カテゴリー「映画(中華圏)」の301件の記事

林雪が史上最高に可愛い「香港情夜」

 あけましておめでとうございます。
 「雪で引き返すかも」と言われながら(またかよ!と思いました)無事に香港から戻りました。禍福は糾える縄の如し。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今年の最初の記事はこれ。
 むかしから記事にしようと思ってきたのだが、なかなか機会を得ず。なんで書くことにしたかというと、今回の香港で下駄のように愛用した1Aのバスが太子道東のお花屋さんが多いあたりを通るたびに、必ずこの映画のことを思い出したから。

 日本映画だけど実質的には完全に香港映画だと思う。香港では三級片扱いだけど、いい映画である。2002年公開。

 これです。
 主演は「花火降る夏」主演で「無間道」ではアンディ・ラウに尋問されてたトニー・ホーと、伊藤かな。監督のサム・レオン(梁徳森)って誰かいなと思っていたら、こういう人だった。「無問題」とか「軍鶏」のプロデューサーなのか。
 お話は、香港に修学旅行に来た孤独な女子高生鳴島愛が、同じく孤独でおそろしく無口なタクシー運転手阿寶に拉致監禁されるというもの。といっても、全然えげつなくなくて、言葉が通じない孤独な二人の心がだんだん近づいて行くところが見どころだと思う。初めて名前を教え合うところは、なんというか、やっと言葉が通じた!言葉って大事よね!と、しみじみしてしまう。
 阿寶がなぜそのような行為に及んだかというと、唯一の家族だった豚を亡くし、豚がつけていた鈴と同じ音色の鈴をタクシーに乗った愛がつけていたから。阿寶のお家が新界の古い家で、古い年画が貼ってあったりする室内や中庭や屋上のたたずまいがいい。食事は最初は外賣だったのが(それはそれで羨ましいけど)最後は手作りになるのよね。屋上のシーンから手作りご飯になりタクシーで街へ出るシークエンスがとても素敵だ。ネーザンロードや女人街のあたりがきらきらしているし。ある意味「街もの」映画でもある。
 昼ご飯を食べる茶餐廳の常連が羅家英と孟海と張堅庭なところも見どころだ。あの茶餐廳どこなんだろ。
 そして、なによりの見どころは、

  林雪がかわいい!

 ちょっと頭のあったかい役で、豚が死んだというのにそれを理解せず餌を持ってくるのだが、愛を見つけてそれはそれは嬉しそうにするところが、もう可愛くて可愛くて。「はいっ」と、愛にひよこを持ってきてくれて、「カワイイ」という言葉を覚えて連発するんだけど、それより何よりあんたがカワイイよ、林雪。林雪史上最高の可愛さ。

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 わたくし、実はこの映画で林雪を見初めました。
 もう、出てくるたびに画面に手を振ってしまう。

 もうひとつ密かに受けたのは、愛が持っていたガイドブックで、1996年発行の『香港旅遊指南―スターが教える食・買・遊ぶ』という本なのだが、中身は、香港明星のインタビューが満載で、浦川とめさんの「香港アイドルおっかけ奮闘記」というマンガが載っていたりして非常にマニアック、修学旅行の女子高生が持っているような本ではないのである(さきほど読み返したら「劉青雲は「大三元」の記者会見をぶっちぎって彼女と札幌雪まつりにいったという噂がある」ということを知った)。
 劇中、愛がガイドブックを見ながら片言の広東語を話してみるとか、愛が女人街に行きたがっていることを阿寶がガイドブックで知るというくだりがあるのだが、そんなもん載っていません。本の中のカットは『地球の歩き方』かなあ。
 なんでまたこのガイドブックを、と思ったら、著者のひとりである鈴木理香子さんが撮影の際の通訳で、通訳の役で出演もしていたことを今回発見。だからなのかなあ。

 レンタルなどでは日本映画のカテゴリーに入っているせいか、あまり話題にのぼらないのだが、香港映画として個人的にお勧めの1本なのであった。

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明日から香港らしい 2011年12月(「八星抱喜」が見たい)

