カテゴリー「文化・芸術」の40件の記事

『ヴァチカン美術館 天国への入り口』と『ナショナルギャラリー英国の至宝』

 年末の香港話にカンボジア話が割り込んでいるのだが、さらに割り込み。
 実は少々機嫌がよくない。

 今、繁忙期で、疲れてしまって綺麗なものが見たかったわけです。
 で、見に行ったのが、『ヴァチカン美術館 天国への入り口』と『ナショナルギャラリー英国の至宝』なのだが、うーむ。どちらも、一度だけ行ったことがあるのだが、それはそれはすんばらしいものが山のようにあるので、スクリーンでそれらの作品を見たかったのに。

 ごたくを並べていないで作品を見せなさい!…と思った。

『ヴァチカン美術館 天国への入り口』(公式サイト

 こちらは、66分と短い。
 予告編。

 予告編でわかるように、大フィーチャリング「ラオコーン」。
 ミケランジェロのピエタ(30分ぐらいずっと見てた)やシスティナ礼拝堂など、有名なものは一応カバーしているのだけれども。ゴッホやダリの作品は見なかったので、見られたのはよかったんだけど。

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 見たかったのは「アテネの学堂」なんです。
 写真を撮るとどうしても斜めになってしまうのは部屋が狭いからなのだが、一人だけ(厳密には作者のラファエロ自身も見てるけど)こちらを見ている女性(ラファエロの恋人らしい)の目力がすごくて目が離せないの。混んだ部屋だったのだが1時間ぐらい立ちっぱなしでずっと見ていた。
 スクリーンと絵の大きさがほとんど同じだったので、真っ正面から撮ったところを是非見たかったのに、少ししか出てこず、大変残念であった。
 しかも、美青年と砂のイメージ映像が頻繁に入り、その映像がなければ、もっといろいろ見られたのにと思うと残念でしかたがない。

 そして、今日行った『ナショナルギャラリー英国の至宝』(公式サイト)。
 予告編。

 ここは、昔、一度だけ行った。改装中だったので、今の様子は知らない。
 でも、ほんとうに収蔵品がすばらしいのである。中世の絵画から、フランドル絵画、印象派、ターナーのコレクション等々、そして何と言っても見たかったのは、

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 レオナルド・ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」の天使の巻き毛。美しいのよ。
 大きな絵で、行った時は聖母子像の素描と並べてあって、ずっと見ていた。

 実は、映画の中に大規模なダ・ヴィンチ展が出てきて、「岩窟の聖母」のルーブル美術館版(2つあるのだ)やヴァチカンの聖ヒエロニムスや大量の素描やら様々なものが来ていて、ひえー!というコレクションだったのだが(人がすんごい並んでいた)、絵の前で「今回、『岩窟の聖母』については技法がすべてわかりました」などと長々インタビューをしているのに、絵が全然映らない!映せよ!ルーブル版と並べてもいろいろ面白いことができるでしょうに。聖母子像の素描も謎が多くて面白いのに。
 監督は強いて言えばフランドル絵画が好きなようで、レンブラントやルーベンスが多く出てきたのだが、飛び飛びで出てきたり、レンブラントの後がカラヴァッジオその後フェルメールとか時代も場所もばらばらで、絵についても解説があるわけではなく、印象としては、

