂々と書かれていることである。インド映画は20分〜30分カットされているということになる。
 『Urumi(秘剣ウルミ バスコ・ダ・ガマに挑んだ男)』は公開時に50分カットされ、そのままNHKで放映された。まだ、完全版は見ていないけど、たしかにあれは薄味だった。

 おそらく、カットされたのは、「インド映画は長い」という考えがあって、1日の上映回数の制限とか通常の映画は2時間前後だからとか、そのような理由なのだろうと思う。
 しかしですね。それは駄目でしょう。
 理由は主に2つ。
 ひとつめは、映画は編集も含めて作品なのであるから、公開する側の一存でカットすべきではないということ。映画賞に「編集賞」があるのはそういうことでしょう。
 今を去ること16年前、『ムトゥ』はノーカットで公開された。昨年今年とインド映画が続々公開されていることの背景には間違いなく『ムトゥ』があると思う。しょうもないところも冗長なところもあったけど、それも含めた、それまでないぶっとび具合が、当時『ムトゥ』でインド映画を知って好きになった人々を惹きつけたのだと思うのだ。
 たしかに、今、家で見るときには、もう内容もわかっているので飛ばし見はする。でも、それは、あくまで全部を知った上のことの話で、初見では全部見たい。それが作品に対するリスペクトというものであろう。
 ふたつめは、「カット」がインド映画に限定して行われているように見えること。たとえば、今度公開される「トランスフォーマー」は165分だと聞いたけど、カットされたという話は聞いていない。『ロード・オブ・ザ・リング旅の仲間』は178分、『王の帰還』は201分、それでもカットはされていないはず。
 170分の『3 idiots(きっと、うまくいく)』もヒットした。
 インド映画はカットして堂々と「オリジナル尺」を示す(それも良心的といえばいえるのかもしれないけれども)というのは、「インド映画はカットしてもいい」という前提が会社側にあることを示してはいないのだろうか。あるいは「ヒットしなさそうなものはカットしていい」「インド映画は無駄に長い」「インド映画はヒットするかどうかわからない」とか(他の理由が思いつけない)。それはインド映画に対して失礼だし、そう考えることは、映画に携わる仕事をしているプロとして、恥ずかしいことではないのですか?
 百歩譲って、時間が長いことが興行成績に影響があるから、という理由があるとしたら、会社の判断で不完全な商品を提供しているわけだから、どこかでデータを示して説明すべきだし、どこが制作したかでカットする・しないという差別をするのは筋が通らないのではないだろうか。

 会社の意思決定のプロセスを推測するに、おそらく、「インド映画をカットする」という決定がされたのは、会社全員が一丸となって「そうしましょう!」と初めから思っていたのではなく、どちらかの会社の上の方の声の大きな人がそう言ったのが通ったか、プロジェクトチームの会議で誰かが言い出したことが通った結果だとのではないか。
 こちらに書いたのだが、映画の広報には、思い込みと偏りがあると思う。
 面白さをまっとうに評価するのが王道であり近道ではないのだろうか。

 だから。
 今からでも遅くはない。
 是非「完全版」も公開してほしい。
 そして、完全版を公開するようにしていっていただきたい。

 なぜなら、インド映画はとてもとても面白いから。
 公開されていない面白い作品がまだまだたくさんあって、日本の映画好きにとっても映画会社にとっても宝の山だから。角を矯めて牛を殺すようなことにはなってほしくないから。ちゃんとした作品として日本に定着してほしいから。

 全然関係はないけど、今、見つけたので貼る。昨日リリースされたばかり。
 ファラ・カーン監督、シャールクとディーピカちゃんの新作『Happy New Year』の予告編。ボーマン・イラーニとソヌ・スードも出ている。

 是非とも日本のスクリーンで見たい!もちろんノーカットで。

【2014年9月24日追記】
 この件について、こちらの記事のコメント欄で教えていただきました。cinetamaさん、ありがとうございました。
 インド映画配給最大手の日活さんが、「インド映画をハリウッド映画なみの興行ルート、つまり『東宝系で全国上映』に乗せるべく、今回ねばり強い交渉を重ねてくださった」のだそうです。そのため、上映時間を譲歩しなければならなかったとのこと。すなわち、単館系ではなく洋画ロードショー系の公開規模ということですね。「今回の2作品がヒットすれば劇場側の印象も変わってきて、何らかのステップアップもできるはず」というお話もあったそうです。
 ありがたいことだったのだなあ。
 日活さん、本当にありがとうございます。
 これから、ノーカットでの公開を増やしていくためには、どんどん見に行きましょう!そして、インド映画はノーカットで公開することが当たり前ということになっていきますように。だって、インド映画は面白いんだもの。

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