 明日から香港らしい。
 行く直前はいつもそうなのだが、行くという実感がまるでない。パッキングは半分ぐらいしたけど持っていく本に悩み中。

 香港に行けたらすること。
 今回は買い物がメイン。定番もの(白花油とかのど飴とか薄荷類とかシャンプーとか)はもちろん買うけど。自分のための覚え書きとして:
【風邪薬】
  いつもの北京銀翔片と葛根湯のほかに幸福傷風薬
【VCD・DVD・BD】
  証人・意外・武侠・桃姐・單身男女・竊聽風雲 2・全球熱戀・奪命金・錦衣衛(陳観泰兄貴みたさ)・ドリームホーム・百年好合・公主復仇記・關雲長・讓子彈飛・SINGHAM・HINDUSTAN KI KASAM・GOLMAAL3・CHILLAR PARTY・Ra. One・Bodyguard・AGNEEPATH(アミターブの)・Don(同)・KANCHANA(タミル映画)など(このへんその他から適宜)。
 トー先生のBlu-Rayが出てたら極力買いたい。「Eye in the Sky」出てないかなあ。
【本】
  新填地貓・光與影的集体回憶(明報雑誌)・「香港的『中國』:邵氏電影」「香港電影」など。

 その他、例によってプロムナードから夜景を見る、觀塘の再開発状況を点検に行く、彩虹あたりをうろうろする、古めの茶餐廳や冰室でぼーっとする。

 映画は、「龍門飛甲」「作死不離3兄弟(インド映画 「3 Idiots」が大ヒット中)」あたりかなあ。

 先日、ドニーさんことドニー・イェンが、旧正月映画でインド踊りを踊っているという情報をいただいた。

  甄子丹印度rock友舞謝君如

 写真を見たら、こんなでした。

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 うむー。いまいち。
 インドを標榜するなら、もっとスタイリッシュにやってほしい。せっかくのドニーさんなんだし。
 twitterで語らった結果、こんなのを是非とも踊っていただきたいということになりました。脳内コラージュが吉。

 旧正月映画「八星抱喜」も、もちろん見たいけども。

 ドニーさんはこんなことをするのね。

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「綫人(密告・者)」(+「蘇乞児(酔拳 レジェンド・オブ・カンフー)」)

 なぜか、この年末年始は札幌に中華系映画がまとまって来ていて、ディノス・シネマズ札幌で「孔子」「綫人(密告・者)」「蘇乞児(酔拳レジェンドオブカンフー)」が1月6日まで、蠍座で「十月圍城(孫文の義士団)」が12月31日まで。休みの時期でよかったよかった。
 どれから見ようか迷いつつ、一番回数の少ない「蘇乞児(酔拳レジェンドオブカンフー)」からにしたのだが、続けて「綫人(密告・者)」を見ようと思ったら、終わる時間と始まる時間がちょっと重なっている。ので、「蘇乞児(酔拳レジェンドオブカンフー)」だけにしようかと思ったのだが、結局「綫人(密告・者)」も見てしまった。
 なぜなら、「蘇乞児(酔拳レジェンドオブカンフー)」が途中で辛抱たまらなくなって、滅多にやらないのだが、途中で出てしまったから。
 ご意見はいろいろあろうかと思うけど、「筋書き」はあっても「お話」がない感じだったのよね。趙文卓もアンディ・オンもカンフーは上手いはずなので戦いのシーンはいいはずなんだけども。CGも使いすぎてたしなあ。いきなり「酔拳の達人」という見出しが出て、途中から全然違う話になったときには卓袱台をひっくり返しそうになった。「葉問2」とどっちが先だったけ。前半のアンディ・オン(ものすごく不健康そう)や周迅の苦労はどうなるんだ。最後10分ぐらい残して出てきたのだが、最後にすごいどんでん返しがあったのだろうか(ないと思ったので出てきたんだけども)。。

 で、「綫人(密告・者)」である。

 予告編。

 主演:ニック・チョン、ニコラス・ツェー、リウ・カイチー。みんな演技が上手くて安心して「お話」に入り込める。
 ニック・チョンは密告者を使う警察の中間管理職で、ニコとリウ・カイチーはニック・チョンが使っている密告者。それぞれにそれぞれの事情があり、大変である。
 ニック・チョンは最初はクールに見えるんだけど、途中で趣味もプライベートもあってよかったじゃんと思った矢先、事情がわかってくるともうかわいそうでかわいそうで、幸せにしてあげたい気持ちでいっぱいになる。人情に篤いのにねえ、上司は勝手なこと言うしねえ。
 ニコは出所して妹を助けるために宝石強盗一味に潜入せざるを得なくなり、その前任者であるところのリウ・カイチーは捜査中に密告者であることがばれる。
 あんまり救いがある話ではないのだが、現実はこんなものかもねえ。
 ニック・チョンは密告者や妻のことを思い、リウ・カイチーは家族のことを思い、ニコは妹やルオ・グンメイちゃんのことを思い、ルオ・グンメイちゃんはニコのことを思い、主要登場人物がみんな他の人を思っているところが話の肝だと思う。
 ニック・チョンは「黒白道」でもかわいそうだったなあ。それにしても上手いなあ。ちなみに、リウ・カイチーはきたろうに似ていると思った。しゅっとした役のニコも見たいのだが、そうすると「新少林寺」みたいな路線になってしまうのだろうか。
 あと、尖沙咀とか油麻地のあたりとか、知っているところがたくさん出ていて嬉しかった。時期もクリスマスだったし、3日後にはあそこにいるはずなので、精神衛生上よろしいのだった。

