« 2015年3月 | トップページ | 2015年5月 »

2015年4月

『Kahaani(女神は二度微笑む)』を札幌で観る

 4月25日より札幌公開。シアターキノさん、いつもありがとうございます。
 お休みになって、やっと観に行くことができた。
 客席が暗くなるや否や、泣いた。なぜなら、

  超満席だったから。

 それほど収容人数は多くなかったのだが、通路まで補助椅子が出て人がびっしり。インド映画が、こんなにぎっしりの劇場で一般公開されたのを初めて見た。
 よかった。ほんとうによかった。
 そして、これを劇場で初めてみる方が心から羨ましかった。
 公開されると思わず、DVDで観てしまっていたから(記事はこちら。ネタバレなし)。

 日本版予告編。

 日本語字幕は松岡環さん。名前が出て小さく拍手した。
 いつも書いていますが、日本語字幕で見られるってなんて幸せ。特に、歌の歌詞がちゃんとわかることがすばらしい。

 とりわけ、大アミターブ・バッチャンが歌っているこれ。
 パンフレット(当然買った)で知ったのだが、タゴールの詩で、ベンガルではみんなが知っている歌だとのこと(好きなプレイバックシンガーであるシュレヤ・ゴーシャルもこの映画の前に既に歌っている)。エンドタイトルにも出てくる。泣ける。
 大アミターブ・バッチャンは、ナレーションもやっていて。そのナレーションが出てくるや、心の中で大拍手。冒頭のspecial thanksで既に拍手してたけど。
 ナワーズには出てくるたびに小さく手を振ってしまう。ああかっこいい。
 ヴィディヤも、これは、カトリーナにもカリーナにもできない、ヴィディヤでなければできない役で、フィルムフェア・アワードはじめ主演女優賞を総なめにしたのも当然の演技であった。
 「ここでは名前が2つある」「名前で呼ぶことの意味」の使われ方もいい。ラナが一度だけヴィディヤを名前で呼ぶところとか、ラナがカーンと最後に別れるところとか。
 ドゥルガ神のお祭りや赤と白のサリーの使い方も。
 そして、スクリーンで観ると、これは紛れもなくコルカタの「街もの」映画であって、インドはどちらかというと南のほうが好きなんだけど、コルカタに行ってみたいなあと思う。ちなみに、デリーの「街もの」映画は『Delhi 6』、ムンバイの「街もの」映画はたくさんあるけど、個人的には『Life in a Metro』と『The Lunchbox(巡りあわせのお弁当)』だと思う。
 パンフレットによると、ハリウッドによるリメイクが決まっているらしいのだが、舞台がコルカタでなくなり、主演がヴィディヤでなくなったら、全く違う映画になってしまうのではないだろうか。別にいいんですけどね。それより、これもパンフレットにあった「『容疑者Xの献身』のインドリメイク」のほうが気になる。インドのリメイクはぜったい!元のより面白い(断言)から。
 この映画は二度目は見方が変わってしまうので(一度目は何気なく見ていたところが泣けたり)、今回初めて劇場で見た方には、是非とも再度みていただければと思う。札幌は5月8日まで公開です。たぶん、あと1回は行くと思う。ゴールデンウィークだし。
 ここしばらくカンボジアものにかかりきりだったのだが、やっぱりインドもいいわあ。前世のどこかでインド人だったのかもという気がする。
【追記】
 結局、3回観に行きました。3回目の感想はこちらに。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンボジア拾遺(コンビニと物価)

 そろそろカンボジア話も打ち止めにしようかと思っているのですが(ちょうど1か月ぐらいかかった)。
 
 シェムリアップにはコンビニやスーパーがけっこうあって、コンビニはガソリンスタンド(主要交通機関であるバイクの給油に必須)に併設されていたりする。観光客が多いエリアにもけっこうある。
 ホテルの近所のコンビニにて。

20150426siemreap1

 出た!謎の日本語「ベツ」。
 カンボジアにもあるのか!と思っていたら、帰って来て知り合いのカンボジア人に聞いたところ、これはタイ製らしい。

20150426siemreap2

 こちらの「OSAKA」はベトナム製らしい。
 それより何より、帰ってから写真を見て気がついたのだが、隣のウェハースがマンゴスチン味だ。買ってくればよかった。その隣のドリアンウエハースは買う勇気はないけど。ドリアンは生は好きなんだけど、加工品は苦手なんだよねえ。

20150426siemreap3

 バナナチップス1ドル。
 ちなみに、日本人経営の日本人向けおみやげの店では、フレーバーつきのが5ドルだった。それはそれで美味しいんだけどね。

20150426siemreap4

 サーカスに行く前、街をぷらぷらしすぎてご飯を食べる時間がなくなり、ホテルの近所の角の店(地元の人も利用しているらしい店で屋外にテーブルがある。香港のたいぱいとんにありそうな感じ)で外賣をした。

20150426siemreap5

 どう見ても香港でいうところの干炒牛河。2ドル。
 香港に比べてさすがに安いわ、と思っていたら、件のカンボジア人に「高い!」と言われた。1ドルが普通だそうです。
 ちなみに、お迎えがくる…と急いでかっこんだら、けっこう遅く来たので、以外とゆっくり食べられたのだった。わりといけます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンボジアのテレビと映画

 カンボジアのテレビの娯楽チャンネルは、夜はカラオケが多かったのだが(記事はこちらこちらに)、ドラマや映画もやっていた。
 すべてクメール語吹き替え。
 しかし、けっこう中国のドラマが多かった。なぜわかったかというと、中国語の字幕がそのまんま残っているからである。気にしないのか、カンボジア人。しなさそうだな。
 字幕が英語と中国語併記のは香港のドラマの可能性もあるのだが、知らないものばかりで、よくわからなかった。ヤムヤムことサイモン・ヤムがクメール語を喋っていたサスペンス風ドラマもあったのだが、字幕からみて大陸のものではないかと思う。
 インド映画らしきものもあって、なんとなくヒンドゥー映画ではなく、もっと南のもののような感じだったのだが、知らない映画だったうえ、クメール語吹き替えなのでわからず。

 さて、今回、このMVを見て、はたと思ったことがあった。
 カンボジア人はチャウ・シンチーが好きなのではないか?
 そう思ったのは、髭の女子が『少林サッカー』のセシリアっぽかったせいもあるのだが、太ったお兄ちゃんはデレク・クォクのようだし。雰囲気が無厘頭(「何も考えていない」というような意味。かつてチャウ・シンチーの映画でよく言われていた)だ。
 それで探してみたら、やっぱりシンチーがクメール語で喋ってました。「Tenfi」って、おそらく、カンボジアでのシンチーの愛称なのではないか。動画がたくさんある。やっぱり、こういうのが好きなのか。

