カテゴリー「本」の148件の記事

『インド映画完全ガイド マサラムービーから新感覚インド映画へ』

 ここしばらく、繁忙期だったり、この連休は家庭の事情で忙しかったり。
 しかし、この本のことは紹介しなければなりますまい。
 ついに出ました。届くや否や、嘗め回すように読んだ。

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 こちらに書いた『インド映画娯楽玉手箱』(キネマ旬報社)から15年、本当に久々に出たインド映画の本である。
 編集のご苦労については、こちらでかいま見ることができるのだが、書かれた以外のご苦労もたくさんあったと思う。
 本当に労作である。

 目次は、序章:いま、インド映画が来てる!、第1章:インド映画のここに注目!、第2章:インド映画のスター、第3章見ておきたいインド映画ベストセレクション、第4章:インド映画の全貌、第5章:インド映画の多様な要素、第6章:インド映画を知るためのデータと資料。合間に、「この未公開作品がすごい!」というコラムや、監修の松岡環さんが撮ったインドの映画にまつわる写真のページも。
 執筆は、監修の松岡環さんはじめ、編集が佐野亨さん・夏目深雪さん、執筆がアルカカットさんこと高倉嘉男さんなど、錚々たる方々が書いている。次郎丸章さんがお元気そうでよかった。松岡環さんとグレゴリ青山さんと次郎丸章さんは、1998年の『旅行人』インド映画特集でインド映画のことを教えていただいた(そしてそのコピーを握りしめて重慶マンションに初めて行った)ので大恩人なのであった。

 序章では、『きっと、うまくいく』『マダム・イン・ニューヨーク』『めぐり逢わせのお弁当』『女神は二度微笑む』が評論つきで紹介され、第1章では、『オーム・シャンティ・オーム』が「ソング&ダンス」、『ダバング』が「スターシステム」のように、最近公開されたインド映画(『DDLJ』は国立民族学博物館で公開されたけど、一般公開またはソフト発売はないのだろうか?)とインド映画の様々な側面が関係づけられて紹介されている。第4章では、「新感覚のインド映画の誕生」に始まり、「ヒンディー語映画」「マラーティー語映画のいま」「テルグ語映画のいま」「タミル語映画のいま」「カンナダ語映画のいま」「マラヤーラム語映画のいま」が紹介されている。ヒンディー語映画以外の言語のインド映画がちゃんと紹介された書籍は初めてではないかと思う。
 『3 idiots』が日本公開される前だったと思うのだが、『ムトゥ』を見ていた(らしい)ある映画評論家の方が、「有名な俳優が出ていない(アーミルもカリーナも大スターなんですけど!)」「歌も踊りもない(ありますけど!)」と『ムトゥ』と比べる形で評論を書いていて、タミル映画もヒンディー映画もまぜこぜで、自分の見たものだけで「インド映画らしさ」を論じていたこともあった(こちらに書いたのだが、周防正行監督も『インド待ち』で同じような書き方をしていてがっかりしたことがある)ことを考えると隔世の感がある。

 特に勉強になったのは、監修の松岡環さんが書かれている第6章「インド映画を知るためのデータと資料」で、恥ずかしながら、私、インドの州の名前はなんとなく聞いたことがあっても場所がちゃんとわかっていませんでした。インド映画の歴史と年表もとてもありがたい。インド映画はインドの大衆演劇から演目や様式を取り入れていたのでサイレント時代からミュージカルの萌芽があった(167ページ)のか。
 アルカカットさんの書かれた「インド映画の映画法とCBFCによる検閲」で、いつもインド映画の最初にばーん!と出る書類の意味が初めてわかりました。「宗教」の項で『OMG Oh My God !』(日本公開希望!)が紹介されていたのも嬉しかった。
 索引もばっちりあるし、「日本で公開されたインド映画リスト」や「日本でソフト化されたインド映画リスト」も大助かりである。数えてみたら、うちにある「日本語字幕のついたインド映画」は20世紀末から買い集めたものとテレビ放送を録画したもの(VHS録画で今は見られない『ラジュー出世する』(再ソフト化熱烈希望)を含む)を合わせて50本に達することがわかった。2010年以降のインド映画の日本公開数はやっぱりすごい!と思う。今後もっと増えてくれることを切に願う。
 