 イギリス人が喋りまくっている。

 喋っているのも素材としては面白くて、予算や広報などに関する会議の様子(他人事とは思えない)とか、目の見えない人に絵を知らせる催しとか、修復のようすとか、学芸員の解説とか、裸体のスケッチをする人々(あれは美術館の主催なんだろうか?モデルさんって大変なんだな)とか、ちゃんと編集すればいいのに、何を伝えたいのか意図が全くわからず、面白いと思ったものを恣意的に繋いだとしか思えない。セクションを区切るなり、落としどころを考えて流れを考えるなり、いくらでもやりようはあるだろうに。
 人に焦点を当てるなら、それなりのまとめ方があるし、テロップでどんな人かを説明すればいいし。あれだけコレクションがすごいんだから、絵に焦点を当てて纏めてもいいのに、絵についても解説が一切なく、時代も流れもばらばらで、人の背景扱いのような雰囲気もあり(ミケランジェロと同じ部屋にマニエリスムの有名な絵が!とか面白いのに)、ああ、その背後の絵をもっとちゃんと見せてほしい、私は絵が見たいんだよ、絵が!という感じで。
 せめて説明をちゃんとして一貫性をもたせるのは監督の義務だろう。
 しかも、長さが3時間。苦痛だった。絵と人々は素晴らしいのに。
 監督と編集はインドに修行に行け!と思う。
 あの監督(フランス人らしい)、実は絵にはあまり興味がないと思う。
 好きで教養と腕がある人が撮らないとだめだ。ああ、もったいなさすぎる。
 美味しいお肉を不味い野菜炒めにされてしまったようで、疲れが倍増。どうにも機嫌がよくならないのだった。せっかくいい絵が揃っているのになあ。

 しかし、一方で思ったのは、日本での美術の大衆への普及度はすごいのではということ。毎週日曜日には「日曜美術館」があるし、『芸術新潮』も月刊で出ているし、『ブルータス』も美術特集組んだりしているし、日本は美術については民度がかなり高いんじゃないかと思う。
 それだけに、絵を見たくて観に行った人は多かったんじゃないだろうか。

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林峰男チェロコンサートのお知らせ 2014

 検索がちょくちょく来るので告知です。

 チェリストの林峰男さんが今年も美唄のアルテピアッツァ(サイトはこちら)でコンサートを開きます。

 林峰男&山田慶一 チェロの調べ

 日時:2014年5月17日(土)14:00開演(13:30開場)
 開場:アルテピアッツァ美唄 アートスペース
 曲目:2本のチェロのためのソナタ(ボッケリーニ)
    無伴奏チェロ組曲第2番(バッハ)
    文楽(黛敏郎)
    ヘンデルの「ユダス・マカベウス」のテーマ(クンマー)
    2本のチェロのための組曲(ポッパー) 他

    大人2500円(当日2700円)子供500円(高校生)ペア券4000円

 山田慶一さんは林峰男さんのお弟子さんです。例年はピアノ伴奏でのソロだったのですが、今年はチェロ2本のデュオコンサートになりました。デュオコンサートは昨年札幌で行われていて、とても好評だったのでした。

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 アルテピアッツァ美唄は小学校の建物を使っていて、アートスペースは体育館だった場所。反響板が安田侃さんの彫刻で、音響がよく気持ちのよいスペース。

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 このシーズンは緑がきれいで、安田侃さんの彫刻もあいまって外も素敵です。カフェもあるので、週末を過ごすのにとてもよいところです。
 ご興味のある方は是非。

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遅まきながら川勝正幸を知る

 実は名前も書いたものも(企画したものも)ずっと目にしていたのに今まであまり認識していなかったのだが、『ポップの現場から』を読むに至って、やっとちゃんと認識するに到った。
 この本です。

