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2015年5月

『Kahaani(女神は二度微笑む)』3度目とタゴールの詩

 結局、札幌での『Kahaani(女神は二度微笑む)』は3回行けた。
 せっかく1週間延長してくれて夜上映になったので1度は行かなければ、と行ってみたらば、平日夜にもかかわらず、半分ぐらい埋まっていたようで何より。
 音楽もよかったので、iTunesでサントラを何曲か買った。
 しかし、この曲がどこで使われていたのかが、よくわからなかった。

 個人的「バックグラウンドシンガーの帝王」Sukhwinder Singhが歌っている(「chaiyya chaiyya」とか「ちゃっくでー・インディア♪」とか、たいていの映画で「ここぞ!」というときに歌っている気がする。「スラムドッグ・ミリオネア」の「じゃえほ!」も)。いい曲だなあ。音楽は『Om Shanti Om』などもやっているヴィシャール&シャンカールだしな。

 で、3回日本語字幕で見たら「いい男じゃん、ラナ!」と思うようになった。もともとは強面が好きなんですけどね。スリランカとインドに住んでいた知り合いによると、ラナの顔はスリランカあたりではイケメンで、典型的なベンガル顔なんだそうです。
 ラナが一度だけ思わずヴィデイヤを名前で呼ぶところは、ぐっとくる。
 いや、もちろん、ナワーズも強面で素敵なんですけど。それにしても、短編『Bypass』では怖いぐらい強面だったうちのイルファンとナワーズを登用した『The Lunchbox(巡りあわせのお弁当)』はやっぱりすごい。
 そして、何と言っても、大アミターブ・バッチャンが歌うEkla Cholo Reが素晴らしくて、ある意味エンドロールを見るために見ているようなところもあったのだが、この歌詞がタゴールであると知って、詩集を入手した。

 そうしたら、元の詩はこんなだった(山室静 訳)

  もし彼らがお前の呼びかけに応じなくても、
  お前はひとりで歩いて行け
  もし彼らが怖がって声なく壁の前に立ちすくむとしても
  おお、運の悪い男よ
  お前の胸をひらいてひとりで語るがいい
  もし彼らが背を向けて、荒野を横ぎる時にお前を見捨てるとも
  おお、運の悪い男よ
  足の下に茨を踏みつけ、ひとりで血のしたたった道を旅して行け

  夜が嵐でどよめている時
  もし彼らが光を高く掲げないとしても
  おお、運のわるい男よ
  苦悩の雷火でお前自身の胸に火を点じて
  それをただ一つ燃えさせるがいい。

 映画の方は短縮版だったのか。
 もちろん、元の詩もいいけれども、松岡環さんの訳も好きだ。
 日本版ソフトは出ると思うので、字幕付きで繰り返し聞けるのが楽しみ。

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日本公開希望!『Gunday』(2014)

 ずっと見ていなかったこともあり、インド映画強化中。『Kahaani(女神は二度微笑む)』に続き、ドゥルガ神のお祭り前後のコルカタが舞台。
 主演は、ランヴィール・シン、アルジュン・カプール、プリヤンカ・チョープラー、そして、うちのイルファン・カーン

 予告編。


 
 ナレーションはイルファンです!
 バングラデシュがインドから独立し、混乱の中取り残された孤児のビクラムとバラは、石炭横流しのアウトローとして生き延び、インドに渡ってコルカタでのし上がる。ドゥルガ神の祭りの3週間前、2人を捕らえるべく、コルカタの警察にイルファン・カーン演じる刑事がやってくる(このあたり、ちょっと『Kahaani』のナワーズっぽい)。一方、ビクラムとバラは、クラブ「カルカッタ」オープンのテープカットに招かれ、プリヤンカ様に一目惚れするのであった。
 子ども時代のビクラムとバラがインドに渡るまでが一渡り描かれ、おもむろにタイトルが出る(タイトルバックはこの曲)。展開はとってもわかりやすいのだが、どうなるのか目が離せない。
 そして、歌舞音曲シーンが「インド映画」らしい、と思う。
 色鮮やかなこれとか。

