日本公開熱烈希望『無涯: 杜琪峯的電影世界』
実は、ただいま香港に来ております。
11月からずっと体調が思わしくなく、仕事を休んだり減らしたりしていたのだが、主治医からお許しをもらい来たのであった。
1本目に観た映画がこれ。間に合ってよかった。とても観たかったの。
電影中心で鑑賞。なんと終了後に監督のティーチインがあった。
ツイッターでがーっと流したのだが、ブログにも書くことにする。
なぜなら、今回は訳あってパソコンを持ってきたから。
予告編。
冒頭のクレジットをみると、香港演芸学院の学位制作作品らしい。
監督は若いイケメン。ティーチインには2人来ていて、お一人が広東語、お一人が普通語で、広東語は全くわからず、普通語もそれほどわからず、猫に小判とはこのことであった。
タイトルの英訳は「Boundless」。インタビューと作品を通じてトー先生の映画が語られていくという作り。
インタビューされていたのは、トー先生ことジョニー・トー監督はじめ、ワイ・カーファイ、ヤウ・ナイホイ、鄭兆強、ソイ・チェン、シルビア・チェン(肩書きは映画監督)、ラウ・チンワン、林雪、ルイス・クー、アンディ・ラウ、サミー・チェン、サイモン・ヤムなど(順不同)。
取り上げられた映画は、『高海抜之恋Ⅱ』『毒戦』『奪命金』『盲探』『大事件』『孤男孤女』『やりび』『PTU』『放。逐』『十萬火急』『文雀』『柔道龍虎房』『黒社会1・2』など(順不同)。
もう情報量が多くて、字幕を読んでいると画面が見られず大変だった。
もう一度観たい。
内容は、プロムナードからの夜景から始まり、大陸での撮影から「プロフェッショナリズム」の話、トー先生の仕事の仕方の話、「フレッシュウェーブで若手を育てる話」「香港における香港映画の意義そして香港の未来」のような流れ。
『十萬火急』では現場の足元にガソリンが来て大変なのにトー先生はモニターを見ながら葉巻を吸っていたとか、大陸で撮影しているとき林雪が「台本はいつ来るのか」と大陸の俳優から聞かれっぱなしだったとか、笑うところもあったけど、大部分はシリアスな話。
『PTU』の階段を懐中電灯の光が上がっていくシーンは台詞があったのを全部カットしたとか、『大事件』冒頭の長回しでの緊張は大変なものであったとか(そうでしょうとも!)、『孤男孤女』はサミーの演技によって台本がどんどん書き換えられたとか、『放。逐』はほとんど台詞が決まっていなかったとか。
それにしても、『盲探』のときには払うお金がなかったというのには驚いた。
『やりび』のジャスコのシーンは4時間で撮らなければならず、ひとつの画面に多くの人物を収める、人物の配置などに工夫がこらされたとか。
何が嬉しかったといって、『やりび』と『PTU』が一部とはいえスクリーン(それも香港の)で見られたことです。
フレッシュウェーブの意義については夕張のトークイベントでも言っていたけど、香港での映画の意義は単なる娯楽ではなく、未来のために必要であるということが強調されているように思われた。
それで「中環のフェリーピアの取り壊しは悲しかった。香港政府は人々のために何をしているのだ」という発言があって、『黒社会』の話になるのですが。
『黒社会』は、選挙が偽物になっていく話で、特に「2」は中国の介入で香港を象徴するルイスの運命が大きく変わっていく話で、ルイスの見下ろす田畑が初めと終わりで全く意味が変わっているということが語られて、2012年の大遊行の映像が挿入されるわけです。
なぜ2012年かというと映画が2012年に作られたからだけど。
ついこの間まで、ついすぐそこで何があったか、それは終わったわけではなく、今もこれからも続くことを考えると、もう、泣けて泣けて泣けて。
もし、この映画が今年作られていたら全く違う映像が使われたはず。
最後に、トー先生は映画を作る仕事ができることは幸せだと言っていた。それは、映画にできることと香港の未来を信じているからだと思う。
次に作る映画はどんなだろう。
香港で、この時にこの映画を見られたのは幸せだった。
でも、ちゃんと全部わかりたいし、日本でもたくさんの人が見るべきである。
どうかどうか、日本でも公開していただけないだろうか。
関係者のみなさま、どうぞよろしくお願いいたします。心から。
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