 実は、カンボジアオリジナルの現代映画もかなりあるようで。

 冒頭の畑の中でバイクに乗っている雰囲気がカンボジアの青春もの?と思ったら、どうもゴーストものらしい。


 
 「Khmer Ghost Funny Movie」だそうだ。50万回以上再生。
 この、80年代のくだらなめの香港映画とインド映画を混ぜたような雰囲気、きらいじゃないのだが、別に字幕がなくても、往年のインド映画のVCDを字幕なしで見ていたことを思えば苦にならないのだが。
 繁忙期で全部見る時間がないのが残念である。

 最初の5分で「何だこれは?!」と思ったのだが、関連動画をよくよく見ると、クメール正月の午後2時ぐらいからテレビで一斉にお正月番組が放送されるようで、これの3分過ぎからを見て、顔が三つある神様(の首)はお正月に関係があるらしいということがわかったのだった。

 「Angkor Sankranta Angels Exchange Ceremony」だそうである。バイヨンの前でやっているんじゃないかと思う。
 そして、やっぱり後半は歌になり、みんな踊っているのだった。

 Non-Stop Karaoke は作業用BGVにしているのだが、おかげで、youtubeの「あなたへのおすすめ」がクメール語で埋まってしまっている今日このごろ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

ドクター・フィッシュの心得

 ふたたび、話はカンボジアに戻る。
 「ドクター・フィッシュ」とは、魚が人間の足の角質を食べてくれるというものである。他の国にもあるような気がする。

20150419siemreap5

 シェムリアップのパブ・ストリート周辺には、ドクター・フィッシュができるところが、たくさんある。歩いている人のほとんどが外国人観光客だから。
 うっかりして全体像の写真を撮り損なっていたのだが、魚がたくさん泳いでいる水槽の周りにベンチがしつらえられていて、客はそこに座って水槽に足を浸すという仕組み。1回2ドル。時間はたぶん無制限。

 水槽は2種類あって、

20150419siemreap1

 小さい熱帯魚みたいなのが1種類だけのと、

20150419siemreap2

 いろいろな種類の大きめの魚がいるのがある。
 どちらも、カンボジアの魚なんだろうか。
 わたくしは是非とも角質を解消したかったので、大きい魚の方にした。

 ところが。

20150419siemreap3

 ほぼ同時に向かいに座った欧米系のおじさまに魚が集中。
 どんだけ角質があるんだという群がりぶり。

20150419siemreap4

 この鯉が平べったくなったような魚がひいきで、赤いのを「あかお」黒いのを「くろお」と心の中で呼びつつ、おいでを願ったのであるが、おじさまが去るまで、あまり来てもらえなかった。
 お魚たちは、おじさまが去ると、やっと来てくれたのであった。
 おかげで長いこと足を水に漬けていたので、ふやけて角質がよく取れたことであろう、と思うことにする。しかし、教訓は

  ドクター・フィッシュはライバルがいないところを選ぶべし。

 それにしても、あのお魚たちは栄養過多にならないんだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

サクラサク 2015年4月

 割り込み記事です。

20150422spring1

 札幌でも桜が咲きました。

20150422spring2

 ようこそ、おかえり。

 例年だと、桜はゴールデンウィークの頃に咲くというイメージ。
 たしか、一昨年は咲くのが遅くて、5月半ばを過ぎていたと思う(記事はこちら)。それに比べて約1か月早い。明日の予想最高気温は20度である。ちなみに、最低気温は5度なので、着るものが悩ましいかも。
 今年は、雪はけっして少なくなかったのだが、2月から雨が降り、3月には雪がどんどん解けて、雪がなくなるのも、とっても早かった。

20150422spring4

 こぶしも咲いた。

20150422spring5

 この時期の花は白木蓮が一番好きだけど、こぶしも可愛い。

20150422spring3

 ミズバショウも咲いている。
 ミズバショウが咲くのは尾瀬だけではないのだった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

シェムリアップの動物

 こちらは、本物の動物である。
 シェムリアップでは繋がれた動物は一切見なかった。

 犬は全員放し飼い。

20150415siemreap1

 昼間は暑いので寝ている。

20150415siemreap2

 夕方になると起きだし、夜は大変元気である。
 着いた日にトゥクトゥクで空港からシェムリアップ市街に向かう途中、犬がたくさんうろうろしていて、中には自発的に番犬をしているらしき犬もいて、戦ったら負けそうだった。

20150415siemreap3

 鶏は遺跡のそばでも、どこでもいて、足腰がたいそう逞しい。
 夜になったら自分のおうちに帰るのだろうか。

20150415siemreap5

 BBQを食べていたら、外からやってきた猫。

20150415siemreap6

 「食べてもいいのでしょうか」と言っているのではなく、肉が冷めるのを待っているのである。このひとは触らせてくれて愛想がよかった。
 夜は外でずいぶん猫が鳴いてたなあ。

20150415siemreap4

 象は繋がれていないけれど、観光客向けの乗物として完全にコントロールされている。まあ、昔の主要交通手段で、門の幅は象の幅だから、伝統的といえなくもない。
 象に乗るのは、アンコール・トムの南大門とバイヨンを往復するコースと、バイヨンの周りを1周するコースがある。昼は暑いので、午前は10時半まで、午後は3時からだったと思う。
 乗らないかと誘われて「象に興味はないから」と断ったら、来ていた服が現地調達の象柄のTシャツとハーフパンツなので受けられてしまった。ははは。
 写真はないけど、この歌の2分50秒すぎから出てくるような牛も放し飼いにされていた。小さくて最初は山羊かと思った。BBQの主要な具材であった牛肉はどこから来るのだろう。
 家畜ではないけれど、森林には猿が普通にいて、動物が豊富なのだった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンボジアのかわいい彫刻(主に動物)

 カンボジア話に戻ります。
 アンコール遺跡の動物には可愛いものが多かった。

20150416siemreap5

 鼻が取れてしまっているけど、象さん。
 ピミアナカスにて。

20150416siemreap1

 これはガルーダ(神様)ですが。
 見ると、つい心の中で「ばんざーい!」と言ってしまう。

20150416siemreap2

 これも神様。
 アンコール・トムのお堀の橋の欄干の阿修羅。顔が白いのは修復されたもの。
 見ると、どうしても心の中で「オーエス!」と言ってしまう。
 これは「乳海攪拌」のモチーフで、霊薬(アムリタ)を得るために、阿修羅と神が乳海で蛇を綱引きしているところ。アンコール・ワットにも有名な壁画がある。一番後ろにいるのは偉い阿修羅で活を入れているらしい。