 ステージの踊りに妄想が混じるとかね。こちらは、かつてのインド映画に必ず1曲はあった感じ。目下、ソングチャプターをヘビロテ中である。
 バングラデシュ独立が背後にあり(「2つに引き裂かれる」というのがキーワードのひとつ)、「石炭が白く見えるほど」とか「石炭の中のダイヤモンド」とか、石炭も初めから終わりまで貫かれているテーマのひとつで、とても首尾一貫している。
 基本的にシリアスな話なんだけど、コミカルなところもきちんとあって、プリヤンカ様に初めて会ったときのランヴィールとアルジュンがぷるぷると首を振るところは大変かわいらしかった。あ、でも、シリアスというよりはアクション映画に分類されるかもしれない。鳩が出てくるところと爆薬の使いっぷりで「ジョン・ウーかよ!」と思った。そして何より、薄い本ができちゃいそうなバディものであるところが最大の売りであろう。
 子どものころは、バラは腕力派・ビクラムは頭脳派と描き分けられていたのだが、大人になってからは、ランヴィールとアルジュンのどっちがどっちか、ちょっと混乱した。最初は逆かと思ったわ。まあ、展開を考えるとそういう配役になるのであろう。
 そして、うちのイルファンは、今まで数々の警官・軍人役を演じてきた中でも屈指のかっこよさであります。出てくると手を振ってしまうのはもちろんだが、「隣に座っていた」シーンでは、思わず「きゃー!」と叫んでしまった(自宅なので問題なし)。
 「Law」か「Out of Law」かもテーマなんだろうなあ。
 邦題は『アウトロー』がいいと思う。日本公開されると大変嬉しい。

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『Shaadi Ke Side Effects(結婚の裏側)』(2014)

 『Kahaani(女神は二度微笑む)』の札幌での上映が5月15日まで延び、しかも夜上映になったことを寿ぎ(シアターキノさん、ありがとうございます!これで平日も行けるというものです)、DVDを片付けがてらプチ・ヴィディヤ祭りを開催。
 たしか、この映画は『結婚の裏側』の邦題で映画祭上映されたと思う。
 主演は、ヴィディヤ・バランと、天は二物以上与えているんだなあといつも思う(『ミルカ』の主演で『Don』の監督で『Rock on !』ではミュージシャンだしねえ)ファルハン・アクタル。

 予告編。

 ヴィディヤとファルハンは夫婦役で、ファルハンはミュージシャン。
 音楽はプリータム、音楽提供はT-Series。

 T-Seriesって、そうやってミュージシャンを探しているのか!というくだりがあり、まるでメタフィクションのようだった。
 タイトルからコメディかと思っていたら、ほろ苦さの方が勝っていた印象。
 ミュージシャン(住んでいるところから判断して売れていると思う)のファルハンとキャリアウーマンのヴィディヤに子どもができて、ファルハンは気が進まなかったけれどもヴィディヤはどんどん母親になっていき家庭に居場所がなくなった気持ちのファルハンは…というお話。
 終始ファルハン目線で話が進むのだが、自分の気持ちやプライドが最優先で、子どもを可愛いと思わなかったのかなあ…というのが疑問であった。まあ、子ども最優先のヴィディヤを淋しく思うのもわからないではないのだが、どのぐらい普遍性のある話かわからない。
 それにしても、ヴィディヤ、それは博打を打ちすぎでしょう!とか。これから大丈夫なのかよ、とか、あまりハッピーエンド感がなかった気がする。観る人の性別や年齢で感想が違うかもしれない。

 あと、これを見て「Dil To Pagal Hai」(今でも好きな映画なんである(詳しくはこちらを)。いつか日本で「シャールク名作まつり」が開催されたら、是非日本で公開してほしいと思う。けっこう盛り上がると思うんですよ「シャールク名作まつり」、いかがでしょう関係者の皆さま)を思い出したのだが、90年代のインド映画のロケはヨーロッパと相場が決まっていたけど、今はオーストラリアなんだなあとか、題材が「恋が成就するまで」じゃなく「結婚してから」なんだなあ、など、時代の変化を感じたことであった。

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『Dabangg(ダバング大胆不敵)』を日本語字幕で観る

 ついに来ました。
 『Dabangg(ダバング大胆不敵)』日本版DVDが。

 「日本で公開してほしい!」と書いたのは、2011年10月。2014年2月に日本公開されたものの結局札幌には来ず、ソフトも出ないのではという噂を聞いていたのだが、晴れて観られる日が来てなによりであった。
 日本ではDVDしか出なかったけど、出ないよりは遙かにいい。ミュージカル・チャプターがついているのも偉い。
 連休をいいことに早速観た。歌詞にも字幕があって、ありがたいのだが。
 日本語字幕だと、かなり印象が違うぞ。

 たとえば、

 酔っ払いのおっさんの大集団に囲まれたソナクシちゃんの心境は、いかばかりであろうかとか。しかも、これ、警察署なんだよね。どうなのよインドの警察。

 あるいは、

 これって実は映画ネタの曲で、インドではスタイルがいいのはシェルパ・シェッティで、色香があるのはカリーナ・カプールなのか、とか、大アミターブ・バッチャンは「背の高い大俳優」なのか、とか。