 川勝正幸氏は「ポップ・カルチャーを中心に活動を続けたエディター/ライター」である。2012年1月31日未明に自宅の火災で亡くなった。享年55。
 創刊以来25年連載を続けていたという『TVブロス』はずっと購読しているので、コラムは読んでいたはずなのである。ナンシー関七回忌の菊池成孔との対談「ナンシー関はテレビの守護神だった」も絶対読んでいる。というか「ナンシー関大ハンコ展」の実行委員だったんですか!ナンシーからのカラオケの誘いを3回続けて断ったら「自分たちと遊ぶのが嫌なのかカラオケが嫌なのか」聞かれて後者だと答え「ならいい」と勘弁してもらえたらしい。
 とにかく音楽・映画・ドラマ・演劇その他のポップカルチャーについて膨大な知識と愛情を持ち、いいと思ったものには惜しみなく肩入れしデビュー前のバンドにも惜しみなく力を貸し、クレイジーケンバンドを世に知らしめ、勝新太郎が好きで(だからプロダクションの名前が川勝プロダクション)デイヴィッド・リンチが好きではっぴいえんどが好きで、礼儀正しく腰が低く、人望があること限りなく、没後『TVブロス』連載のコラム「Too old to ROCK'N' ROLL Too Young to DIE」のあとを受ける形で同じタイトルで錚々たるメンバーが綴ったコラムは約1年続いた。
 実は名前を意識したのは、その追悼コラムを読んでからである。
 『あまちゃんファンブック』の対談で湯浅学さんが「琥珀の勉さんは川勝さんだ」と発言していたのだが、本当に、この人は勉さんのモデルだったのではないかと思う。顔も似ているし。著書の中で大人計画への言及があったので、クドカンとも絶対親交があったはずだし。小泉今日子とも深く関わりがあった人だし。(『ポップ中毒者の手記(約10年分)』巻末の小泉今日子インタビューによる)。そう思うと、「リアス」のカウンターで春子さんを見る勉さんの見方が変わってしまう。
 『ポップの現場から』のTVブロス編集部の後書きも、ものすごく愛情が籠もっていて、また、しりあがり寿のイラストが(追悼文はひとっことも書いていないけれども)いいのね。特に奥付のイラストは泣ける。
 なんで今まで気がつかなかったのだろうと(目にしていたのに!)不明を恥じつつ、書かれたものを改めてちびちびと読み始めているのだった。
 こういう人になれるといいなと思う。

 で、最後にひとつどうしても。1994年3月26日号掲載のコラムにですね、アメリカのクライテリオン社から出た『狼/男たちの挽歌最終章』レーザーディスクのことが書いてあるのだが、「ボツ場面、予告編などはまだしも学生時代の映画(非アクション。大林宣彦監督風)まで収録されているのには、泣き」って何ですか。それ。見たい。

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「土偶」が個人的ブーム

 現在土偶がプチマイブーム。
 きっかけは、北海道開拓記念館のこの展覧会。

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 仕事のついでに入ったのだが、とても面白かった。
 形の移り変わりも面白いんですけどね、
 最初はすごーく単純だったのだが、1万年後に

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 有名な遮光器土偶が出現。
 実は、この遮光器土偶、東北北海道で大流行しており

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 あちらこちらで作られていたのであった。
 これは宮城県のやつ。
 北海道でもたくさん発掘されていて、出来不出来もあって、これは絶対「土偶職人」みたいなのが各地にいてですね、「今はこれがトレンド!」「どうよこれ!」などということをしていたのではないかと思えてしまうのである。
 後期になるといろいろな人々が出てくる。
 北海道の唯一の国宝土偶「中空土偶」さん。

 イカール星人と戦っておられます。
 睡眠時間3000年(ちょっと羨ましい)。

 NHKの「日曜美術館」で現在MIHO MUSEUMで開催中の「土偶コスモス展」が紹介されていて、これにものすごく行ってみたいのであった(現在、美術館のトップページにチラシ掲載中)。

