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カンボジアの「サーカス」Phare

 「『サーカス』に行こう/行きたい」ということで見に行った。
 「サーカス」と言っているけど、いわゆる「サーカス」ではないと思う。公式サイトでも「サーカス」と読んでいるけれど。名称の発音は「ファー」である。

 公式サイト→ Phare, The Cambodian Circus
 
 事前知識は「歴史をテーマにしたサーカス」しかなかったけど、予想と全然違った。
 後から調べたところ、演目は7つぐらいあって、見たのは「Sokha」。詳しくはリンクをクリックするとサイト(とても充実している)に飛びます。
 登場人物は、女子1名、男子7名、音楽担当が2名。小道具は、普通の段ボール箱、テーブル、ゴミ箱みたいな金属の筒2つ、板2枚、のみ。

 公式動画もある。

 ちょっと演出が違うけど、こちらも。
 「Sokha」とは女性の名前で、年老いた彼女が人生を振り返るという形式。
 「歴史」をテーマにしているから昔の話と思ったら違うの。楽しかった学生時代、インドシナ内戦が始まって、共産党になって、クメール・ルージュが来て、内戦が終わったと思っても当時の悪夢に苦しめられ、その悪夢を克服し、現代化して苦しむ若者を教師として励まし、そして老いて生涯を振り返り…という現代史なの。動画の黒装束の禍々しい人物はクメール・ルージュです。
 その現代史が、キャンバスにリアルタイムで描かれる油絵(仏像が「死」に塗り込められたり)を背景にして、アクロバットと音楽で描かれるのである。
 ステージの横位置から見ていたので、裏側が見えちゃうんだけど、ほんとに、小道具がほとんど段ボール箱とテーブルと板だけで、正面ですんごいアクロバットをしている後ろでクメール・ルージュが人々をぼんぼん殴り殺したりしていて、もう拍手をしていいものやら、どうしていいかわからない。
 でも、構成がよくて、引き込まれる。スクリーンには各国語で字幕が出て、日本語もあるのでよくわかる。
 最後が、死を目前にしたモノローグで、「死は怖くない」「闇に飲み込まれないこと」「大切なのは自分を幸せにすること」「人は人と関わるために生きている」「生きているとは子どものように笑うこと」「人生は生きているだけで価値がある」などのメッセージに、ごうごう泣いた。
 欧米系の観光客が多かったのだが、最後はスタンディング・オーベーション。でも、観光客だけじゃなくて、地元の若者も大好きなんだそうだ。
 最後に、主役を演じた女性から説明があったのだが、もともとは内戦終結後の90年代にセラピーとして始まり、今は職業訓練校としてNGOになっているとのこと。フランスなど海外でも公演し、シェムリアップでは1300日以上連続して公演を続けているそうである。
 で、寄付の籠が置かれて、ステージに観客が降りて行けて、キャストと写真が撮れるというセッションになるのだが、

20150408siemreap1

 音楽がすごかった。特に右側のお兄さん。
 ドラムを叩き、キーボードをあやつり、笛を吹き、ギターを弾き、歌も歌い、左のお姉さんが女性キャストとして中座した後は、左の民族楽器も叩き、キーボードのキーの上にペンのようなものを置いて鳴らしっぱなしにしておいて、ドラムを素手で叩くとか、いったい幾つ仕事をしているのだ、君は!

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 で、「このお兄さんと写真を撮るぞ!」と宣言(めったに自分は撮らない)。
 ちなみに、このときの格好は、Tシャツ(3ドル)ハーフパンツ(5ドル)サンダル(4ドル)の完全現地調達。それまでは遺跡を歩くのでソックスにスニーカーにスパッツだったりしたのだが、暑くてさ。ちなみに、カンボジアでは米ドルが普通に流通している(1ドル未満は現地通貨リエルになる)。
 実は、キャストのお兄さんたちが揃いも揃ってみんなイケメン(カンボジア男子はイケメンが多いと思う)だったので、写真を撮ってくればよかったなあと密かに後悔しているのだった。次は撮ってきたいと思う。

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