 ダンテ・ラム監督の新作のこれ、見たいんだけど、

 年明け公開のようで残念至極である。

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「意外(アクシデント)」

 やっと札幌に来た!
 上映が今週いっぱいで、今日を逃すと行けないので、万障繰り合わせて走って見に行った。
 制作:ジョニー・トー先生、監督:ソイ・チェンの銀河映像作品。冒頭、おなじみの音と共に、メディアアジアの紫のしましまに続き、銀河映像のロゴがひゅーっと出てくると嬉しい。

 予告編。
 現代の「意外」は「事故」の意味。ルイス・クーは、チームで人を事故に見せかけて殺すという仕事をしているのだが、どんどん予定外の「意外」なことが起こり、何が故意で何が偶然なのかわからなくなるというお話だと思う。事件も偶然も人の心の中にあるのだなあ。
 チームの皆さんの仕事ぶりはとても緻密で、模型は作る予行演習はする、絶対正体がばれないよう依頼人との連絡方法も工夫しまくり。あれでは報酬がよくても利益が多いとはいえないのではないかと思う。
 お話も面白いし(先がぜんぜん読めない)、しかも、とっても「街もの」映画。スクリーンで香港の街を堪能した。
 冒頭出てくる煙廠街は旺角の小さい通りなのだが、一時期すぐそばのスタンフォードホテルが定宿だったので、心のご近所感覚が蘇り大喜びした。小さいながらも街市があっていい通りなのよ。角を曲がった花園街はご飯処がいっぱいだし。小さいお菓子やさんがあったり。

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 まさにこのへん。
 看板の「特價市場」は、おそらくしょっちゅう映っていた小さいスーパーだと思う。瓶詰め調味料が惠康あたりより安かった。撮影大変だったろうなあ。
 電車のシークエンスは北角だし、リッチーのお家は馬頭圍と書類に書いてあったので、現在の心のご近所である土瓜灣の近くだよね。最後のルイスが工事姿でいるところも土瓜灣ぽかった気がする。しょっちゅう出てくる「三角に黒丸」の交通標識は何かと思ったら、こちらで意味を意味を教えていただいた。なるほどー!今度行ったら注意して見てみよう。それが最後にはああなるのね。
 絶対笑わないルイスは、監督のお話によると役に合っているらしい。疑り深いのか?ルイス。人に会いそうもないときにでもネクタイだったけど、最後の工事姿も似合っていたなあ。アパートの壁や天井にメモ書きしまくりは「神探」のようだった。林雪は出てくるとやっぱり嬉しく、手を振ってしまう。風船も野菜運び自転車も似合ってたねえ。フォン・ツイフォンはいかりや長介かモーガン・フリーマンみたいになってきたなあと思った。そして、リッチー・レン、最初に「この人リッチーに似ているけど、こんなおっさんくさくないよね」と思ってしまって、ごめん。
 あと、室内もなかなかよくて、アパートの中はロケかセットか分からないのだが、後からルイスが借りる部屋の壁とか窓の意匠が素敵だった。階段の踊り場の丸が連なった透かしは牛下にもあったなあ。たぶん香港の古い住宅建築の様式なんだろうなあ。フォン・ツイフォンを連れてくるがらんとした古い部屋もよかった。
 
 さて、2週間後の土瓜灣を励みに仕事だ。

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「1911」のあとに「新少林寺」を見た

 仕事でいろいろあって、何をどう考えても忙しくなることはあれ暇になることはないだろうという展開。これはチャンスであると信じて進むのみである。

 そんな週末、久々に中華な映画を劇場で見た。スケジュールの都合で「1911」と「新少林寺」をはしごである。ちょっとどうかなと思ったのだが、意外によい流れであった。
 なぜかというと、「新少林寺」は1912年の話で歴史的にまるで続編のような流れであったことと、大陸製のせいか「1911」は「みなさんの知っている歴史を映像にしましたよ」という感じで「お話はどこだ!」と思ってしまったのだが、「新少林寺」はそれを補ってあまりある面白い「お話」だったから。
 いやー堪能した。さすが香港映画監督界きってのイケメン(写真はこちらに)陳木勝だ。というのは半分うそで、しかし、いままでのベニー・チャンの監督経験が十分に生きているうえに、ほんとに少林寺映画を撮りたかったんだなあという感じがにじみ出ていた。