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 チラシ裏面(拡大可)。

 実はカタログ本が全国販売されていて、買った。

 よいです。直接みたいなあ。
 番組は来週あたり再放送だと思う。

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「Pina (ピナ・バウシュ踊り続けるいのち)」

 のっけから違う話なのだが、今年NHKはローザンヌ・バレエコンクールをフルで放送しないのだろうか。菅井円加さんが第1位になり30分のダイジェストが放送されたので、かえって心配なのである。毎年楽しみに見ているのに。今年も是非フルバージョンでお願いしたい。
 クラシック・バリエーションもいいのだけども、何が楽しみかというとコンテンポラリーなのだった。むかしは教室の先生が振り付けた創作ダンスみたいなのがあって、解説のクロード・ベッシー先生(元パリ・オペラ座バレエ学校校長。歯に衣着せぬ物言いがすんばらしかった)に、ぼろかすに言われていたのだが、最近は振り付けがちゃんとした課題曲から選ぶようになって見応えがあるのである。
 コンテンポラリーは全然わからないのだが、踊るならクラシックよりコンテンポラリーだよな。実は、子供の頃からずっとバレエをやりたかったのだが、脚の関節に問題があってかなわず(大人になってよかろうと思って習い始めたら半年で頓挫)、ダンスは一種永遠の夢なんである。
 
 で、くたびれたので、「Pina (ピナ・バウシュ踊り続けるいのち)」を見に行ったのであった。公式サイトはこちら(音が出ます)。3Dで監督はヴィム・ヴェンダース。そういえば、アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされていたっけね。

 予告編。

 いやあ、面白かった。
 ピナ・バウシュ自らが「言葉にできないものを表現する」と言っているので、言語化するのは難しいのだけれども。おそらく、実際のステージの記録ではなく映画のために撮影したのだと思うのだが、ステージや野外や公共の場所や、いろいろな場所で踊られる作品の合間に、団員の短いコメント(表情だけのこともある)が入り、クローズアップされた団員が出る踊りが次に出てくるという構成。メンバーの母語はいろいろで、ドイツ語だったりフランス語だったりイタリア語だったりスペイン語だったり韓国語だったり。インド人ぽい人もいたな。最後のキャプションをみると日本人も1人いたのだが、何も言わなかった東洋系の人がそうだったのかな。最後の方になると、踊っている人が何となく判別できるようになる。
 年齢層が高いメンバーが多いのも特徴的。最初の「春の祭典」で「あら、頭の薄い人がいるよ」と思ったら主役みたいだったし。円熟味が増すんだそうです。うん、よかった。セクシーだしユーモラスだし。なんだか萩尾望都先生とかジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの話みたいだった。「春の祭典」と「カフェ・ミュラー」は是非オチが知りたい。
 土や砂や水を使うのが特徴的らしいのだが、「フルムーン」は舞台に巨大な石があって、ステージがだんだん水浸しになって、踊り手もずぶ濡れなのね。あれ、実際のステージではどうなってたんだろ。
 水や砂を使うと、リハーサルとかやり直しはきかないわけで、「そこで生まれる」感がよかった。ピナ・バウシュは「自分を失わないために踊り続けなさい」と言っていて(これが映画の原題)、団員の動きから踊りを作っていったらしい。踊りが「生きている」感じ。踊りの力を信じていて肯定的。
 3Dはあまり好きではないのだが(300円払わされた上にメガネを買わされ納得いかん)、奥行きが感じられて悪くなかったと思う。
 帰ってから、録画があったパリ・オペラ座バレエ団が踊った作品をかけているのだが、団員が踊っているのが見たいなあ。舞踏団の公式サイトを見るとDVDが買えるらしいのだが。

 これも見たいな。

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動画で「清明上河図」

 絶賛下書き放出祭り。
 これは早くアップしないと、時代遅れになってしまう。

 東京の国立博物館で2月19日まで北京故宮博物院展ををやっているのだが、行きたいけど行けなかった。日程的に無理。ものすごく並んでいるみたいだしね(並ぶのは心底苦手)、まあいいかと思っているのだが、清明上河図は見たいような気もしていた。
 混んでいるようだし、ああいうのは、じっくりゆっくり詳細を見たいので、やっぱりまあいいか、という気もしていたのだが。
 
