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『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』

 下書きしたのを投稿し忘れそうなので。

 休日出勤の後、翌日は代休なのをいいことに観に行った。
 取材申し込みをしてから16年後に返事が来て、準備2年、撮影6か月(監督が一人で修道院に泊まり込み)、編集に2年という労作である。

 予告編を見て行きたくなった。

 音楽なし、ナレーションなし、照明なしで2時間49分。
 気持ちよく撃沈したお客様の寝息が聞こえた。かわいそうだったのは一家4人で来ていた小学生の息子さんで、静かにしていたのは偉かったのだが、もぞもぞして辛そうだった(なんでよりによって子供連れでこの映画に?)。
 実をいうと時々数分間沈没したけど、おもしろかった。
 カトリックの学校に行っていたので修道会には普通の人よりなじみがあるのだが、どちらかというと禅寺のよう。
 日課がきっちり決まっていて、作務のような日々の労働(薪割りとか鐘を鳴らすとか)もあるのだが、ほとんど自分の個室にいて、祈ったり(1日7回)「霊的読書」をしたり。御聖堂に集まるのは1日3回。辛そうなのは睡眠時間で、日課は、23:30に起床して0:15から3:00まで朝の祈りに出て3:15に再び就寝、6:30に起きてお祈りして霊的読書して8時からミサ、その後は読書・祈り・労働・学習が続き、就寝は19:30。食事は12:00に昼食、17:00に軽い夕食、自由時間は昼食後のお祈りのあと1時間ぐらいか。
 スリランカやミャンマーの瞑想道場には行ってみたいけど、これは厳しい。
 音楽は御聖堂に集まるときの聖歌だけなのだが、これが中世から伝わっているような音楽で、譜面がネウマ譜(四線の楽譜に黒い小さい四角が並んでいる)。ぜんぜん読めない。
 修道会は1084年に設立され、現在の建物は1688年に建てられたとのこと。
 とても大きい建物なのだが、登場する修道士は30名弱で、御聖堂や新人が入ってくる儀式や食事もその人数なので、小さい単位になっているのかも。
 カメラは何人かの修道士、特に入ったばかりのアフリカ人の修道士の居室での様子が多い。だいたいお祈りして読書していることが多いのだが、小さい電子鍵盤を使って歌の練習をしたりもしている。部屋は木で造られていて、だるまストーブとルンペンストーブの間のような懐かしい煙突付きのもの。冬は寒いんだろうなあ。
 食事は居室のドアの横に小さい扉があって、そこから配られる(ちょっと刑務所みたい)。三段重ねの金属の器に入った何かと、お皿に盛った果物とビスケット(クラッカー?)とパン。その料理をアップで映して!と思ったのだが、よくわからなかった。たぶん野菜のスープか煮込みみたいなもの。
 料理は専門の修道士が担当のようで、庭で野菜を作ったり用水路の整備をしたり、とっても働き者。服を作る人と床屋(全員電気バリカンで丸刈り)も専門の修道士がいる。パンフレットによると、服を作る人は端切れもボタンも何一つ捨てないのだそうだ。
 ほとんど自給自足らしいのだが、コンピュータを使って郵便物処理の仕事をしている人もいるし、電気も多少は使っているし、果物などは買っていそうなので、多少はお金も使っていると思う。
 原則として話はしないのだが、シトー会やトラピスト会のように完全な沈黙というわけではなく、日曜日は集まって食事をして、午後は会話をしてもよく、外に出ることも推奨されている。冬、山の斜面で滑りっこ(靴や服のまま滑り/転がり降りる)に興じるみなさんが可愛らしい。
 しかし、何と言ってもツボにはまったのは、

  猫に対しては話しかけてもよい!こと。

 やりとりは控えの間にあるメッセージ箱を通じて行い、仕事に関することは話してもいいらしいのだが、猫対応は仕事か!たぶん牛小屋じゃないかと思うのだが、白黒ぶちとかパステル三毛とか普通の猫がたくさんいるのである。シャルトリューズって、猫やお酒の種類であるんだけどね。
 ナレーションは入らないのだが、ときどき、文字で言葉が入る。
 時折、修道士の顔が一人ずつ映されるのだが、最後に出てくる盲目の修道士さんが何ともいえず味わいがある。この人の言うことも禅のよう。
 最初は何をしているかわからないことも、映画が終わるころには、最初に出てきた冬の風景がリプライズされて、わかるのだった。
 日々の何気ないことがいかに刺激的か、自分たちの日々の生活がいかに刺激がありすぎるというか余計なものが多すぎることか。

 公式サイトはこちら
 修道会はウェブサイトを持っているとのこと。たぶん、これ。映画の画像が活用されているように見えるのだけれど。
 動画もある(こちらなど)。

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