20150416siemreap7

 象のテラスを支える「ばんざい君(勝手に命名)」。

20140416siemreap3

 ばんざい君とお獅子。

20150416siemreap4

 お獅子。

20150416siemreap6

 お獅子は後ろ姿もかわいい。
 これは象のテラスの上にあるのだが、長い儀礼や閲兵式の最中にテラスに並んでいた王族にも「かわいい…」と思っていた人がいるような気がする。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

『ヴァチカン美術館 天国への入り口』と『ナショナルギャラリー英国の至宝』

 年末の香港話にカンボジア話が割り込んでいるのだが、さらに割り込み。
 実は少々機嫌がよくない。

 今、繁忙期で、疲れてしまって綺麗なものが見たかったわけです。
 で、見に行ったのが、『ヴァチカン美術館 天国への入り口』と『ナショナルギャラリー英国の至宝』なのだが、うーむ。どちらも、一度だけ行ったことがあるのだが、それはそれはすんばらしいものが山のようにあるので、スクリーンでそれらの作品を見たかったのに。

 ごたくを並べていないで作品を見せなさい!…と思った。

『ヴァチカン美術館 天国への入り口』(公式サイト

 こちらは、66分と短い。
 予告編。

 予告編でわかるように、大フィーチャリング「ラオコーン」。
 ミケランジェロのピエタ(30分ぐらいずっと見てた)やシスティナ礼拝堂など、有名なものは一応カバーしているのだけれども。ゴッホやダリの作品は見なかったので、見られたのはよかったんだけど。

20150417rome3

 見たかったのは「アテネの学堂」なんです。
 写真を撮るとどうしても斜めになってしまうのは部屋が狭いからなのだが、一人だけ(厳密には作者のラファエロ自身も見てるけど)こちらを見ている女性(ラファエロの恋人らしい)の目力がすごくて目が離せないの。混んだ部屋だったのだが1時間ぐらい立ちっぱなしでずっと見ていた。
 スクリーンと絵の大きさがほとんど同じだったので、真っ正面から撮ったところを是非見たかったのに、少ししか出てこず、大変残念であった。
 しかも、美青年と砂のイメージ映像が頻繁に入り、その映像がなければ、もっといろいろ見られたのにと思うと残念でしかたがない。

 そして、今日行った『ナショナルギャラリー英国の至宝』(公式サイト)。
 予告編。

 ここは、昔、一度だけ行った。改装中だったので、今の様子は知らない。
 でも、ほんとうに収蔵品がすばらしいのである。中世の絵画から、フランドル絵画、印象派、ターナーのコレクション等々、そして何と言っても見たかったのは、

20150417angel

 レオナルド・ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」の天使の巻き毛。美しいのよ。
 大きな絵で、行った時は聖母子像の素描と並べてあって、ずっと見ていた。

 実は、映画の中に大規模なダ・ヴィンチ展が出てきて、「岩窟の聖母」のルーブル美術館版(2つあるのだ)やヴァチカンの聖ヒエロニムスや大量の素描やら様々なものが来ていて、ひえー!というコレクションだったのだが(人がすんごい並んでいた)、絵の前で「今回、『岩窟の聖母』については技法がすべてわかりました」などと長々インタビューをしているのに、絵が全然映らない!映せよ!ルーブル版と並べてもいろいろ面白いことができるでしょうに。聖母子像の素描も謎が多くて面白いのに。
 監督は強いて言えばフランドル絵画が好きなようで、レンブラントやルーベンスが多く出てきたのだが、飛び飛びで出てきたり、レンブラントの後がカラヴァッジオその後フェルメールとか時代も場所もばらばらで、絵についても解説があるわけではなく、印象としては、

 イギリス人が喋りまくっている。

 喋っているのも素材としては面白くて、予算や広報などに関する会議の様子(他人事とは思えない)とか、目の見えない人に絵を知らせる催しとか、修復のようすとか、学芸員の解説とか、裸体のスケッチをする人々(あれは美術館の主催なんだろうか?モデルさんって大変なんだな)とか、ちゃんと編集すればいいのに、何を伝えたいのか意図が全くわからず、面白いと思ったものを恣意的に繋いだとしか思えない。セクションを区切るなり、落としどころを考えて流れを考えるなり、いくらでもやりようはあるだろうに。
 人に焦点を当てるなら、それなりのまとめ方があるし、テロップでどんな人かを説明すればいいし。あれだけコレクションがすごいんだから、絵に焦点を当てて纏めてもいいのに、絵についても解説が一切なく、時代も流れもばらばらで、人の背景扱いのような雰囲気もあり(ミケランジェロと同じ部屋にマニエリスムの有名な絵が!とか面白いのに)、ああ、その背後の絵をもっとちゃんと見せてほしい、私は絵が見たいんだよ、絵が!という感じで。
 せめて説明をちゃんとして一貫性をもたせるのは監督の義務だろう。
 しかも、長さが3時間。苦痛だった。絵と人々は素晴らしいのに。
 監督と編集はインドに修行に行け!と思う。
 あの監督(フランス人らしい)、実は絵にはあまり興味がないと思う。
 好きで教養と腕がある人が撮らないとだめだ。ああ、もったいなさすぎる。
 美味しいお肉を不味い野菜炒めにされてしまったようで、疲れが倍増。どうにも機嫌がよくならないのだった。せっかくいい絵が揃っているのになあ。

 しかし、一方で思ったのは、日本での美術の大衆への普及度はすごいのではということ。毎週日曜日には「日曜美術館」があるし、『芸術新潮』も月刊で出ているし、『ブルータス』も美術特集組んだりしているし、日本は美術については民度がかなり高いんじゃないかと思う。
 それだけに、絵を見たくて観に行った人は多かったんじゃないだろうか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

さらにカンボジアのごはん

 これは「カンボジアンBBQ」といいます。「バーベキュー」いえばコレ。

20150412siemreap1
 
 北海道民なら「ジンギスカン」といいそうなところだが、鍋の材質はアルミ。下の方にスープを入れ野菜や麺を煮る。上には切れ込みが入っていて(生ラム派のジンギスカン鍋とおんなじ)肉やイカや海老を焼く。

20150412siemreap2

 写真がたてこんでいますが、具材はいろいろ頼める。
 野菜は、空心菜(たくさんあって嬉しい)・人参・白菜など。
 たれが真ん中あたりに見えるのだが、この店は、スイートチリソースと辛い青唐辛子たれと腐乳たれの3種類だった。もう1軒の店は腐乳たれのみだったので、店によって違うのかも。