 予告編。

 舞台は、辛亥革命後軍閥が跋扈する中国。劉徳華(というかアンディ・ラウ)は少林寺一帯でぶいぶい言わせている軍人で、少林寺に逃げ込んだ敵方の将軍を「少林寺で銃など無粋」とかいいながら撃ち殺しちゃうような人であった。しかし妻(ファン・ビンビン)と幼い娘を溺愛している。その娘と内心嫌っている義兄弟の息子を婚約させることになったのだが、その席上、刺客に襲われるのですね。黒幕は腹心であったはずのニコラス・ツェ。なんとか生き延びたアンディは娘を助けたい一心で少林寺に転がり込むのだが、相変わらず「娘を助けなければ皆殺しにするぞ!」とか言っちゃってる。しかし、その後、いろいろなこと(予告編にもあるけど落とし穴に落ちたり。助けるのはジャッキー・チェンだ)があり少林僧になるものの、そのまま穏やかにすむはずではないのであった。
 
 華仔はねえ、最初っからスターのオーラを放っていて、いくら僧になっても見つかるだろう、という感じで、途中までは「あれDVDのジャケットでは僧なのに、なんでこんな役で…」と思った。でもその変わらせ方が不自然じゃなくてよかった。少林寺の額にいらんこと書いちゃうのも(そういえば 華仔は能書家だったっけ)効いていた。
 その華仔を助けるジャッキーは、少林寺の厨房係なのだが、たいそういい役である。「1911」の後だと、あれ司令官じゃなかったっけ?と思っちゃうけど。しかし「自分は武術はできない」という台詞には観客全員が「いやいやいや!」と突っ込んだと思う。ちゃんとジャッキーらしい場面もあってよかったね。
 考えてみると、ジャッキーとアンディが共演するのって「七福星」以来じゃないかという気がするのだが、その間のいろいろなことを考えて、心の底からしみじみする。遙けくも来つるものかな。
 そして、ニコ、「無極」を彷彿とさせる役柄なのだが、筋書きとか小道具も違うけど、それにしても成長したねえ…と心から思う。本当によかったねえ。
 予告編や最後に出てくるのは本物の少林寺ではないかと思うのだが、エキストラにも少林僧がいると思う。子供の僧もそうじゃないかな。訓練のシーンを見ると、上にも書いたけどベニー・チャンはほんとに少林寺映画が撮りたかったんだなあと思う。
 出てくるのも、行宇さん(本物だ−!)でしょ、くまきんこと熊欣欣でしょ。くまきんが出てくると、つい画面に向かって手を振ってしまい、自分はこんなにくまきんが好きだったのかと思う。行宇さんとくまきんの一騎打ちには血湧き肉躍った。
 そして、浄能大師兄。功夫が本物だけどどこかで見たっけ誰だっけと思っていたら、エンドタイトルで気がついた。呉京じゃないか!かっこいいわけだよ。なんだか黎明に似てるね。
 ということで功夫のシーンはすばらしく、ストーリー展開も間然とするところがなく、「それはお前らのもんじゃないだろ、天罰がくだってしまえ!」と思った人々も報いを受け、仏様の教えもほどよくしみて、ああ本当に面白かったなあ、と思いつつ帰途についたのであった。
 唯一残念だったのは北京語版だったことで、ああ香港版を買っておいてよかったと帰ってすぐかけたのだが、日本版が出たら買っちゃうと思う。

