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『ヴァチカン美術館 天国への入り口』と『ナショナルギャラリー英国の至宝』

 年末の香港話にカンボジア話が割り込んでいるのだが、さらに割り込み。
 実は少々機嫌がよくない。

 今、繁忙期で、疲れてしまって綺麗なものが見たかったわけです。
 で、見に行ったのが、『ヴァチカン美術館 天国への入り口』と『ナショナルギャラリー英国の至宝』なのだが、うーむ。どちらも、一度だけ行ったことがあるのだが、それはそれはすんばらしいものが山のようにあるので、スクリーンでそれらの作品を見たかったのに。

 ごたくを並べていないで作品を見せなさい!…と思った。

『ヴァチカン美術館 天国への入り口』(公式サイト

 こちらは、66分と短い。
 予告編。

 予告編でわかるように、大フィーチャリング「ラオコーン」。
 ミケランジェロのピエタ(30分ぐらいずっと見てた)やシスティナ礼拝堂など、有名なものは一応カバーしているのだけれども。ゴッホやダリの作品は見なかったので、見られたのはよかったんだけど。

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 見たかったのは「アテネの学堂」なんです。
 写真を撮るとどうしても斜めになってしまうのは部屋が狭いからなのだが、一人だけ(厳密には作者のラファエロ自身も見てるけど)こちらを見ている女性(ラファエロの恋人らしい)の目力がすごくて目が離せないの。混んだ部屋だったのだが1時間ぐらい立ちっぱなしでずっと見ていた。
 スクリーンと絵の大きさがほとんど同じだったので、真っ正面から撮ったところを是非見たかったのに、少ししか出てこず、大変残念であった。
 しかも、美青年と砂のイメージ映像が頻繁に入り、その映像がなければ、もっといろいろ見られたのにと思うと残念でしかたがない。

 そして、今日行った『ナショナルギャラリー英国の至宝』(公式サイト)。
 予告編。

 ここは、昔、一度だけ行った。改装中だったので、今の様子は知らない。
 でも、ほんとうに収蔵品がすばらしいのである。中世の絵画から、フランドル絵画、印象派、ターナーのコレクション等々、そして何と言っても見たかったのは、

20150417angel

 レオナルド・ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」の天使の巻き毛。美しいのよ。
 大きな絵で、行った時は聖母子像の素描と並べてあって、ずっと見ていた。

 実は、映画の中に大規模なダ・ヴィンチ展が出てきて、「岩窟の聖母」のルーブル美術館版(2つあるのだ)やヴァチカンの聖ヒエロニムスや大量の素描やら様々なものが来ていて、ひえー!というコレクションだったのだが(人がすんごい並んでいた)、絵の前で「今回、『岩窟の聖母』については技法がすべてわかりました」などと長々インタビューをしているのに、絵が全然映らない!映せよ!ルーブル版と並べてもいろいろ面白いことができるでしょうに。聖母子像の素描も謎が多くて面白いのに。
 監督は強いて言えばフランドル絵画が好きなようで、レンブラントやルーベンスが多く出てきたのだが、飛び飛びで出てきたり、レンブラントの後がカラヴァッジオその後フェルメールとか時代も場所もばらばらで、絵についても解説があるわけではなく、印象としては、

 イギリス人が喋りまくっている。

 喋っているのも素材としては面白くて、予算や広報などに関する会議の様子(他人事とは思えない)とか、目の見えない人に絵を知らせる催しとか、修復のようすとか、学芸員の解説とか、裸体のスケッチをする人々(あれは美術館の主催なんだろうか?モデルさんって大変なんだな)とか、ちゃんと編集すればいいのに、何を伝えたいのか意図が全くわからず、面白いと思ったものを恣意的に繋いだとしか思えない。セクションを区切るなり、落としどころを考えて流れを考えるなり、いくらでもやりようはあるだろうに。
 人に焦点を当てるなら、それなりのまとめ方があるし、テロップでどんな人かを説明すればいいし。あれだけコレクションがすごいんだから、絵に焦点を当てて纏めてもいいのに、絵についても解説が一切なく、時代も流れもばらばらで、人の背景扱いのような雰囲気もあり(ミケランジェロと同じ部屋にマニエリスムの有名な絵が!とか面白いのに)、ああ、その背後の絵をもっとちゃんと見せてほしい、私は絵が見たいんだよ、絵が!という感じで。
 せめて説明をちゃんとして一貫性をもたせるのは監督の義務だろう。
 しかも、長さが3時間。苦痛だった。絵と人々は素晴らしいのに。
 監督と編集はインドに修行に行け!と思う。
 あの監督(フランス人らしい)、実は絵にはあまり興味がないと思う。
 好きで教養と腕がある人が撮らないとだめだ。ああ、もったいなさすぎる。
 美味しいお肉を不味い野菜炒めにされてしまったようで、疲れが倍増。どうにも機嫌がよくならないのだった。せっかくいい絵が揃っているのになあ。

 しかし、一方で思ったのは、日本での美術の大衆への普及度はすごいのではということ。毎週日曜日には「日曜美術館」があるし、『芸術新潮』も月刊で出ているし、『ブルータス』も美術特集組んだりしているし、日本は美術については民度がかなり高いんじゃないかと思う。
 それだけに、絵を見たくて観に行った人は多かったんじゃないだろうか。

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