 編集がむずかしかっただろうなあと特に思ったのは「第2章:インド映画のスター」である。ベテランもがんばっていて若手も台頭している今日このごろ、誰を選びどのような順番で載せるかを決めるのは大変だったと思う。
 しかし、そうは思うんですけど、うちのイルファン・カーンが入っていなかったのは、心の底から残念であった。あと、リシ・カプールとかボーマン・イラーニとか、おっさんな人々は載せてほしかった…と思う。ナワーズも。
 塩田時敏さん(札幌出身だったのか!ゆうばりファンタでジョニー・トー監督のトークイベントの司会をしていたのはファンタの最初から関わってらしたからなのか)がインド映画のアクションについて書いてらっしゃるのだが、古くから香港映画のアクションが取り入れられているとか(『RA.ONE』では『少林サッカー』が思いっきり引用されているし)など、いろいろなものを積極的に取り入れていることに触れていただけると、もっとよかった。写真が入っていた『ダバング』のシーンは『マトリックス』だと思うし。
 2000年に出た『インド映画娯楽玉手箱』には、俳優だけではなく監督やスタッフを事典のような形でまとめたページがあって大変重宝したので、いつか、監督やバックグラウンドシンガーなどの特集が入った書籍を出版してくださると大変嬉しい。

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羽仁未央さんの『香港は路の上』(1988)

 著者の羽仁未央さんが11月18日に肝不全で亡くなったことをツイッターで教えていただいた。享年50歳とのこと。最近お名前を見ていないので、何度か消息を検索していたところだった。関連記事はこれがいいと思う。

 この本は、数ある香港本の中でも最も好きな1冊である。 ほんとうに、今まで何度読んだかわからない(昨日も開いたばかり)。

 表紙。

 アマゾンでは10倍近くの値段がついていてびっくり。

 この本が好きなのは、ありがちな香港案内ではなく「香港への愛」に満ちているから。第2章のタイトルが「街に恋して」である。『ドラゴン特攻隊』と『悪漢探偵』で下地ができて、香港に行く前に写真を見て「雲の多い香港にはよくあることだけど、手前が曇っててむこうが晴れていた(中略)それを見たとき、わたしはああこれが香港晴れってもんだわ、こういう天気のところに住もう、と、なんとなく考えた(23ページ)」とのこと。香港に行ってそんな景色を見るたびに必ずこの文章を思い出して「ああ、香港晴れだ」と今でも思う。
 それはきっとこんな景色。

 発行は1988年。返還の9年前。
 表紙にもなっているこの写真がとても好き。おっちゃんたちの顔が。

 後ろに看板が映っているのでわかるのだが、ここは銅鑼湾の北側にある清風街である。別の章に銅鑼湾の「トラムの車庫の脇」の羅素街の屋台で腸粉(『英雄本色』で周潤發が食べているアレ)を売っている親娘の話があるのだが、「銅鑼湾のトラムの車庫」はすなわち現在の時代廣場で、この本で描かれているのは、返還前の大規模な再開発がされる前の懐かしい懐かしい香港なのだった。
 ダイヤモンド・ヒルにはまだスラム街があったし(そこを蓮實重彦ご夫妻が歩くというエピソードがある)、バスターミナルには茶水のおっちゃんがいて、彩虹にはジャングルみたいな木立があって、九龍城砦もまだあって、空港はまだ啓徳で、中環のスターフェリーのターミナルは昔のあの姿のまま。

 写真と文章で描き出される香港は何もかもが懐かしく慕わしい。

 本が出てから26年後の今、香港は大変なことになっていて、でも、まだ、香港の人々は希望をもって元気に生きている。最近の活動はとてもアーティスティックで、香港はアートな街なのであった。羽仁さんや私たちの愛している香港は芯は変わっていないし、これからも変わらないと心から信じている。

 羽仁未央さん、香港のことをいろいろ教えてくださってありがとうございました。香港の映画で「猫師」などもやっていらっしゃいましたよね。
 そちらでも香港を楽しんでいてください。心からご冥福をお祈りします。