 仏様の教えがしみた主題歌。作詞はやっぱり華仔であったか。

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「海洋天堂」

 大繁忙期の先週今週。精神的についに持たなくなって本日は映画。シアターキノで「海洋天堂」が来週までなので、走って見に行った。

 予告編。

 末期の肝臓癌で余命幾ばくもないジェット・リー(というかリンチェイ)が、自閉症の息子のために奔走する。
 …というような、ほとんど予備知識がない状態で行ったので、エンドクレジットで、制作はビル・コンかい、撮影はクリストファー・ドイルかい、音楽は久石譲かい、主題歌はジェイかい、めちゃめちゃメジャーじゃないか。ということに初めて思いいたった。
 しかし、作り方はさりげなくて、冒頭、海に飛び込むところで「えっ、そんな映画だったの。あとは回想シーンだったらどうしよう」と思ったのだが、そんなことはなくて、よかった。
 水族館に勤めるリンチェイは、体調が悪いのをおして働きながら、息子である大福の行く先を考え、受け入れ先を探し、生きていくために必要なことをできる限り教えようとする。しかし、受け入れ先はなかなか見つからず、大福はとてもいい子なのだが、いろいろと問題はあり、しかし周りの人は暖かく、途中から涙だだもれ。場内でもすすり上げる人多数。隣のお姉さんは上映前からハンカチをスタンバイさせていたが正解である。
 ほんとに周囲の人は暖かくて、近所でお店を営むお姉さんは下心じゃなかったんだなあ、とか、ピエロの仕事をしている鈴鈴ちゃんも偏見がまったくなく仲良くしていてえらかったなあ、とか、劉先生ありがとう、とか。館長、男前!とか。
 バスの降り方を教え、あえて一人で乗せてバス停に先回りし、その後辛抱強く教え続けるリンチェイ。残り時間は目に見てどんどん少なくなるし、ああどうなるんだろう、という心配を見ている方も共有してしまうような描き方がとても上手かった。大福が卵をゆでたりバスを降りるときは、がんばれ〜よーし!と思ってしまう。
 大福を演じた文章くん(ちょっと胡軍似。本名か?)が上手でねえ、まるで「レインマン」のダスティン・ホフマンのようであった。リンチェイもねえ、少林寺からずーっと見ているだけに、ああ、こういう役もできるんだなあ、というか、相変わらず童顔なんだけど、その童顔がまた涙を誘う。
 リンチェイがおうちで一人になったあたり(柱に大福の身長を測ったあとがあって、ずっと住んでいたんだなあと思わせる)から涙腺決壊。近所のお店のお姉さんも切ないなあ。とにかく、大福の今後の幸せを祈るばかりである。

 ところで、撮影は青島水族館で行ったらしいのだが、なんだか旭山動物園のアザラシの円筒水槽そっくりのがあったんですけど。大水槽も海遊館みたいだったし。水槽はもっと大きかったようだけど、もしかしてアイディアを持って行かれた?と思ってしまった。
 しかし、もしロケを青島でしているとすると、なかなかよさげな場所(ちょっとヨーロッパ風の街並みで、道ばたで将棋を指しているあたりが中国)なので、行ってみてもいいような気がする。
【追記】
 全日空の機内誌で見たのだが、青島は青島ビールのお膝元で、地元のみなさんは、出来たての生ビールをポリ袋に入れて持ち帰るんだそうです。道ばたのテーブルでビール飲んでたりもするらしい。行ってみたいぞ、青島。

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BS怒濤のアジア映画祭り(特に「デリー6」)

 10月1日から、WOWOWが3局を役割分担して全部HD放送にするとか、スカパーがBS放送を初めてしばらく無料とか、アニマックスもしばらく無料とか、BSFOX238というチャンネルができて1年間無料らしいとか、放送大学がBSで見られるようになった、とか、BSが賑やかなことになっている。
 そのせいでもないのだろうけれども、実は明日から2週間、NHKBSプレミアムの昼の映画が怒濤のアジア映画祭りなのであった(スケジュールなど詳しくはこちら)。

 自分のための覚え書き。

 10月3日 13:03〜14:48「アイス・カチャンは恋の味」(2010 マレーシア)
 10月4日 13:02〜15:24「デリー6」(2009 インド)
 10月5日 13:03〜14:35「冬休みの情景」(2010 中国)
 10月6日 13:05〜14:28「ピノイ・サンデー」(2009 台湾/日本/フランス)
 10月7日 13:05〜14:49「キャプテン アブ・ライード」(2007 ヨルダン)
 10月10日 13:00〜15:14「トンマッコルへようこそ」(2005 韓国)
 10月11日 13:05〜14:29「トゥルー・ヌーン」(2009 タジキスタン)
 10月12日 13:05〜14:53「シャングリラ」(2008 中国)
 10月13日 13:00〜15:14「胡同のひまわり」(2005 中国)
 10月14日 13:00〜14:29「運動靴と赤い金魚」(1997 イラン)