 こちらで教えていただきました。

 これ、あれだよね。
 マクダルシリーズの一環で、秋生さん演じる校長先生が中華文明について教えてくれるやつ。
 関連動画もいっぱいあるぞ。わーい。

 香港では、こんなのもあったらしい。
 動画にして大写し。

 みんな、ちゃんと見たいと思っているのだなあ。
 もともと「洛中洛外屏風」とか、俯瞰でいろいろなものが書き込んであるたぐいの絵が好きでしようがないので、ぜひ、これは日本でもやってくれないかなあと思う。
 とりあえず、できのいい画集を見てみよう。

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九龍皇帝的文字楽園

 (タイトルを訂正し加筆しました)

 太古城で開催中の九龍皇帝的文字樂園に行ってきた。香港の街頭に文字を書き続けた九龍皇帝こと曾灶財の展覧会である。
 バスで行ったのだが、会場の康和大廈が最初わからずちょっとうろうろ。太古坊の中の方。地下鉄の鰂魚涌站A出口かバスなら太古坊か新威園がもよりの停留所だと思う。

九龍皇帝文字的楽園

 入り口。

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 入るとこんな垂れ幕が。
 会場はいくつかに分かれていて、まず、街頭に書かれたものの写真展示。街頭に書かれたものは残っていないものも多く写真で紹介。

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 どこにあるかを示したもの。

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 これは本人が映っているけど、どちらかというと、文字が書かれた香港の風景写真を見る感じ。

 次は、本人が使ったもののコーナー。

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 晩年は養老院に入っていて、そこではマジックで紙に文字を書いていたとのこと。足が悪くて紅花油を使っていたのだが、養老院に入ってからは白花油で代用していたとのこと。

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 養老院で紙に書かれたものがパネル10枚ぐらいあった。

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 自分の血統や清王朝や孫文など自分をとりまく歴史について、とにかく書き続けたらしい。何と言うか、ことばを味わうというものではなく、いい文字だからというわけでもなく、文字を書き続けずにはいられなかった精神を見るという展示だった。うちに飾っておきたいという芸術ではないんだよなあ。その内面はいかばかりであったのか、考えると眩暈がするようだ。
 続いて、新聞の報道とか、Tシャツなど商業化されたものとか、インスパイアされた作品の展示。最後に、文字が書かれた配電盤らしきもの(たぶん本物)や自由に文字を書く壁面があった。
 メインは、文字のある香港の風景と、実際に書かれた文字だったと思う。おそらく街頭で目にしているのだが当時は風景の一部だったし、刻々と変わりつつある香港の「集體回憶」的な側面もあるだろう。自分と歴史について取り憑かれたように書き続けた精神は実際に見ると凄まじいものがある。
 太っ腹にも入場無料(しかもけっこう立派なパンフレットつき)で、家族連れ、フラッシュは禁止だというのに焚きまくって記念写真を撮る人など、客層はさまざまだったのだが、香港人のみなさんはどんなふうに感じたのだろうか。

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木田金次郎美術館

 NHK教育「ミューズの微笑み」で「木田金次郎美術館」が紹介されていた。木田金次郎は、北海道岩内郡岩内町でその生涯のほとんどを過ごし、岩内を書き続けた画家である。有島武郎の「生まれいずる悩み」のモデルとして有名。
 自分にとっては郷土の画家であり、当然岩内も出るに違いないので、録画して見たのだった。
 岩内は、積丹半島の付け根にあり、前は海、後ろは山、ウニとかイカなどの海産物が美味く、当然生寿司も美味く、すいかとメロンの産地で、温泉もありスキーもできて、海がきれいで(国定公園である)、海に沈む夕陽がとってもきれい。これで原発さえなければ最高の田舎である。
 あと、ゆるキャラ「たら丸」が有名。みうらじゅんに激賞されて、ゆるキャラ選手権でいい線をいっていたような気がする。

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 ボディはスケソウタラで手に持っているのはアスパラ。岩内は、ニシン漁で古くから栄え、アスパラ栽培と缶詰加工を日本で最初に始め「アスパラ発祥の地」の碑が立っているのである。ちなみに背中を向けているのは「べに子」で「紅子」は「紅葉子」すなわちたらこ。岩内のたらこはうまい。「たちかま」(たらの白子で作ったかまぼこ)も美味いな。