 ストーリーも、弟の結婚式を乗っ取るとか、ちょっとそれはひどいでしょうよ、サルマン。まあ、弟役は実の弟でしかも映画のプロデューサーで、ついでに書くと上で踊っているマライカ・アローラ・カーンの実の夫君だけど。
 ソヌ・スードが乗り込んできて最初に言うことは、いちいちもっともで、まあ、ソヌさん(俳優としては、けっこう好き)がサルマンに輪を掛けて悪党で、弟が利用されたことに気がつき母の死の真相を知ったことが、家族の和解と大団円につながっていったわけで、サルマン・カーンがヒーローというのは、けっこう危ういバランスの上に成り立っていたんだなあと思う。一歩間違ったら悪徳警官で終わるよね。
 ソナクシちゃん、よく結婚したよなあ。

 まあ、サルマンがベタ惚れで、ソナクシちゃんが矯正したところもあるんだろうけれども。それにしても、この曲は、ソナクシちゃんの壺作りとは思えない美しい服装がみどころである。普通の人はパンジャビ・ドレスが多くて、それはそれで着こなしの参考になる。

 そして、この映画は、乗りがやっぱりショウプラザーズ映画、なかんずく張徹映画である。監督はけっこう香港映画を見ていると思う。

 それにしても、気になるのは、昨年はインド映画の日本公開がとても多くて、ソフトもどんどん発売されているのだが、今年の公開数が昨年に比べて少ないように思えること。
 自分自身も昨年から今年にかけての新作はあまりカバーできていないんだけど、『Queen』とか『ABCD』とか『Goliyon Ki Raasleela Ram-leela』(ランヴィール・シンの踊りで文字通りご婦人が倒れるんですよ)とか、是非とも今年も続けて公開数を増やしていただきたい!と心から願うのであった。

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札幌の「南インド屋」でベジミールスとマサラドーサを食べる

 札幌はインド料理の店が多くない。特に、南のほうの料理はなかなかなく、食べたくなったら自分で作るしかないのだが、ドーサだけは、ぱりっぱりのアレにどうしてもならなかった。
 のだが、南インド料理の食べられる店が相次いで開店したらしいのだった。
 行ってきました。その名も「南インド屋」(食べログの記事はこちら)。
 地下鉄東西線西18丁目駅下車、1番出口を出て1つ西のブロック。土日の12:00〜15:00と、月火金土日の18:00〜21:00という、やや変則営業。
 お昼に行ったのだが、メニューはミールス(ベジまたはノンベジ)と、本日よりドーサ(エッグドーサまたはマサラドーサ)が登場。

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 ベジミールス1200円。
 ご飯・サンバル・ラッサム・ダル・キャベツのボリヤル(たぶん)・南瓜のクートゥ(たぶん)・人参のサラダ・ヨーグルト・辛いアチャール・パパド・ワダが1つ・メインはハイデラバード風の茄子。ご飯とサンバルとラッサムとダルはお代わり可。
 特筆すべきは、手で食べたかったので「お手ふきをたくさんもらえないか」とお願いしたところ、フィンガーボールが出てきたこと(写真の右奥に写っているのがそれ。おしぼりは2本)。
 東京でも、フィンガーボールが出てくる店はなかなかなかった。「手で食べた方がぜったい美味しいですよね」とのコメントつきでした。そうなんですよ!ミールスは、ぜったい手で食べた方が美味しいし、手で食べないと食べにくいんですよ!
 心おきなく手で食べました。満足満足。

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 ドーサは本日から登場とのことなのだが、「ハーフドーサ」500円というのがあった。ミールスと両方頼んでも大丈夫か聞いたところ、マダムが「私ならだいじょうぶです」。
 注文しますよね。当然。
 
 まず、ミールスをむさぼり食べる。ハイデラバード風の茄子は『The Lunchbox(巡りあわせのお弁当)』の茄子の料理(茄子の大好きなイルファンが唯一残しちゃったアレ)を思い出した。で、ご飯が足りなくなったので、ご飯とサンバルとダルをお代わりした。
 全部食べた。
 しかるのちに、ドーサを食べる。ぱりっぱりである。中のジャガイモフィリングもおいしいぞ。ココナツチャツネとサンバルがついている。ミールスをお代わりつきで完食しているが、これも当然全部食べる。

 ああ、美味しかった−!満腹、満足。今晩は晩ご飯いらない。
 札幌で、本格南インドのミールスとドーサが食べられるようになるとは。
 伺ったところ、東京でインド料理のお店で働いてらして、札幌にはないので開店したとのこと。「そうなんですよ!札幌じゃ食べられないんですよ!自分で作るしかなかったんですけど、ドーサだけはどうしても駄目なんですよ!」と気がついたら力説していたのであった。
 お店がなくなると切実に困るので、繁盛を切に祈る次第。また行くし。

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