20150412siemreap3

 カンボジア風すっぱいスープ。大好き。
 食べ方は、スープカレーと同じかな(札幌市民まったく違和感なし)。
 うしろにあるのはマンゴースムージー。

20150412siemreap4

 これも。

 これはメニュー(拡大可)。

20150412siemreap5

 外国人向けの高い店で、スープとご飯が5ドル。スムージー1.5ドル。
 1枚目の写真のスープが61番で、2枚目は58番。
 このスープ類は全部制覇したかった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンボジアの朝ごはん

 近くには食堂もたくさんあったのだが、ホテルが朝食付きで、お兄さんたちが楽しそうに働いているので、ついホテルで食べてしまった。フランスパンのサンドイッチ(ベトナムのバインミーとは微妙に違うらしい)とか麺とかも食べてみたかったんだけど。それはまた今度。
 ホテルは欧米人カップルが多くて欧米系の朝食メニューが多く「Asian Breakfast」だとお粥になる。でも、わざわざアメリカン・ブレックファーストを食べることもないよねえ。ここまで来て。

20150411siemreap1

 というわけで「クメール伝統のお粥」。
 白粥に、塩卵と大根の漬け物と干した魚とレタス。全部入れて混ぜて食べる。
 フルーツとコーヒー付き。

20150415siemreap

 フルーツは、西瓜とドラゴンフルーツとパイナップルとマンゴー。

 その翌日。

20150411siemreap2

 生姜とハーブの入った鶏のお粥。
 実は風邪が治らず、ほとんど声が出なかったので生姜がありがたい。

20150411siemreap3

 アンコール・ワットの朝日を見たあと、外の食堂で食べた。
 インスタントラーメンに牛肉と空心菜入り。横の袋はあまり辛くないスパイス。あと、タイのような四点セット(唐辛子・にんにく・唐辛子酢漬け・砂糖)の調味料がつく。

20150411siemreap5

 ライムではなく小さいレモン。
 好きなだけぎゅうぎゅう絞って食べる。
 香港の早餐で食べる公仔麺も好きだけど、これも美味しい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

シェムリアップの乗りもの

 ついに繁忙期なので、書きためた記事を放出。

 聞くところによると、シェムリアップには信号機が5つしかないらしい。たぶん、観光客の車両が多く通るシヴォタ通りや、空港や遺跡に向かう国道6号線のあたりだと思う。ついでに書くとセンターラインのある道も少ない。さらに、公共交通はたぶんない。

20150410siemreap1

 人数が多いときや荷物が多いときはトゥクトゥクが便利。バイクで4人乗りの車両を引っ張るもの。

20150410siemreap2

 二人ずつ向かい合わせに座る。上に見えている紐は掴まるため。

20150410siemreap3

 しかし、最も多い交通手段はバイクであると断言できる。
 老若男女みんな乗っている。婆ちゃんが飛ばしているところも見た。2人乗りは当たり前で、バイクタクシー(客が後ろに乗る)というものもある。子供がいると3人乗りも珍しくない。一番人数が多かったのは4人乗り(運転手の前にも小さい子が乗ってた。1回だけ見た)。
 一番多く使った交通手段もバイク2人乗り。実は、バイクには2人乗りもしたことがなかったのだが、迎えにきてくれたら乗りますわね。最初は運転手に掴まっていたのだが、地元の人は掴まってないことが多い。要はバランスが取れればいいので、2日目には慣れて走りながら鞄をごそごそしたり写真が撮れるようになった。ノーヘルなので涼しくて快適である。

20150410siemreap4

 走りながら撮った写真。
 街の西側のふつうの人が住んでいるエリア。道が舗装されていない。のんびりしていて、いい感じ。しかし昨年の雨期は大雨で、このあたりも水に浸かったらしい。

20150410siemreap5

 こちらは、歩いて撮った。街の南側の「バブ・ストリート」と呼ばれるエリア。観光客がとても多い。おのぼりさんがディフォルトなので、むしろ安心して歩けたり。遺跡は団体の中国人や韓国人が多かったのだが、このあたりはあまりおらず欧米人が多かった。お店もイギリス人やフランス人や日本人の経営のものがあったり。でも、前にも紹介したシェムリアップのラップを見るに、地元の若者にとってもお洒落エリアなのかもしれない。

 ガイドブックには「レンタル自転車」のことが書いてあったりするけど、このあたりから自転車で遺跡に行くのは勧められない。なぜなら、遠くて暑いから。
 シェムリアップで乗るなら、やっぱりバイクだと思う。

20150410siemreap6

 アンコール・トムの門の幅は「象サイズ」なので、車だと渋滞するし。
 ついでに書くと、バイクの後ろにはかなり大きな荷物も積めるらしく、トランクを運んでもらったときには、縛りもせず荷台に平たく置いて片手で支えて走っていた。車線変更とか、すごい技術である。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンボジアのお正月ソング&ダンス

 昨日の続き。
 カンボジアのお正月は4月で、今年は4月14〜16日とのこと。
 なぜか、ものすごい数の「Khmer New Year」と銘打った動画がある。
 音楽だけのもあるが、言葉がわからないので、狙うのは「KARAOKE」。

 みんな踊っている。
 インド映画のダンスとは対極にある、ゆるゆるの踊り。

 これは昨年のもの。「No You Tube」だそうですが。

 外で撮っていて見物人がたくさんいる。
 思うに、カンボジアの皆さんは、日本の盆踊りのように正月に踊るのではないだろうか。男女ペアで歌垣のようでもある。昔の日本にもあったと思うのだが、かつては(今はわからない)これでカップルが成立するシステムだったのでは。

 これは屋内だけど「Live」だそうで、フロアで皆さんが踊っている。「Happy Khmer New Year 2014 in live Dance Songs Spectacle Khmer Game Traditional with Khmer Stars」だそうだ。
 正月用CDやVCDやDVDが大量にあるらしいのだが、お正月には、生演奏とかCDとかVCDとかDVDで国中で踊っている雰囲気である。「Home Use Only」というDVDの動画も見つけたので、おうちでも踊っていると思われる。
 インド人とは違った意味で、カンボジア人は踊っている気がするぞ。
 今日は1日仕事だったのだが、作業用BGVは大量のカンボジアお正月ソングだった。めでたい雰囲気で仕事がはかどった。
 ちなみに、どの動画でも、男子がカジュアルで女子がフォーマルなのだが、カンボジアの結婚式に出たことがある知り合いの話によると、ここぞというときの女性のメイクアップは元の顔がわからなくなるほど濃いんだそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンボジアのカラオケ(その2)