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 これが木田金次郎美術館。
 国鉄岩内駅(岩内線は路線廃止のときに真っ先になくなった)の跡地にある。すぐ裏は港。屋上に上がると360度山と町と海が見渡せる。ぜひともこの屋上からの景色を映してほしかったので、ちゃんとテレビで映してくれたときは懐かしく嬉しかったなあ。岩内山(発音は「いわないさん」ではなく「いわないざん」ですから>NHK)は、地元民のひいき目を抜きにしても、どっしりして、とてもいい山である。
 番組は、いろいろと取材がされていて、木田金次郎が好んで描いた「茂岩(もいわ)海岸」に坂本美雨さんが実際に行っていた。番組では何も言っていなかったけど、バックがさりげなく海に沈む夕陽で、そうそう夕陽がきれいなのよ!とか、四季を描いた中では冬が一番でしょう(向かいがシベリアなので風がそれはそれは厳しいのだけれど)と思っていたら、番組でもそう言ってて、我が意を得たり。

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 これは「夏の岩内港」。
 港には図工の時間に写生に行ったものだが、原子力発電所のおかげで魚が減ったらしく、船もずいぶん減ってしまった。木田さんの絵は、もともとは印象派の影響を受けているのだと思うのだが、長年の研鑽を経てもっとワイルド。
 番組の再放送は
  12月7日(火)16:30〜17:00(BS2)
  12月11日(土)11:30〜12:00(教育)とのこと。
 興味がある方、是非ご覧くださいませ。

 なお、写真は岩内町のサイトからお借りしました。帰省したときに撮っておけばいいのに、探しても写真がなかったのだった。岩内山と夕陽の写真、撮ってこよう。

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故宮博物院

 言いたくはないけど、今日も暑かった。31度。
 もともと季節の変わり目には弱く、どうも温度変化についていけないようなのだが、自律神経をやられてぐだぐだである。うう。

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 台北の故宮博物院も暑かった。
 ここで、カメラのシャッターを頼まれたのだが、それが日本の人で「暑いですよねー」と暑さを分かち合ったぐらい。とにかく外にいたくない。 
 こちらにも書いたように、バスに乗ったのはいいのだが、「士林站」とあったので、地下鉄の士林駅に行くのかと思ったら、これがどうやらバスターミナルのようで、最後には乗客が自分一人になってしまい、どうも「車庫まで」をやってしまったらしく(駐車場みたいなところだったけど)、びっくりした運転手のおっちゃんに「どこへいくんだ?!」と聞かれて事務室みたいなところに連れて行かれ、結局、炎天下をうろうろしてタクシーを拾うはめになり、着くまでにすでにぐったり、着くやいなや、前回行きそびれた三希堂に入ったのだった。
 
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 凍頂烏龍茶(120元)と、小龍包(160元)と奶黄包(カスタードまんじゅう 65元)。1元=2.7円ぐらいなので、お手頃な値段なのだが、お味もそれなり。お茶にお湯がついてこないので(茶葉は入っている)、お茶は茶海に注いでしまい、お湯が欲しいときには小姐を呼び止めて入れてきてもらう。
 天井が高くて圧迫感がないし、収容人数が多いぶん粘っていても全然目立たないので、しばらく休憩してから、探索開始。
 3階の青銅器に熱狂。
 漢字のご先祖のような金文と動物意匠に。まぬけで可愛いのよ。くっついている動物が。ディテールが素晴らしい。

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 館内の写真撮影は不可なので、本の一部。
 この虎は、笑っちゃうぐらいかわいかった。

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 買った本。
 2階に本屋ができていて、座り読みもできるし人も少なくてよかったのだが、青銅器の本は重たいのしか見あたらない。それで、レジのお兄ちゃんに、青銅器の本で重たくないのを探してもらった。聞いてみるもんだ。お兄ちゃん、ありがとう。