 「アイス・カチャンは恋の味」や台湾に出稼ぎにきたフィリピン人の話「ピノイ・サンデー」、「胡同のひまわり」は是非見たいと思っているのだが、何と言っても、今回の目玉は「デリー6」である。
 実は「Delhi6」はインド版のDVDを持っているのだが、日本語字幕のハイビジョンで見られるなんて夢のようだ。お話が(途中から斜め上の話になるんだけど)よくて、オールドデリーの街が趣き深く撮られていて、しかも音楽がよい。お馴染みA.R.Rahmanです。

 たぶん一番有名なのはこれ。

 主役はアビシェーク・バッチャン(インド映画の帝王アミターブ・バッチャンの息子)。ニューヨーク育ちで両親がイスラム教徒とヒンドゥー教徒。最期を生まれ育った場所で過ごしたいという祖母に付き添ってオールドデリーにやってくる。オールドデリーはイスラム教徒とヒンドゥー教徒が一緒に住んでいるのだが、ある事件をきっかけに対立が起こり…という話。
 曲の中で踊っているのはソナム・カプール。「スラムドッグ・ミリオネア」で「みのもんた」役だったり「24」ファイナルシーズンでフセイン大統領だったアニル・カプールの娘さん(似てない、と思う)。アビシェークのご近所で、親からは見合いを迫られているが本人はテレビのオーディション番組に出てスターになることを夢見ている。ちなみに「マサカリ」とは白い鳩の名前。

 アビシェークが、イスラムとヒンドゥー両方の文化を背負っていて、しかもニューヨーク育ちでありながら、インドの都市の伝統を背負っているオールドデリーに住むというのがミソ。どちらにも属していて、どちらにも属していない。この曲はオールドデリーとニューヨークがオーバーラップしている。

 この曲も好き。

 インド映画は、よい映画でもなかなか公開されないことが多いので、この機会に少しでも多くの方に見ていただければと思う。
 もっと宣伝してよ、NHK。もっとインド映画をやってくれると、もっと嬉しい。

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「ママはベリーダンサー」

 迫り来る大繁忙期(すでに突入しつつあるが)を前にDVDとか映画とかを極力見まくる日々。

 これ、日本版DVDが近所のレンタル屋にあって驚く。日本語字幕版出てたのか(でもアマゾンにはなかったわ)。とにかく喜々として借りた。

 予告編。

 冒頭は香港の団地。ロの字型で、ロの字の内側が通路になっているタイプの。次いで出てくるのは団地の中にある街市。まさに香港である。修練の甲斐あって、団地を見ると懐かしい気持ちになるように。たいぱいとんも出てくる。
 後でわかるのだが、この団地は彩虹である。茶餐廳は鑽石咖啡冰室 (作中、客が全員おばちゃんで怖かった。普通はおっちゃんが多いのに)。お話はほとんど彩虹の団地で進む。
 原題は、おそらく「主婦はつらいよ」じゃないかと思うんだけど、ほんとにいろいろ辛い。勉強したい気持ちを抱えて家事にいそしんでいるのに夫と息子にないがしろにされるとか、できちゃった結婚で娘はたいそういい子に育ったのだが旦那が浮気していて悪びれないとか、夫が無職で娘が4人いてゴミ集めの仕事を一生懸命していたのに人員削減でクビになり家族に言えないとか。役名が李太、陳太、黄太、と、みんな「〜の奥さん」で名前がない。唯一チェリーだけは名前だけど、(たぶん)未婚の母で、赤ん坊を放り出してデートしたりしているけど満たされてない。
 この4人が、彩虹の団地のコミュニティーセンターでベリーダンスを習うわけです。なぜかというと、本当は中国の民族舞踊を習うはずが講師が来ず、代わりに手配されたのがベリーダンスの先生で、団地のボスおばはん率いるグループは席を蹴って帰ったのだが、反発する陳太(街市で果物屋をやってる)が李太をひっぱって始めたのだね。ほどなく黄太とチェリーが加わる。
 始めてからもいろいろあって、李太の旦那が教室の妨害をする。呉鎮宇とチョンプイさんを足して割ったような顔をしているのに全くこの旦那は、息子も息子だよ、と思う。陳太は旦那の浮気相手と対決するけど、手切れ金を払ったと思ったら娘が旦那を蹴り出すし。
 そんな中で、林家棟、なんていい旦那さんなんだ!「君の笑った顔が見たい」。最高や。いつもしゅっとした服装だし。無職だけど。
 特別出演の劉徳華もいい役だった。いい男オーラが満開で思わず画面に手を振ってしまう。しかし、陳太、なぜ、その映画を見ておきながら、店主の顔を見て何も気づかない!?いや逆か。店主の顔を見ておきながら映画を見て何も気づかない!同じ人じゃないか。
 同じく特別出演のラム・ジーチョンもいい役だったな。
 舞台である彩虹の団地は窓の下の板の色がとりどりで綺麗で印象的。牛下は青一色であれはあれで綺麗だった(…)けど。名前が「彩虹」だから色とりどりなのかなあ。シンボルマークも虹だったし。李太、陳太、黄太のそれぞれの部屋も、狭いながらも、実はインテリアが素敵だったり(実際は違うんだろうけど)。
 アンディ・ラウが若い監督のために作った会社の映画で、最後の時系列がちょっとわからなくて、「入場券」の続きはどうなったのか、とか、どこがリアルでどこが想像のシーンなのか区別がつきにくかったけど、いい映画だと思う。
 これ、DVDほしいんだけどなあ。
【追記】
 コメントで教えていただいたのですが、アマゾンで「MY MOTHER IS A BELLY DANCER 」のタイトルで扱ってました(ありがとうございます!)。これでキュートな林家棟がわがものに。