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『香港ルーフトップ』

 久々に本屋に行って、これを買いました。
 ドイツ・香港で出版された本が邦訳されたのである。
 ありがとう、パルコ出版。

 何気なく最初に開いたページがこれだった。

 拡大。

 これは裕民坊の屋上である。
 一度上ったことがある(記事はこちら)。

 そのときはこんなだった(再掲)。

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 建物は何もない。

 今回わかったのは、かつて、この屋上には、家が建っていて、人々が暮らしていたということ、自分が行ったときには、すでに彼らはどこかへ行ってしまっていたということだった。
 この本には、写真、平面図と、住民のインタビューが載っている。
 暮らしぶりは大変そうだが、他に行くところがない人、住み続けたい人もたくさんいる。
 今、觀糖のこの地区は、重建(再開発)が進んでいるが、入札が流れてしまい、まもなく再入札であるという。
 たとえば、土瓜湾にも、こんな建物がたくさんある。
 そして、土瓜湾も重建が進行中だ(記事はこちら)。

 外の人間の意見ではあるのだが、重建が進んできれいになってしまった香港と、屋上家屋が存在している香港、どちらが好きかと言われれば、圧倒的に後者である。住み続けたい人がいられなくなるのは、都市のあらまほしい姿ではないから。
 なので、香港が、愛すべき都市でありつづけることを願うばかりなのだった。

【追記】
 「屋上家屋」に住む人々をレポートした動画があった。
 「香港の「屋上家屋」問題
  End of the high life for Hong Kong's unwanted rooftop dwellers」

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日清の海帯緑豆沙

 片づけものをしていたら予想外のところから出現したのでネタに。
 香港日清のレトルト甜品はスーパーマーケットに行くとつい買ってしまう。値段はセールの時に14ドルちょいだったと思う。

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 食べたのは、海帯緑豆沙。「海帯」は昆布のこと。
 箱の写真を見ると、木の芽のようなものが浮かべてあるが「臭草」という香草とのことである。この本で知った。

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 糖朝のオーナーが書いた甜品の本。
 左が香港版で2000年に出たもの。右が日本版で2001年に出ているのだが、中身は結構違う。日本版のほうが品数が多いかも。
 アマゾンで検索してみたら、日本版は絶版のようであった。

 中古で買えるらしい。

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 お湯で5分温めて器に入れたところ。
 写真より具が少ないのは、まあしょうがない。
 昆布らしきものの姿が見える。原料を見ると「臭草」がちゃんと入っていた。
 緑豆も氷砂糖も手に入るので(「臭草」は木の芽で代用できるらしい)作ろうと思えば作れるのだが、温めるだけで食べられるのは、ありがたい。買ってくると、けっこう重いんだけどね。

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『キネマ旬報』インド映画特集

 やっと読みました。
 これです。

 『キネマ旬報』12月上旬号が「どうにもインド映画好きなもので」というタイトルでインド映画特集を組んだのだった。こちらで教えていただいていたのだが、やっと読むことができた。
 一番フィーチャーされているのは、周防正行監督と江戸木純さんの対談ではないかと思うのだが、「インド映画100周年」ということで、松岡環さんの「インド映画100年のあゆみ」「インド映画の今の常識がわかるQ&A」なども掲載されている。
 2013年は、初めてといっていいほど多くのインド映画が、しかもヒンディー映画中心に日本公開された記念すべき年である。その2013年に『キネマ旬報』でインド映画特集が組まれたのは大きい。
 『English Vinglish』(順次全国公開とのこと、万歳!)『神様がくれた娘』の公開のお知らせも載っていて、これからもインド映画の公開が続けばいいと心から願う。
 しかしですね、それだけに、今回の特集はちょっと残念なところもある。
 まず、なぜ一番フィーチャーされているのが周防正行監督と江戸木純さんなのかということ。おそらく周防監督は『インド待ち』、江戸木純さんは『ムトゥ』の影響だと思うのだが、それってちょっとソースが古すぎないだろうか。10年以上前ですぜ。前に書いたことがあるのだが、周防監督はあまりインド映画好きだとは思えなかったし、江戸木純さんも確かに『ムトゥ』を日本公開させたという功績はあるのだが、今、インド映画の推進力になっているかというと疑問。「どうにもインド映画好き」という面子なのだろうか。
 だいたい、対談の中で言われている『3 idiots(きっと、うまくいく)』について「『ムトゥ』以来もっともヒットしたインド映画」というのは正しくないのではないか。1998年から15年の間にタミル映画である『ムトゥ』以上にヒットした映画はあるでしょう、特にヒンディー映画で。江戸木さんは、タミル的な映画がお好きなようで『3 idiots(きっと、うまくいく)』はあまり好きではないとのこと、周防監督も「『3 idiots(きっと、うまくいく)』はインターミッションまでは退屈だった」とのことです。
 今のインド映画を語ってもらうのなら、たとえば「これでインディア」のアルカカットさん(帰国されて新しくブログを立ち上げられている)とか、グレゴリ青山さんとか、もっと適切な方はいらっしゃるでしょう。アルカカットさんは、おそらく、この10年のインド映画のレビューに関しては一番だと思うぞ(サイトには本当にお世話になっている)。新ブログの「「きっとうまくいく」の邦題について」など、広く読んでいただきたいと思う。久々に次郎丸章さんの文章も読みたい。
 15年経って、いまだに『ムトゥ』を基盤にしてインド映画特集を組んでいる雰囲気もある『キネマ旬報』はちょっと怠慢なんじゃないか、と正直なところ思ったのだった。