 見つけました。シェムリアップに着いた日に「なんだコレは」と思ったアレを。

 親友と三角関係になって殴り合いで勝って勝負に負けたのか。歌の主役は勝った方負けた方どっちなんだ。
 歌手はNicoという人らしい。再生回数からみて人気があるもよう。

 調べたところ、このPreap Sovathという人が人気があるらしい。
 2週間前に公開されて31万回以上再生されている。

 「khmer hit song 2015」で検索すると、4月がカンボジアのお正月なので、「Khmer new year song 2015」という動画が山のようにヒットするのだが、めでたいのか?この歌は。みんな踊ってますけど。お正月にはNew Year song を流す習わしがあるのだろうか。
 Preap Sovath 200曲連続プレイリストというのもある。「English subtitle」と言いつつ読み方がアルファベットで書いてあるだけなのだが、クメール文字の勉強にはいいのかなあ。

 「Non Stop Khmer song New Year 2015」だそうです。踊ってますな。
 この前の記事のNon Stop Karaokeの人だ。人気あるのね。Khemarak Sereymonという人らしい。
 
 「Khmer song MV」で検索してみてもいろいろヒットするのだが、4ヶ月前に公開されて、すでに30万回以上再生されているのがコレ。

 こういうのが好きなのか?カンボジア人。
 いろいろ奥が深すぎる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

マンゴーと戦争博物館

20150409siemreap1

 これはマンゴーです。ホテルのサービスで、全貌はこちら
 バナナも龍眼もおいしかったけど、

20150409siemreap2

 さしわたし20センチのこのマンゴー、みずみずしくて美味しゅうございました。

20150409siemreap3

 街にはこんな屋台がたくさんあって、外国人向けの高めの店ですらマンゴースムージー(マンゴーをミキサーで粉砕したもの。マンゴーそのままのとかミルクっぽいのとか)が1.5ドルで飲める(ちなみにビールは1杯0.5ドル)。
 南国カンボジアは、まことにフルーツが美味しいのである。

 ところで、シェムリアップでは「戦争博物館」というところに行った。「国立博物館に行きたい」と言ったのを間違われたという説もあるのだが、前の日のサーカスがクメール・ルージュのやつだったし、まあいいや。

20150409siemreap4

 野外の木立の中に内戦当時の兵器(ソ連製が多かった)が展示してある。

20150409siemreap5

 男子って、どうしてこういうものが好きなんだろう。

20150409siemreap6

 内戦の歴史の説明や地雷の展示もあり、

20150409siemreap7

 地雷探し(ほんとの「マインスイーパー」)の様子や、地雷が爆発した後の展示もあるのだが(「これは死ぬね」と語り合う)、問題はそこではなく。

20150409siemreap8

 実は、生えている木は、全部!マンゴーなんです!この木々全部!
 旬には早くて青いけど。香港の重慶マンションで5月にマンゴーが溢れていたことを考えると、あと1か月ぐらいで、これらのマンゴーは揃って熟れるはずなのである。
 そのさまを思い浮かべると、何とも狂おしい気持ちになる。
 ココナツやマンゴーの木は普通にお庭に生えていて、「ココナツが好き」「マンゴーが好き」と言うと家から簡単にもいできてもらえる。
 なんていいところなんだ。
 ちなみに、青いマンゴーは塩をつけて食べると美味しいそうです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンボジアの「サーカス」Phare

 「『サーカス』に行こう/行きたい」ということで見に行った。
 「サーカス」と言っているけど、いわゆる「サーカス」ではないと思う。公式サイトでも「サーカス」と読んでいるけれど。名称の発音は「ファー」である。

 公式サイト→ Phare, The Cambodian Circus
 
 事前知識は「歴史をテーマにしたサーカス」しかなかったけど、予想と全然違った。
 後から調べたところ、演目は7つぐらいあって、見たのは「Sokha」。詳しくはリンクをクリックするとサイト(とても充実している)に飛びます。
 登場人物は、女子1名、男子7名、音楽担当が2名。小道具は、普通の段ボール箱、テーブル、ゴミ箱みたいな金属の筒2つ、板2枚、のみ。

 公式動画もある。

 ちょっと演出が違うけど、こちらも。
 「Sokha」とは女性の名前で、年老いた彼女が人生を振り返るという形式。
 「歴史」をテーマにしているから昔の話と思ったら違うの。楽しかった学生時代、インドシナ内戦が始まって、共産党になって、クメール・ルージュが来て、内戦が終わったと思っても当時の悪夢に苦しめられ、その悪夢を克服し、現代化して苦しむ若者を教師として励まし、そして老いて生涯を振り返り…という現代史なの。動画の黒装束の禍々しい人物はクメール・ルージュです。
 その現代史が、キャンバスにリアルタイムで描かれる油絵(仏像が「死」に塗り込められたり)を背景にして、アクロバットと音楽で描かれるのである。
 ステージの横位置から見ていたので、裏側が見えちゃうんだけど、ほんとに、小道具がほとんど段ボール箱とテーブルと板だけで、正面ですんごいアクロバットをしている後ろでクメール・ルージュが人々をぼんぼん殴り殺したりしていて、もう拍手をしていいものやら、どうしていいかわからない。
 でも、構成がよくて、引き込まれる。スクリーンには各国語で字幕が出て、日本語もあるのでよくわかる。
 最後が、死を目前にしたモノローグで、「死は怖くない」「闇に飲み込まれないこと」「大切なのは自分を幸せにすること」「人は人と関わるために生きている」「生きているとは子どものように笑うこと」「人生は生きているだけで価値がある」などのメッセージに、ごうごう泣いた。
 欧米系の観光客が多かったのだが、最後はスタンディング・オーベーション。でも、観光客だけじゃなくて、地元の若者も大好きなんだそうだ。
 最後に、主役を演じた女性から説明があったのだが、もともとは内戦終結後の90年代にセラピーとして始まり、今は職業訓練校としてNGOになっているとのこと。フランスなど海外でも公演し、シェムリアップでは1300日以上連続して公演を続けているそうである。
 で、寄付の籠が置かれて、ステージに観客が降りて行けて、キャストと写真が撮れるというセッションになるのだが、

20150408siemreap1

 音楽がすごかった。特に右側のお兄さん。
 ドラムを叩き、キーボードをあやつり、笛を吹き、ギターを弾き、歌も歌い、左のお姉さんが女性キャストとして中座した後は、左の民族楽器も叩き、キーボードのキーの上にペンのようなものを置いて鳴らしっぱなしにしておいて、ドラムを素手で叩くとか、いったい幾つ仕事をしているのだ、君は!