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 たぶん、ここ彩虹だと思う。
 今度ちゃんと歩いてみよう。
 「我愛香港 開心萬歲」のロケ地も彩虹じゃないかな。

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「ベスト・キッド」(2010年版)

 実は前に一度見ているのだが、WOWOWで再度見た。なんで記事にしたかというと、これって北京ロケだったんだー、と気がついたから。
 ご存じのように、1984年に作られたヒット作のリメイク版。お師匠様はパット・モリタではなく、成龍(一発変換したぞATOK)ことジャッキー・チェンで、教わるのは空手ではなくカンフー。だから、厳密にいうと、英語タイトルの "Karate Kid" というのは正しくないのだな。

 シングルマザーの母親の仕事の都合で北京に引っ越さざるをえなかったアメリカの少年が、手ひどいいじめに遭い、アパートの管理人にカンフーを習い、最後にはみごと試合で優勝するという話である。
 主人公を演じたジェイデン・スミス君(ウィル・スミスとジェイダ・ピンケット・スミスの息子。エンドクレジットを見ると、ご両親は現場に来ていたようだ)は、まあよくがんばったと思うのだが、なにせ役柄があまりにも子供。自分は動きが速いだの集中力があるだの言う人間が強いわけないでしょう。映画のかなり途中まで、何も知らず、礼儀も立場の違う他者への想像力もない。
 かたや師匠であるところのジャッキーは、ひたすら暗い。その理由は後に明らかになるのだが、中国で、アパートの管理人をやっていながら英語ができてカンフーがめちゃくちゃ強い人が、何も訳ありじゃないわけないじゃないか。
 最初はうだつのあがらない管理人に見えたジャッキーが実は強かった、ということがわかったシーンで、無謀にも向かってくるいじめっ子に対して思ったことは、その人は映画史上もっとも無茶なことをやってきた人だぞ、なんて無謀なんだよ君たち、ということだった。
 敵方の卑怯師匠は于榮光なんだけど、立場的にはどう考えても「ジャッキー先輩」なわけで、やりにくかったかもなあ、と思う。香港国際警察で共演しているし。
 あと、「気ってフォースみたいなもの?」というシーンでは、いや、その師匠のかつての師匠(「酔拳」のユエン・シャオティエン師父ですが)は元祖ヨーダなんだぞー、と思った。訓練シーンがあまり「酔拳」ではなくて残念だったなあ。まあ、「続・酔拳」ではないからな。

 というわけで、これはまずジャッキー映画として見てしまったわけだが、次に思ったのは「アメリカ人に中国を見せる映画なんだなあ」ということ。
 故宮に見学に行くしね、万里の長城で訓練しちゃうしね。どっちも全然人がいないというのが驚異的だ。もしかして一番のりだったのかもしれないけど、誰もいない故宮を見られるのがどれだけ有り難いかわかるかね、子供たち。ほんとは人が山盛りなんだから。オーディションを控えたお友達のメイ・インを「休まなきゃ」と引っ張り回す(実はあれは迷惑なんじゃと思った、ああ子供だ)ところでは、鳥の巣とか王府井の小食街を回って、最後は景山公園(やっぱり人がいない)から故宮を見下ろしていたのだが、すごい移動距離だぞ、実は。
 ジャッキーがかつて修行をしていた山は「グリーン・ディスティニー」で最後に出てきたところかなあ。いかにも外国人受けしそうなカンフー技が満載だったなあ。あの湖は山の形からすると桂林かなあ。