 …と苦言を呈してしまったのだが、『キネマ旬報』さんにはお願いがある。
 『キネマ旬報』でインド映画ときたら、自分にとっては、

 2000年に出た『インド映画娯楽玉手箱』なんである。
 いまだに本棚の特等席におさまっているのだが、惜しむらくは13年前の本なので新しい情報が入っていない。
 ここ13年でインド映画はとてもとても変わった。アルカカットさんがIFFJのオープニングで講演されたように、マルチプレックス(シネコンプレックス)の普及などがインド映画を変えた。「突然踊り出す」というインド映画に対するありがちなコメントに相当する映画も少なくなった。今の少なくとも自分が見ている範囲のヒンディー映画の歌舞音曲シーンの入り方はとても自然になったと思う。ジャンルも多様化したし、面白さも多様化した。
 『キネマ旬報』さんには、是非とも『インド映画娯楽玉手箱』の新版を出していただきたい!と心から思うのである。

 今を去ること25年前の1988年、香港映画の公開本数はとても少なくて、自分はアニメージュ文庫の『ザ・香港ムービー』(手に入る本はそのぐらいだった)を読みながら『重慶森林(恋する惑星)』が見たくてばたばたしていた(【訂正】いや88年なら『重慶森林』はまだだったので本を勘違いしている可能性大。しかし『ザ・香港ムービー』に掲載されていたほとんどの映画が未公開だったのは確か)。25年後の今、香港映画の公開本数は大幅に増えて、『大追捕(狼たちのノクターン)』『鐵三角』など、公開されたうえwowowで全国のお茶の間に流れ、『寒戦』も公開されることになった。香港映画の主な新作はかなりの確率で日本公開されるようになっているのではないだろうか。
 この25年で『キネマ旬報』では香港映画特集ムックを3冊以上出している。そのような関係者の皆さまの継続的なお力があってこそ現在があるのだが、同じように、インド映画も、日本で広く見られるようになってほしいのである。そしてそれは可能だと思うのである。
 だって、面白いんだもの。
 
 なので、『キネマ旬報』さんには今後とも是非とも頑張ってほしい!と願ってやまないのであった。

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遅まきながら川勝正幸を知る

 実は名前も書いたものも(企画したものも)ずっと目にしていたのに今まであまり認識していなかったのだが、『ポップの現場から』を読むに至って、やっとちゃんと認識するに到った。
 この本です。