20150408siemreap2

 で、「このお兄さんと写真を撮るぞ!」と宣言(めったに自分は撮らない)。
 ちなみに、このときの格好は、Tシャツ(3ドル)ハーフパンツ(5ドル)サンダル(4ドル)の完全現地調達。それまでは遺跡を歩くのでソックスにスニーカーにスパッツだったりしたのだが、暑くてさ。ちなみに、カンボジアでは米ドルが普通に流通している(1ドル未満は現地通貨リエルになる)。
 実は、キャストのお兄さんたちが揃いも揃ってみんなイケメン(カンボジア男子はイケメンが多いと思う)だったので、写真を撮ってくればよかったなあと密かに後悔しているのだった。次は撮ってきたいと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

バイヨン

 今回行ったアンコール遺跡の中で、どこが一番好きかと言われたらバイヨンである。
 アンコール・トムの真ん中に位置する、ジャヤヴァルマン7世によって建てられた国家守護寺院。四方に観世音菩薩のご尊顔が彫られた塔が54基あることで有名である。この54基が統治する地方の数であるとか、神の住む山を模しているなどの説がある。

20150407siemreap2

 本来であれば東側から入るのだが、東側が修復中のため、西側から入った。入ると正面にある、謎の少女を象った菩薩像。

20150407siemreap5

 柱にはアプサラ(舞姫)が彫られているのだが、この穴はどう見ても弾痕だと思う。アンコール遺跡の石には石材を運ぶための穴が開いていることが多いのだが、彫ってから穴を開けるわけないもの。痛ましいことだが、ご無事でなによりだった。

20150407siemreap3

 バイヨンは回廊の浮き彫りも有名なのだが、これは上部テラス。
 夕方行ったので、観世音菩薩像が西日に照らされている。午前に来ると、また光の加減が違っていていいと思う。

20150407siemreap4

 これは、カンボジアの紙幣にも載っているらしい有名な菩薩像。
 しかし、えらい数の人で(主体は記念写真を撮るのが大好きな中国人観光客のみなさんであった)近づくのが容易ではない。

20150407siemreap6

 ちなみに、四面像の中はこうなっている。

 前にも書いたのだが、ジャヤヴァルマン7世の時代になると、実在の人物の顔がモデルになることがあり、アンコール朝の王の中で唯一ジャヤヴァルマン7世だけが彫像が残っていて容姿がわかる。
 バイヨンの四面観音像については、目が開いているか閉じているか口元がどうかなどで仏教でいう「慈悲喜捨」を表しているらしいのだが、表情がリアルで、ジャヤヴァルマン7世の父王がモデル説、ジャヤヴァルマン7世がモデル説、カンボジア人モデル説などがある。

20150407siemreap1

 これはプノンペンの国立博物館にあるジャヤヴァルマン7世像。
 観音像のモデルはこの人のような気がする。

20150407siemreap7

 もうひとつリアルな像が、ジャヤヴァルマン7世の第二王妃がモデルといわれる像。中央祠堂の東側の入り口横にある。

20150407siemreap8

 根が明るく気が強く、とってもよく喋りそうだ。
 800年間、ここから、いろいろなこと(15世紀にアンコール朝が滅び、タイに占領され、フランスの植民地になり、インドシナ戦争に巻き込まれ、このあたりは1970年以降は内戦の激戦地で、90年代に内戦が終わり地雷が撤去されるまでは観光客はあまり入れなかったはず)を見てきたのだろうなあ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

アンコール・トムの王宮跡

 「アンコール・トム」とは「大きな都」の意味らしい。1辺が3キロの壁に囲まれた都で、ジャヤヴァルマン7世により建設された。王宮はその北西部にある。当時は建物が建ち並んでいたらしいが、現在は王宮跡と幾つかの寺院の跡以外は森林に覆われている。
 アンコール・ワットの前を通って南大門を入ると、しばらく森林が続き、バイヨン(アンコール・トムの中心にある)の前を通る。その後、道は王宮のテラスの前を通ることになる。

20150406siemreap1

 テラスの上から南側を見た景色。テラスは北側の「ライ王のテラス(長さ25メートル)」と「象のテラス(長さ350メートル)」からなる。

20150406siemreap2

 これはライ王のテラスの基盤部分。

20140406siemreap3

 神様がたくさんいる。天国と地獄と海の底が描かれているらしい。
 「ライ王のテラス」の「ライ王」という名称は後世設置された像に由来するのだが、テラスは王族の火葬場だったらしい。かつては上に大きな寺院があったという説もある。

20150406siemreap4

 こちらは「象のテラス」。インドラ神の乗り物である3つの頭を持つ象さんが蓮の花を花に絡めて遊んでいるところらしい。象の行進の浮き彫りもある。このテラスの正面に「勝利の門(アンコール・トム)の東門)」があり、王様が凱旋した軍隊を向かえたとか、儀礼が行われたとか。

20150406siemreap5

 テラスの上から見た景色。
 現在は駐車場になっているが、かつては象がぎっしりだったんだろうなあ。後ろの塔のような建物は10基あり「綱渡りの塔」の異名があって、軍が出陣するときに舞が舞われたりしたらしい。

20150406siemreap6

 テラスの背後にある王宮に向かう門。
 真ん中が王様専用で、右側が王の親族、左側が家臣用だったらしい。
 観光客は王様の門から入る。

20150406siemreap7

 しかし、王宮は木造建築だったうえ、火事になったりして残っていないのだった。柱に仏が彫られたり鏡が張られたりした壮麗な建物だったという。

20150406siemreap8

 王宮の中にあるピミアナカス(天上の宮殿)。
 王が祈りを捧げたり儀礼を行ったりした場所らしい。
 王は即位する毎に自分の王宮を建てるらしいので、王が変わると王宮の場所も変わるのだが、ここは1181年以降にジャヤヴァルマン7世が王宮とする以前に、9世紀末からピミアナカスが建てられ、何度か王宮になっている場所である。実は、ここに登った後、自分はその手の能力は全くないのだが異様に身体が重くなり具合が悪くなった。王宮の中に建てられたのではなく、この場所があるからここを王宮にしたような気がしてしかたがない。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

