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『救火英雄(ファイヤー・レスキュー)』をディノスシネマズ札幌で観る

 ディノスシネマズ札幌さんは、札幌における香港映画の牙城のような映画館であって、以前にも「春のドニー祭り」を開催してくれたり、今回も、1週間ずつではあったけれども『掃毒』もこれも公開してくださったので、札幌市民は日本語字幕つきでスクリーンで見ることが出来たのであった。いつもありがとうございます。感謝の意を込めてタイトルに入れさせていただきました。

 さて、またもや長らくご無沙汰してしまったのだが、実は、今週、人生初の「診断書が出て自宅療養」ということになっているのでした。それほど深刻ではないはずで、感染症ではなく通院などもあって出かけているので、むりやり行った(帰るとぐったりするけど)。行きたかったんだよ、これ。

 日本版予告編。

 詳しくはこちらに書いたのだが、香港公開時に一度観ている。これは絶対映画館でみたほうがいい。香港火事映画の金字塔『十萬火急(ファイヤーライン)』(これはCGぬきで役者が身体を張っているところがまたすごい)もそうだけど。臨場感というか密閉感が全く違う。
 感想は当時とあまり変わらないのだが、日本語字幕があるのはありがたく、ニコことニコラス・ツェとショーン・ユーとアンディ・オンは同期で、冒頭の屯門の火事では連帯責任と言いつつショーンが罪をかぶってしまったのかなど、筋がよりよくわかった。
 当時『香港街道地方指南』で調べたのだが、舞台の龍鼓灘は新界の西端で発電所が2つあり、応援が来るのがきわめて難しい立地なんだよね。最後は香港は復旧していたんだけど、あそこがなくなったら香港の電力事情は大丈夫なんだろうか。地下鉄が全部止まって街灯が消えてバスが走れなくなったら尖沙咀あたりに集まっている皆さんはどうなってしまったんだろう。クリスマス時期は香港にいることが多いので、佐敦あたりに泊まっていればいいけど九龍城あたりでも歩いて帰るのは大変だよなあと他人事ではない。
 改めて見直してみると、消防士は本当に大変な仕事で、十萬火急(ファイヤーライン)』でも引用したりえさんの記事を思い出して涙する。やっぱり霊柩車は消防署を通って任務終了のベルを聞かせたんだろうか。最後の「消防士に捧ぐ」で密かに拍手した。
 ストーリーはわかっているので、ちょろちょろしちゃいかんよ子供!とか、そこでスイッチを入れてはいけませんってば所長!とか、そこで火を焚いちゃいけませんってば婆ちゃん!など、気がもめる。
 確認したのだが、お酢工場で家族を亡くしてお祀りするために火を焚いちゃって大火事の原因を作ったのは、やっぱり邵音音だった!アンドリュー・ラウ監督はどこにいるのかわからなかったのだが、帰ってから公式サイトを見たら、消防庁の長官だったのか。
 それにしても、消防士の布陣は何度見ても鉄壁で、胡軍!ヤムヤム!など出てくるたびに手を振る始末。本部長がリウ・カイチーだったのが個人的にはかなりツボだった。ヤムヤムも素敵だが、胡軍がやっぱり頼りがいがあってよい。ああいうキャリアは香港ではたぶん成立しないと思うんだけど。
 ニコはねー、やっぱり、ああ辛かったんだろうなあ…と、相変わらずヤムヤムとアンディ・オンと煙草を吸うシーンで涙してしまう。
 ああ、ニコよ、本当にいい俳優になったねえ…としみじみしてしまい、ニコ祭りかデレク・クォク祭りを開催したいのだが、体調がよくないとそんなに映画は見られないようで(けっこう体力使うんだなあ)しかも見られる映画はけっこう選ぶ必要があり、ああ時間はあるのにともどかしい療養中。

 もうひとつ、これはご時世としか言いようがないのだが、ジャッキーが出てくる「ポリスストーリーかよ」のくだりで、本当に複雑な気持ちになった。今回の香港の事態に際してジャッキーはいろいろと失言をやらかしており、また、警察と香港市民の関係も従来のようではなくなっていて(差人こと警官個人は悪い人ではないと思うけど、かつてのような信頼関係があるかというとなあ…)、1年足らずの間に香港が大きく変わってしまったことが胸に迫るのだった。

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