 川勝正幸氏は「ポップ・カルチャーを中心に活動を続けたエディター/ライター」である。2012年1月31日未明に自宅の火災で亡くなった。享年55。
 創刊以来25年連載を続けていたという『TVブロス』はずっと購読しているので、コラムは読んでいたはずなのである。ナンシー関七回忌の菊池成孔との対談「ナンシー関はテレビの守護神だった」も絶対読んでいる。というか「ナンシー関大ハンコ展」の実行委員だったんですか!ナンシーからのカラオケの誘いを3回続けて断ったら「自分たちと遊ぶのが嫌なのかカラオケが嫌なのか」聞かれて後者だと答え「ならいい」と勘弁してもらえたらしい。
 とにかく音楽・映画・ドラマ・演劇その他のポップカルチャーについて膨大な知識と愛情を持ち、いいと思ったものには惜しみなく肩入れしデビュー前のバンドにも惜しみなく力を貸し、クレイジーケンバンドを世に知らしめ、勝新太郎が好きで(だからプロダクションの名前が川勝プロダクション)デイヴィッド・リンチが好きではっぴいえんどが好きで、礼儀正しく腰が低く、人望があること限りなく、没後『TVブロス』連載のコラム「Too old to ROCK'N' ROLL Too Young to DIE」のあとを受ける形で同じタイトルで錚々たるメンバーが綴ったコラムは約1年続いた。
 実は名前を意識したのは、その追悼コラムを読んでからである。
 『あまちゃんファンブック』の対談で湯浅学さんが「琥珀の勉さんは川勝さんだ」と発言していたのだが、本当に、この人は勉さんのモデルだったのではないかと思う。顔も似ているし。著書の中で大人計画への言及があったので、クドカンとも絶対親交があったはずだし。小泉今日子とも深く関わりがあった人だし。(『ポップ中毒者の手記(約10年分)』巻末の小泉今日子インタビューによる)。そう思うと、「リアス」のカウンターで春子さんを見る勉さんの見方が変わってしまう。
 『ポップの現場から』のTVブロス編集部の後書きも、ものすごく愛情が籠もっていて、また、しりあがり寿のイラストが(追悼文はひとっことも書いていないけれども)いいのね。特に奥付のイラストは泣ける。
 なんで今まで気がつかなかったのだろうと(目にしていたのに!)不明を恥じつつ、書かれたものを改めてちびちびと読み始めているのだった。
 こういう人になれるといいなと思う。

 で、最後にひとつどうしても。1994年3月26日号掲載のコラムにですね、アメリカのクライテリオン社から出た『狼/男たちの挽歌最終章』レーザーディスクのことが書いてあるのだが、「ボツ場面、予告編などはまだしも学生時代の映画(非アクション。大林宣彦監督風)まで収録されているのには、泣き」って何ですか。それ。見たい。

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『インド待ち』(アジャイ君は高田純次じゃない)

 どうにも目が回るので改めて検査に行った先の待ち時間の合間に読んだ。

 

 文庫にもkindleにもなっていないんだな(図書館で借りたのである)。

 2001年に発行された本で、「ムトゥ」がヒットしたのを背景に、テレビ番組を制作する目的で「Shall we dance ?」を引っさげてインドに渡り、ムンバイ・プネー・チェンナイ・ハイデラバードをまわり、撮影所を見学したり、映画学校に行ったり、現地で上映会をしたり、映画関係者にインタビューしたり。とても豪華な旅程である。ゴヴィンダとシェルパ・シェッティーにインタビューしているのが羨ましすぎる。また、ちょうど、「Hum Dil De Chuke Sanam(ミモラ 心のままに)」と「パダヤッパ」が公開されていたときで、現地の劇場で見ていて、これまた羨ましい。
 内容的にも、ゴヴィンダとシェルパ・シェッティーはとてもいい人らしいとか、アイシェに対する評価はやっぱり分かれるのかとか、歌と踊りはインド映画の魂なのかとか、映画学校の学生が「色気」「笑い」「哀れ」「怒り」「勇ましさ」「恐れ」「憎しみ」「驚き」「安らぎ」の9つの感情(マサラ・ムービーには全てが含まれるとされる)を瞬時に演じ分けるとか、インドの家庭では映画の感想をめぐって激論が巻き起こるとか、いろいろ興味深かった。
 だがしかし、えーっ!と思ったこともあって。

 ひとつは、巻頭の写真ページのキャプションが、「インド映画をとりまく変な人たち」「なんか変なインドの食べ物たち」と、「インド」=「変」というイメージで作っているふうがあること(これは著者である周防正之監督の責任ではないかもしれないけど)。
 もうひとつは、「ムトゥ」を見ているせいか、「マサラ映画」=「ムトゥ」というイメージがあるようで、会ったインド映画人に「ムトゥ」を見たかと聞いているのはしかたないとしても(回答はほとんど「ない」とか「あれはタミル映画だから」というもの)、「Hum Dil De Chuke Sanam」について、「自分の知っているインド映画(=ムトゥ)のようではない」と判断しているように見えること。「インドの土着的荒唐無稽さをハリウッド的な洗練が薄めてしまって、インド映画ならではの面白みが減ってしまったのではないか」(39ページ)などと書いてある。その前にはタミル映画とヒンディ映画は違うということを書いているのに。
 思い出したのは、「3 idiots(きっと、うまくいく)」が香港で公開された頃に、香港映画のほうではある程度名の知られた評論家が「有名なスターが出ていない」「インド映画らしくない」とコメントして一部で顰蹙を買っていたこと。大スターであるアーミル・カーンもカリーナ・カプールも出ているのに。ある意味、あれほどインド映画らしい映画はないのに。インド映画は基本的に進取の気風に富んでいると思う。
 おそらく、その方も「ムトゥ」が念頭にあったのではと思うのだが、1本見たぐらいで典型がわかったような書き方をするのはどうかと思うし、素人じゃない人がお金をもらって書いている文章なんだから、狭い主観的な印象を書くのはそれはまずいでしょう。日本映画を1本見ただけの外国人評論家に日本映画がわかったようなことを書かれたら、いい気持ちはしないと思うし。タミル映画とヒンディ映画はずいぶん違うし。
 自分の見たものだけを基準に語られても、と思う。
 特に周防さんはプロの監督なんだから、それなりの見解が聞きたかった。