プリア・カン

 シェムリアップの街からアンコールの遺跡に行くときには、

20150405siemreap1

 必ず、この「チェックポイント」を通る。
 外国人は遺跡に入るチケットが必要で、写真を撮られて(チケットに顔写真が入る)滞在日数に応じて1日券・3日券・7日券などを買い、遺跡エリアに入るときにはチケットを見せなければならない。マスクをしていると「取れ」と言われる。カンボジア人はノーチェックで入れる。
 チェックポイントを過ぎると、しばらく森林の中を走りアンコール・ワットの横に出て、お堀の角を曲がってアンコール・ワットの正面を通り、直進するとアンコール・トムの南大門で、入ってさらに3キロ進むと北大門を出る。
 プリア・カンは、この北大門を出た先、アンコール・トムのすぐ北側にある。

20150405siemreap2

 朝のチェックポイントはえらい人ごみなのだが、夕方近くの午後のせいか団体さんがいないせいか、あまり人がいなくてよかった。アンコール・トムやバイヨンのような観世音菩薩を象った門がある、ジャヤヴァルマン7世による仏教寺院である。タ・プロームは母の菩提を弔ったものだが、こちらは父王の菩提を弔っている。

20150405siemreap3

 9万人以上の人がいて大学も兼ねていた、とても大きな寺院だったらしい。

20150405siemreap4

 もとは彩色されていたもよう。
 右側の神様の顔は盗掘されて痛ましい。

20150405siemreap5

 ジャヤヴァルマン7世の時代には実在の人物がモデルになっていて(それ以前はあまりなかったらしい)、これは早くに亡くなった第一王妃の像。
 今でも地元の人の信仰の対象になっているという。午後は暗くて肉眼では顔が見えず、フラッシュを焚かないと写らなかった。アンコールの遺跡は時間帯によって光の当たり方が変わるので、見え方が変わる。時間帯を変えていくと何度も楽しめると思う。

20150405siemreap6

 こちらは、第一王妃亡き後の後添いの第二王妃。第一王妃の姉とのこと。像の大きさが写真で見た予想と違っていた。
 ガイドブックに写真があって、左上の白いものはなにかと思っていたら、建物の崩れた部分だった。無事残って見られてよかった。プリア・カンは、修復はされ始めているようなのだけれど、とても全部に手が回りきらないような大きい寺院なのである。

20150405siemreap8

 「ギリシャ風の柱がある」とガイドブックに紹介されている建物。
 木造部分は朽ちているので階段もなく、第二王妃の博物館であったとか(それにしては狭い)瞑想の場所であったなど説があるが、用途は謎(石の碑文に書いていないと何も残らないのである)。
 ものの本(石澤良昭『アンコール・ワットへの道 』JTBパブリッシング)によると「中央祠堂より西にはヴィシュヌ神、北にはシヴァ神、南には過去の王の守護霊がそれぞれ祀られ」とあるので、中をふらふら歩くと面白いかも。しかし、ジャヤヴァルマン7世即位直前、最後の激戦地だったらしいので、鎮魂の意味もあるのかもしれない。

20150405siemreap7

 正門の反対側から出ると、ジャヤタターカというジャヤヴァルマン7世の作った貯水池がある。地元の人が魚を捕っていた。ユネスコが元の姿に戻そうとしているらしいのだが、地元には反対意見もあるのだとか。住んでいるところに、これだけの遺跡があると、共存も難しいのだろうなあ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

カンボジアのカラオケ

 カンボジアの遺跡の話はまだいくつかあるのだが、他にも書きたい話がいろいろあるのであった。だっておもしろかったんだもん。
 カンボジアは、タイとベトナムとラオスに囲まれている国で、この中で行ったことがあるのはタイだけで、しかも1泊だけだったのだが、カンボジアとタイはちょっと違う気がする。どちらもゆるーい感じはするのだが、カンボジアは、どことなく、

    インドっぽい

 タイは中国人街じゃなくても漢字が使われていて、中国の影響が強い感じなのだが(実際中国系の人も多いらしいし)、カンボジアは中国の感じがあまりしない。自分の知っている中では、インドっぽいとしかいいようがないのである。
 理由はある程度あって、むかしから「海のシルクロード」の一部でインド人が頻繁に立ち寄っており、インドの影響を受けていること、ジャヤヴァルマン7世の父王の前まではヒンドゥー教であったこと(ジャヤヴァルマン7世のあとは、またヒンドゥー教に戻ったりもしたらしい)、王室にもインド系がけっこう入っていたらしいこと、などがあると思う。人の顔も結構バリエーションがあって、70%はクメール人とのことだが、色白で中国人ぽい人もいるし、けっこう彫りの深い人もいる。日本人の顔もいろいろだよね。
 料理は、食べた限りでは、タイ料理に近いけど、あまり辛くない感じ。
 
 で、着いた日にホテルにチェックインしたのは、もう日が変わってからなのだが、カンボジアに来たからにはカンボジアのテレビを見たい、とスイッチを入れたところ、いくつかのチャンネルの中に娯楽専門らしいのがあって、ずーっとカラオケが流れていた。

20150404siemreap1

 こんなの。
 歌詞はまったくわからないので、どんな歌なのか想像もつかない(【追記】知り合いの在札カンボジア人にこの写真を見せたところ「好きな女性と心ならずも別れなくてはならず云々」という歌詞らしいのだが、その歌詞でどうしてこういう絵面になるのか問い詰めたい気持ちでいっぱいである)(【さらに追記】MVを見つけました。Nicoという人の歌らしい。記事はこちらに)。
 他には、サングラスをかけた、どちらかというと柄の悪い主人公が、プールサイドで恋人に花とケーキを渡そうとした瞬間、殺し屋らしき者に心臓を打ち抜かれるとか、あちらこちらで見るので人気があるらしい茶髪のお姉さんとか。
 帰ってから検索をしてみると、たくさん動画があった。

 どんな歌なのか皆目見当がつかない。不良が更正する歌か?
 ちなみに、動画に出てくる「バイクおよびバイクに2人乗り」は、カンボジアにおけるもっともポピュラーな移動手段であると思う。

 Non-stop KARAOKEらしい。冒頭、やっぱりインドっぽい。農村生活あり、都会風の学生生活あり、20分過ぎの皿を落とすところで笑ってしまってごめん。
 シェムリアップの街中に「KTV」という看板がけっこうあって、あれは何かと尋ねたところ「カラオケ!」という答えで、カンボジアの人はカラオケが好きらしかった。
 
 むかしの香港映画やインド映画には、想像の斜め上をいくところや、洗練とはかけ離れたよさがあった気がするのだが、カンボジアのカラオケは、それに近いものがある気がする。あまりのことに、思わずチャンネル登録をしてしまい、ちょっとした空き時間に動画を見てしまう今日この頃なのだった。
 それは、ドラマや映画にも言えそうなのだが、それはまた別項で。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