 それにしても、4年前にも思ったのだけれども、団体さんはどうにかならないのかなあ。青銅器の金文をかじりついて読んでいると、後ろから旗を持った団体さんがどどどっと来るのよ。で、ガイドさんが有名な文物の説明をざーっとして、どどどどっといなくなる。10分ぐらいの間に5組ぐらい来た。日本語と韓国語と中国語の組があったのだが、日本語のを聞いていると、そのガイドさんの説明もちょっと?だったり。あんなんじゃ見た気がしないと思うんだけどなあ。ただ「見た」という事実があればいいんだろうか。他人様にあれこれ言うつもりはないのだが、それは、文物にとっても人にとっても、あまり幸せではないような気がする。展示物はとってもいいのに、なかなか落ち着いて見られないんだもの。

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ポンペイ展

 先ほど東京から帰宅。眠い。
 なぜ遅く帰ってきたかというと、ここに行ったから。

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 横浜美術館に「ポンペイ展」を見にいったのだった。

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 実は、少し前に、こんな本を入手、

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 これがとても面白くて熟読していたのである。
 「テルマエ・ロマエ」とか「Rome」の世界なんですもの。ルシウス技師やルキウス隊長はこんな生活をしていたのか。

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 見た瞬間、脳裏に流れる「Rome」のオープニング。ポンペイの発掘成果って、かなり使われているんじゃないだろうか。「ポンペイ展」を見ている間中、頭の中に「Rome」のテーマ曲が流れていた。
 展示は、まず概要的な説明があり、石膏で型取りした遺体がひとつ(奴隷だったらしい。かわいそうに)。その後、彫像や、宗教、壁画、生活など、ナポリ国立考古学博物館かららしき展示物が続々と。
 今回実物を見てみると、たしかに壁画は当時の生活をほうふつとさせるのだけれども、これがヴェスビオス火山の噴火で埋まったんだなあ…などと考えてしまい、むしろ生活調度が興味深かった。おお、ストリジル(「テルマエ・ロマエ」に出てきた垢こすり)!とか。アスリート用の「ストリジル・香油壺・ひしゃく三点セット」もあった。
 圧巻だったのは、個人宅の浴室(高温浴室)の一部再現で、まず水をくんでタンクにいれ、それを金属パイプにボイラーで送り、水と混ぜてパイプで大理石の浴槽に送り、浴槽には追い炊き用の炉がついていて、さらに床下暖房用の穴が開いている。お客さん(日曜なのでけっこう混んでいた)からは「すげえ…」の声が多数。こちらの動画の3分すぎに見られます(Youtubeに上げてくれればよかったのに)。「テルマエ・ロマエ」のマルクスのお師匠さんのお風呂を思い出した。
 あとは、解放奴隷がご主人のために作ったらしい胸像にそんなものがついているのか、とか。「テルマエ・ロマエ」連載第1回がアレだったのは納得である。子供がたくさんいたけど、誰も騒いでなかったな。別の展示で、カップルの男子が「膝までなんてありえねー」とは言っていたけど。
 しかし、何と言っても一番は、「ヤマネの飼育壺」。
 ヤマネはローマ時代ごちそうだったらしいのだが(詳しくはrevarisaiaさんのこちらなどを)、直径・高さとも30センチぐらいの素焼きの壺で飼育していたらしいのですね。壺には10センチおきぐらいに空気穴があいていて、内側の壁に運動用の幅5センチぐらいの棚が何段かあり、一番上にえさ入れが2つついてました。この中でヤマネがきゅうきゅう言っていたのか、とか、何匹ぐらい入っていたんだろう、とか、台所に置いておいたんだろうか、とか、膨らむ想像力。
 生活中心の展示がもっと見たいなあ。
【追記】
 「ヤマネの飼育壺」についてはこちらにも書きました。

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