 しかし、一番はそれではない。

 「Hum Dil De Chuke Sanam」を劇場で見たのはいいのだが、
 アジャイ・デーブガン(好き)を
 こともあろうに

  高田純次に似ている

 と書いてある!えええええええええ。

 これはアジャイ君が出ている歌舞音曲シーンですが、言うに事欠いて

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 高田純次!

 いえ、高田純次は好きですよ。イメージ検索してみたら、いい男じゃんとも思ったよ、でも、アジャイ君が高田純次はない。

20130619ajay_devgan

 たぶん、そのころの写真だけど、この顔のどこが高田純次だ?!

 もうひとつ、サンジャイ・ダット兄貴(とても好き)についても「高田純次に似ている」と書いていて、

20130619sanjaydutt

 この顔のどこがやねん!

 …と思ってしまい、一瞬、眩暈が吹っ飛んだのであった。
 最後まで書いたところで、もしかして、サルマンとアジャイ君を取り違えたのでは…?とも思ったのだが、それにしてもねえ。…いや、そのあと、ストーリーの説明をしていたから、やっぱり間違えていない。文中、ずっと「高田純次」呼ばわり。うーむ。

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「舟を編む」(映画版)

 原作『舟を編む』は内容も装丁も大好きな本である。
 映画版が終わりそうなので、慌てて行ってきた。

 予告編は前に貼ったので。
 特別映像「辞書ができるまで」。見ると泣ける。

 原作でごうごう泣いたので、泣くだろうとは思ったが、初めのほうで松本先生が理念を語るあたりから目頭が熱くなった。「神保町地獄の合宿」あたりから、やっぱり大泣き。香港人必携Tempoを握りしめながら見る。
 原作のエピソードは生かされたものもあり、変えられたものもあり、なくなったものもあり、新たに加えられたものもあり。
 「ぬめり感」は出て来てよかった。宮本君(ちょっと原作とイメージ違う)が出てきたときには「ぬめり感キター!」と思う。あまり尺は割かれていなかったけど。岸辺さんはあっというまに順応したし。「愛」の語義については出てこなかったけど、新たに松本先生とまじめくんが「BL」の用例採取をする場面があって爆笑した。よりによってその単語を。かぐやさんの「用例採取」をした独自エピソードも笑った。用例じゃないし。西岡はやっぱりいい奴だ。麗美ちゃんが原作よりたくさん出てきてよかったな。ファイルのエピソードはなくなって残念だけど。好きだったんだけどなあ。あと「愛猫」という言葉が△だったのに驚く。◎だろうそこは!『大渡海』には必ず載っていると確信するが。
 でも、エピソードの出入りがあるのは当然で、映画としてよくまとまっていたと思う。映画と本のもっとも大きな違いがあるのは映像があることで、そのよさが生かされていた。
 たとえば、本棚。スクリーンが大きいので編集部のバックの本棚をなめるように見てしまったのだが、いまひとつピントがあっておらず、よく見えなくてとても残念。休刊してしまった『月刊言語』(大修館)があるのはわかったんだけど。本の紙袋が三省堂だ…と思ったら、三省堂が特別協力していたのね。
 早雲荘1階のまじめ君専用書庫は心底羨ましい。ああいう古いアパートも好き。タケさんの部屋の家電製品が古いのもよかった。あの冷蔵庫、むかしうちにあったのと同じやつだ。
 CGも使っていると思うので、どこまでがリアルかはわからないのだが、実在するとして、玄武書房の建物はどこだろう。神保町かなあ。あと、あの居酒屋はセットか実在か。実在としたらどこか。バックの「ガンダーラ古代岩塩ピザ」がとても気になる。他のお品書きも熟読したい。→その後わかったのだが、神保町に実在する「酔の助」とのこと。行くぞ!
 社食メニューなど食べ物がおいしそうだと思ったら、フードコーディネータはやっぱり飯嶋奈美さん(「かもめ食堂」「南極料理人」などの人)だった。特にカレーが美味そう。
 出演熱烈希望のトラさんは、尻尾の太い、ぽってりしたたいそうよい猫だった。出番はあまり多くないけど。しかし、後から出てくるトラオさんが子猫になってしまい名前もトラジロウになってしまったのは残念だった。卓上の鮭を凝視しているところとか見たかったのになあ。
 このごろは見るドラマがNHKの朝の連続ドラマか大河ドラマだけになってしまい(その前はもっと見ていなかったのだが)、人物を見ると、善ちゃん(カーネーション)!桜子(純情きらり)!おばあさま(ひまわり)!と思う。みっちゃんはまあ水口(あまちゃん)でもみっちゃんだけど、蛇口(「あまちゃん」で天野アキちゃんが呼び間違えた)と言ってしまう。
 それにしても、松田龍平、振り向いたら優作になっていても驚かないと思うぐらいお父さん似。特に目のあたり。DNAおそるべし。
 早くブルーレイで背景を点検したり「トラさんはいい猫だねー」などと言いながら見たい。
 公式サイトはこちら
【追記】
 書き忘れました。パンフレットが128ページ!もあります。写真はもちろんのこと、キャスト・関係者インタビューにシナリオもついているうえに、トラさんにも1ページ割かれている。目次がついていないと内容が把握しきれない(もちろん目次つき)、映画のパンフレットの域を超えた大充実ぶり。買いです。実は後から評判を聞いて慌てて買いにいったのだが、買ってよかった。