タ・プローム

 タ・プロームは、カンボジア国民に絶大な人気を誇る王様ジャヤヴァルマン7世(在位1181-1218ごろ)が母の菩提を弔うために建てた仏教寺院である。

20150403siemreap1

 なんといっても、有名なのはこれでしょう。
 発見当時の姿を保つという意図があるらしいのだが、榕樹(スポーン)というガジュマルの一種が思いっきり遺跡を覆っている。

20150403siemreap2

 くずれているところも多い。
 『トゥーム・レイダー』など映画のロケにも使われているらしい。
 水や風化や植物のような自然の原因もあるとは思うけど、内戦の影響もあるんじゃないかなあ。遺跡ってよく立てこもりに使われてたりするよね、シリアもそうだった。そうして沢山の遺跡が破壊されてしまった。こうやって残って、保存されるのは幸せなことなんだろう。

20150403siemreap3

 しかし、盗掘も多い。お気の毒のきわみ。
 タ・プロームは、アンコール・トムの勝利の門(東門)を出た向こうにある。アンコール・トムは南大門から入ることが多くて、橋の欄干の阿修羅像は首があるものが多いのだが(後から修復されたのもあるけど)、反対側の北大門の阿修羅像はほとんど首がない。目が届かないと、盗られて売られてしまうのだ。
 アンコール・ワットやバイヨンのような中心的な遺跡より、周辺の遺跡のほうが被害は大きいと思う。
 顔だけ売っているクメールの遺物は決して買うまいと決意する。

20150403siemreap4

 無事残っていらして、本当にようございました。

20150403siemreap5

 この寺院は2万人以上の僧その他の人々が住んでいた大寺院だったという。

20150403siemreap6

 樹に覆われても笑っておられる神様。

 一人で静かに歩くといいんだろうなあと思われる場所なのだが、人が見えない写真ばかり載せているけれども、実は、観光客がとても多かった。それも、韓国人と中国人(たぶん大陸)の団体さん。直行便が飛んでいるかららしい。
 特に大陸中国のお客さんは、見所で自分撮りをしまくるので、なかなかちゃんと見られず、ちょと困ったのだった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

大世界遺産アンコール・ワット(その2)

 大繁忙期に入る前に更新してしまいたいので急いで。

20150402siemreap1b

 アンコール・ワットは、他の遺跡に比べると損傷が少なくよく整備されているような気がする。それは、たぶん、修復が最優先でされているからではないかと思う。
 今、一ノ瀬泰造の『地雷を踏んだらサヨウナラ』を読んでいるのだが、1970年代、このあたりは戦場であって、地雷が埋まり政府軍と共産軍の戦闘が行われていた。一ノ瀬泰造はアンコール・ワットを最初に撮ると言って出かけ、クメール・ルージュに捕らわれて26才で亡くなったのである。
 今は、地雷が除去されて最優先で修復されつつあるところなのだろう。
 
20150402siemreap7

 日本からは上智大学を中心とするチーム(元上智大学長の石澤良昭先生は日本におけるアンコール研究の泰斗である)が修復を行っている。

20150402siemreap2

 さて、アンコール・ワットには回廊が3つあり、神の山を模した5つの塔の周りに第三回廊があるのだが、これはえらく高いところにある。

20150402siemreap3

 きれいなデヴァター(女神)に見送られ、第三回廊に上るためには、かなーり長い斜度70度の階段を上り下りしなければならないのであった。石段の上に外来者用の木の階段が作られていて手すりもついているのだが、人一人通れる幅で段も狭く、両手で手すりにしがみついて、下を見ないで足下だけ見て一歩一歩上り下りしないと動けない(以前は手すりがなかったらしい)。荷物は背中に背負うことをお薦めする。自分は荷物を持ってもらえたので助かったのだが、写真を撮る余裕はなかった。
 アンコールの遺跡は山を模したものが多いので、階段や石段を上り下りすることが多いのだが、「アンコール・ワットよりはまし!」と思って切り抜けられたのであった。
 しかし、むかしは、手すりなしの石段しかなかったわけで、本によって「神に向かってひれ伏すように登った」説と「王はこの石段を威風堂々と登るのが務めであった」説がある。なにせ高温多湿のため紙と木造建築は一切残っていないので、石造建築と石の碑文しか資料がなく、真相はわからないのである。しかし、あれを威風堂々と上り下りしたら王様の命は危ないんじゃないのか。裾を踏んだりしたらどうするんだ。

20150402siemreap4

 ともあれ、上までいくと眺めがよい。
 連子窓を通した景色が好きなのだが、開けた窓からも下を見下ろせる。

20150402siemreap5

 尖塔の側面には、デヴァターやガルーダがたくさんいる。

20150402siemreap6

 間近にいた神様たち。

 なにせ全部は見られなかったので、もう一度行ってちゃんと見たいと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

大世界遺産アンコール・ワット(その1)

 アンコール・ワットは、大世界遺産であり、カンボジアの誇りである。どのぐらい誇りかというと、国旗に描いてあるぐらい。
 スールヤヴァルマン2世によって建てられた当初はヒンドゥー教寺院だったものの、その後大乗仏教寺院となり、一旦はヒンドゥー教にもどったものの、現在は、カンボジアで最も信仰されているのは上座仏教なので上座仏教の仏様が祀られている。観光客もカンボジア人もたくさん来ているが、デートに来るような場所ではないらしい。
 しかし、とても広いので混み合っている感じがあまりしないのがよい。

20150401siemreap1

 まずは回廊を歩く。

20150401siemreap2

 案内してもらって歩いたので、実はどこをどう歩いたかわからないのだが(全部歩いていないことは断言できる)、たぶんラーマーヤナだと思う。
 第一回廊にも第二回廊にもレリーフがたくさんあるので、全部じっくり見ると時間がとてもかかると思われる。また訪れる機会があったら、3時間ぐらい放置してもらって一人で回りたいと思う。

20150401siemreap3

 デヴァター(女神)やアプサラ(踊り子)の浮き彫りもたくさん。とても全部は撮りきれない。

20150401siemreap4

 撮った写真を見ると、天井や柱が多い。
 昔は彩色されていたらしい。

20150401siemreap5

 柱の浮き彫り。よく見ると神様がいたり。

20150401siemreap6

 描きかけらしい。
 カンボジア人は昔も今もかなり「てーげー」なところがあり、自分としては大変居心地がよかったのであった。
 とても1回では書ききれないので、続きます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2015年3月 | トップページ | 2015年5月 »