 観光地然としたところだけではなく、実は北京の街中もけっこう見どころだった。ジャッキーが住んでるのは胡同なのだが、途中で南羅鼓同を通ってた。

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 このへん。
 胡同の庶民の家は、中庭もつぶして狭くぎっしり暮らしている家も多そうなのだが、ジャッキーが住んでいたのは中庭の残っている四合院で、庭を囲む4つの建物の1つを借りているらしい。古くて壊れかけているけど、なかなかいい家だったなあ。ちなみに、メイ・インのお家は、ほんまもんの四合院でお屋敷という感じだった。すんごいお嬢さまではないか。

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 門の扉にこんなのが付いてたぞ。
 ガイドさんの話によると、北京でもっとも高い不動産は四合院で1億円ぐらいするらしい。いっぺん四合院ホテルに泊まってみたいなあ。

 というわけで、少年成長映画&ジャッキー・チェン映画という以外にも、中国や北京を見る映画としてもなかなか面白かったのだった。つい最後まで見てしまったぜ。

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「再会の食卓」

 最近のホテルには、1000円で映画見放題というビデオサービスがあって、100本ぐらい取り混ぜてラインナップがあったりする。しかし、1泊だと夜と朝しか見る時間がないので、途中まで見たり、前に途中まで見たのの続きを見たり、早送りして見たり。なぜか「頭文字D」の吹き替え版が「邦画」に分類されていて、笑いながら秋生さんの出てくるシーンだけ早送りして見たり。
 そんな中で最初から最後まで見た1本。
 中国で国民党の兵士と結婚したものの、夫が台湾に渡っている間に共産党政府が成立し、国民党だった夫は中国に戻って来られなくなる。それから年月が経ち、台湾から中国への訪問団として夫が戻ってくる、というか戻ってくる前に手紙をよこして、その手紙が読み上げられるところから話が始まる。

 予告編。

 ストーリーのほとんどが説明されてしまってますが。
 冒頭、手紙を読み上げるのは、主人公であるリサ・ルーの孫娘。主人公は、夫が台湾に渡ってから息子を生むのだが、その後共産党の兵士であった夫と結婚し、2人の娘に恵まれている。前の夫は台湾で再婚し、妻に死なれたとのことで、「だから戻ってくるのよ!」と悪態をつかれている。
 で、前の夫は、主人公が現在住んでいる家を立ち退いて移る先のマンションの工事現場を一緒に見に行って、一緒に台湾に来て欲しいと言うのであった。
 えええええ。
 自分だったら絶対いやだわ。というか、この夫、別れてからの40年をどう思っているのか、娘が言うとおり、台湾の妻が死ななかったら戻ってきてそう言えたのか、こっちにはこっちの人生があったのに何を考えているんだ。ぬけぬけと当然のようにそう言えるというのはいったいどういうこっちゃ!と切れてしまうところだが、主人公は悩むのであった。
 また、今の夫のルーさんがとってもいい人でね。どっちを選ぶかというと、タイプとしてはルーさんだろうよ。30元の蟹と50元の蟹と100元の蟹があったら、「お客さんに出すから」と100元のをありったけ買っていくような、ええかっこしいのところもあるけど。だから言いたいことも言えなかったりするんだけども。
 見どころは「食卓」と上海の街である。なぜタイトルに「食卓」という言葉が入っているかというと、食卓が頻繁に登場するから。手紙が読み上げられるのも食卓。お客さんを歓迎するのも、送り出すのも、大事な話をするのも食卓。家族が囲むのは食卓。料理がいちいち美味そうだ。台所でお湯を沸かして待っていて、買ってきたばかりの生きた蟹を投入したり。歓迎会は地区の会館の台所と食堂でやったらしいのだが、その台所も家の台所も見られたり。
 歓送会は、上海の古い路地にテーブルを置いてた。洋館みたいな植民地様式の建物が並んでいて、頭の上には洗濯物がぶらさがっていて、まるでイタリアみたい。古い街って、同じ中国でも北京と上海では全然違うのだな。
 最後の場面も食卓なのだが、メインが鳥の丸蒸し(たぶん)で、そのまわりに野菜のおかずが数点。それほど特別な日とも見えなかったけど、おいしそうだったなあ。
 中国の、家や街や食卓の空気を感じつつ、人生の機微を感じるような、派手ではないけど、いい映画だったと思う。

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