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『 新装版 旅のグ(ちくま文庫)』

 風邪を引いてしまい、出張を取り下げて家で寝たり起きたり。
 しかし、嬉しいことがあったので記事にしてしまう。
 グレゴリ青山さんの本は全部買っていて、これも出てすぐ買っていたのだが、

 表紙に秘密があったのをこちらで教えていただいた。
 ひっそりDDLJの看板が描かれているのである。
 DDLJとは、Dilwale Dulhania Le Jayenge の略で1995年の大大ヒットヒンディー映画である。IMDbはこちら

 主演はシャールクとカージョル(私はお父ちゃんのアムリシュ・プリーが好き。顔怖いけど)。3時間を超える大恋愛映画である。看板のシーンはこれ(画面の文字は下のバーの白い吹き出しをクリックすると消えます)。
 邦題がついているので日本語字幕版があるのではないかと思う。しかし、今まかり通っている邦題はどうかと思うのであえて書かない。昔『旅行人』に出ていた「花嫁を連れて」のほうがいいと思う。
 『旅のグ』は、この『旅行人』連載であった。文庫は増補版。
 前にこちらで書いたのだが、グレゴリ青山さんと松岡環さんと『旅行人』は自分にとって大恩人であって、おそらく『旅行人』とグレゴリ青山さんなかりせばインド映画を知ることはなかったと思う。98年と99年に出た『旅行人』インド映画特集は今でも本棚の特等席にあり、98年のインド映画特集のコピーを握りしめて重慶マンションへ行ったのであった。買ったのはマードゥリーのベスト版とDDLJを筆頭とするVCD(当時はDVDはなかったのである)の数々。
 グレゴリさんのお書きになったものの中で一番好きなのは、『グ印亜細亜商會』掲載の「電信柱の画家の街」と『香港電影バラエティブック』(大好きな本だ)掲載の重慶マンションでブルース・リーに遭遇する話(『旅のうねうね』所収の「雨香港」)なのだが、インド映画関連だと、何と言っても『ひみつのグ印観光公司』。特に103-104ページはほとんど暗記しているので書かせてください。(  )内はそのコマに登場する俳優(似顔絵つき)です。

