香港人と香港警察
初めは「光明磊落博物館」のことを書くつもりだったのだが、長くなりそうなので分けることにした。
香港人は警察官が大好き「だった」。
2008年の年末に香港に行ったときには、金馬倫道で白バイの警官が囲まれて大記念写真大会になり、1時間経ってもまだ終わっていなかったということがあった(そのときの記事はこちらに)。自分も「香港のお巡りさん」が大好きで、会うと「きゃあ」と思って密かに写真を撮ってしまったりしていたものだ。一度声をかけられたことがあったのは嬉しかったなあ(記事はこちら)。
香港映画にも警察は山のように登場し、「無間道(インファナル・アフェア)三部作」をはじめ「PTU」「寒戦(コールド・ウォー 香港警察二つの正義)」など枚挙にいとまがない。警察抜きの香港映画は想像できないような気がする。
しかし、雨傘運動後、その関係は一変した。
「公安無間道」
名作「無間道」の替え歌である。よりにもよって「無間道」の。
「狂惹之Sir 黑警暗角主題曲」
警官が公民党の曽議員を物陰(その後「暗角」として観光名所になった。行かなかったのだが添馬公園の下だったのか)でぼこぼこにし、それをTVBがばっちり撮影して全世界に報じられた(NHKでもやってた)事件も歌になっている。
原曲は、アーロンの「狂野之城」。
見て分かるように、動画には、今回の雨傘運動で警察が香港市民に対して何をしたかがてんこ盛りになっている。
占拠の初めの頃に金鐘で警官が丸腰の(防御のために雨傘を持ちラップを巻いただけの)香港市民に八十数発の催涙弾を発射したことは、香港市民にとても大きなショックを与えたと思う。香港人が香港警察を好きだったのは信頼関係があったからで、その警察官が自分たちを攻撃したら、いったい誰が自分たちを守ってくれるのか。中国政府が「50年間は体制を変えない(民主的な体制を維持する)」というイギリスとの協定を破ることを公言し、自分たちを守ってくれると思っていた警察官が攻撃してきたら、どうすればいいのか。
イギリス統治には、もちろんいい点も悪い点もあったとは思うけれども、民主的な言論の自由が保護されていたことは大きかったと思う。そして、いろいろと大変だけれど、ユーモアを交えながら意見を表明し未来への希望を持ち続けることは香港人の美徳だと思う。
今回の警察の行動は、その香港人の希望を大きく損なった。
「これから香港映画はどうなるんだろう」というのは、この9月28日以降、香港映画好きの間でしばしば交わされたことだが、「雨傘後」に作られる映画は「雨傘前」に作られた映画と変わらざるを得ないだろう。
先日金鐘に行ったときには、周辺に警官がたくさんいたのだが、脳裏には「おまわり」とか「ポリ公」という単語しか浮かばなかった。
外国人の自分ですらこうなのだから、香港人はどんな気持ちだろう。
しかし、希望とユーモアは香港人の美徳である。
それでも、香港の未来が明るいものであることを心から願っている。
我希望香港明天美好。香港人加油!
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