 ヒンディー映画の俳優の特徴は一言でいって
顔が濃い(アーミル・カーン、アクシャイ・クマール)
すごく濃い(ジャッキー・シュロフ、サンジャイ・ダット)
とんでもなく濃ゆい(アムリシュ・プリー、ラージ・バーバー)
名前までも濃い(あみたぶ・ばっちゃん、あじゃい・でーぶがん)
顔が濃いうえにでぶな俳優もいる(ゴヴィンダ、サニー・デオル)
そのくどい顔の俳優が
何かにとりつかれたかのように
いきなり踊り出すのである(Khal Nayak)。
そんなキョーレツ過ぎる 
ヒンディー映画俳優のNo.1が
グのときめきのニューアイドル
シャールク・カーンである。

 ああ、好きだわあ。
 本を見ると元々は1997年に書かれているのだが、15年経って、アーミルとシャールク主演の映画が劇場公開されるようになったのだなあ。

 で、何が嬉しかったといって、上記の秘密を教えていただいた際に、グレゴリさんにその一端を直接お伝えできたのでした。もっとお伝えしたいことがあったのだが、他人様のブログのコメント欄を使わせていただくわけにはいかないので、記事にした次第です。

 ついでに、せっかくの機会なので、DDLJと「ラジュー出世する」(同じ頃に日本公開されたシャールク・カーン主演の映画。NHK教育でも放映された)をどこかでDVD化してくださらないだろうか。
 

 公式動画がありました。これこれ。いい話なんだ。

【追記】
 その後、さらに嬉しいことがあったのであるが、他人様のブログのコメント欄なので自重して、ここで喜びを記すだけにしておきます。第1作からずっとファンだったので鼻血が出そうだ。ネットって素晴らしい。

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『あのひととここだけのおしゃべり(文庫版)』は初版を買う

 ずっとインド映画の話題が続いているのだが、もとから下書きがたくさんあるうえに(覚え書きを書いて放ってあるもの多し)最近のお楽しみと頭休めはインド映画なので、ますます下書きが増える一方で。
 しかし、これは早いほうがいいので割り込み。

 本屋に行ったら、これが出ていた。

 前にこちらでご紹介したことがある『あのひととここだけのおしゃべり』(よしながふみ)が文庫になっていたのである。
 単行本は好きで何度も読むあまり手垢がつきまくっているのだが、買った。
 なぜなら、文庫版には新たに堺雅人さん(「大奥」の映画版とテレビドラマ版で主演)との対談が入っているうえに、初版にはおまけがついている。
 堺雅人さんは「目が笑っているくせに奥では笑っていない」(そのとおりです、よしながさん。お父さんもすごいわ)ところがいいと思うのだが(うんと怖い役をやってほしい)、羽海野チカさんとか漫画家さんとも親交があるのね。そういえば「ハチミツとクローバー」で修ちゃんだったっけ。こちらの対談も面白かった。話が面白い人なんだな。
 で、初版限定のおまけは、雑誌『メロディ』に掲載された「大奥」映像化記事のイラストエッセイが挟まっているのだが、何がツボだったといって、「何話してるんですか」「火付盗賊改筆頭与力佐嶋さまのお話を」というところ。
 佐嶋!

20130512sajima
 
 借り物の写真ですが、この人です。
 髙橋悦史さん演じる佐嶋はテレビ版の「鬼平犯科帳」で一番好きな登場人物なんである。出てくると「さじまー!」と言いながら手を振ってしまう。「うさぎ…」と苦り切っているところなど最高。残念ながら髙橋さんは亡くなってしまい以後佐嶋は出てこないので、そのあたりはあまり見ていないのであった。
 佐嶋!いいよね!よしながさん!
 ついでに書くと、現在絶賛放映中のNHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」には「鬼平」の兎忠と粂八が義理の親子設定で出てきて(わざとか?このキャスティング)先週は酒を酌み交わしていたので、お好きな方は大喜びであったろうと思う。「あまちゃん」は毎日見ているうえに、80年代歌謡映像満載で大丈夫かDVD?とも思っているので録画もしているのであった。クドカンさすがである。

【追記】
 実は、上記の記事はざっと読んだ時点で書いていて最後のほうを見落としていたのだが、菅野美穂さんのことが話されていて、しかし、対談の時点では結婚の話はまったく出ていなくて、「ああよかったね」と心から思った。おめでとうございます。お幸せに。
 「佐嶋」が出てくるイラストは、実は本冊にも出てきていました。でも、ほかのイラストもあるので、やっぱり初版を買った方がいいと思う。菅野美穂さんは男らしいのか。

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